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流行りの婚約破棄物に乗っかってみました〜sideリーザ

作者: はな☆はな

本編に出てきたリーザのその後を、と言う意見を頂き、書いてみました。

本編を読んでからお読みください

私の名前はリーザ・モンテ男爵令嬢

自分で言うのもなんだけど、見た目はかなり可愛いのよ

勿論、頭だってそれなりにいいわ

だって、顔はいいのにオツムは空っぽなんてダメダメじゃない?

やっぱり頭も顔も良くないといい男は捕まえられないのよ


でもそんな私にも残念なところがあるのよ

それは我が家が男爵令嬢ってところ


そこはまぁ、結婚っていう手段があるからどうにでもなるわ

その為には家柄も見た目も頭もいい男を捕まえなくっちゃね!



だけどそこで1つ問題があるのよ

我が家は男爵家

私に釣り合うのは侯爵家以上の家格じゃないとね

まぁ、せめて伯爵家までかなぁ

でもそんな貴族連中に会うにはパーティに出る必要がある

だけどこのパーティが曲者

上の階級のパーティだとそれなりの家柄の見目の良い男性がいるわ

だけどそれだとそれなりのドレスが必要

だけど我が家はそこまでのお金はない

だからそれなりのドレスどころか微妙なドレスしか用意できない

かと言って、そのドレスで出られるパーティとなると男爵・子爵止まり

良くて伯爵だ

さて、どうやって出会いを演出するか


なんて思っていたらチャンス到来ですよ!


「リーザ、王国の学園に通わないか?

リーザは頭がいい。そして何といっても誰よりも可愛い!

王国の学園には伯爵・侯爵子息は勿論、公爵子息もいらっしゃる

リーザほど可愛い子は滅多にいないからな、あっという間に見染められるんじゃないか?

あぁ、そういえばリーザと同じ歳にマンテスト伯爵なご子息がいらしたな。マンテスト伯爵といえば国王の信頼も厚い方だ。アラン様自身王太子の側近候補と言われている

見染められたら伯爵夫人だぞ」


な、なんですって!?

私が伯爵夫人!?



これは大チャンス到来ですよ!

やっぱりめんどくさくても勉強も自分磨きも頑張って良かったわ




そんなこんなで学園に入学したわ

でもはっきり言って誰がどんな家柄かなんて、パーティに碌に出ていない私にはわかんないのよ


でもまぁ、やっぱり私くらい可愛い子なんていないわね


「ねぇねぇ、1組にディアリスト侯爵家のアリアナ様がいらっしゃるわよ」


「え、本当?わたくし、アリアナ様に憧れてるのよね」


「あら、わたくしもよ

あんなにキレイなのにちっとも鼻にかけてなくて、誰にでもとっても優しいのよ。誰だって憧れちゃうわ」


「わたくしはパーティで男性に絡まれているところを助けていただいたわ

私がが男性なら絶対に結婚を申し込むのに!」


アリアナ様?

何よ、私より目立つなんて何様よ!


「そう言えば今回のテストでも1番を取られたわよね」


「ええ。美人で優しくて、しかも頭も良くて」


「しかも婚約者はマンテスト伯爵子息のアラン様でしょ」


「そうなのよ〜

アラン様と言えば文武両道でイケメン、お父様の伯爵様は王様の信頼も厚くいらっしゃる将来有望な方よね」


「「「羨ましいわ〜」」」


な、なんですって!?

マンテスト伯爵?

お父様の言っていた人よね!


でもさっきアリアナの婚約者って言ってたわよね

そんな女より私の方がアランにふさわしいに決まっているわ

(なんとも勝手な言い分である)


でもあんなにアリアナのことを褒めてる人間がいる今はマズイわ

下手をしたら私が婚約者を誘惑した悪者になってしまうわ

とりあえずこの学園での生活は始まったばかりだもの。他にもいい男がいるかもしれないし

ひょっとしたら王太子殿下に出会える可能性もゼロではないもの

折角のチャンスは活かさなくちゃね!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ちょっと、あなた平民でしょ?何私の前を歩いてるのよ、どきなさいよ!

本当、平民って常識を知らないのよねぇ。そんなのでよくこの学園に通えるわね、さっさとやめればいいのに」


本当になんで王国の学園に平民がいるのよ

ここは選ばれた人間がいるところでしょ


「お待ちになって」


ん?誰よ、私のことを呼び止めるのは!


「なに……っ!!」


は?何この美人!

それだけじゃない、スタイルも私より断然上だわ

ゆ、許せない〜〜〜っ


「この学園の中では身分制度は一切関係ありません。今のような発言はあなたの品位を落としますので、お控えになった方がよろしくてよ」


え、えらそうに!

何様よ!

私は将来の伯爵夫人よ!逆らったら酷い目に合わせるんだから!


「まぁ、随分とえらそうな発言ですね

そんな発言をするくらいなんだから随分と偉い人なんでしょうね」


ふふふんっ

これで子爵令嬢とか男爵令嬢ならバカにしてやるわ

いえ、ひょっとしたら平民なんじゃないの?だから同じ平民を庇ったんだわ


「学園の中では身分は関係ないと言ったわたくしが、自分の身分をひけらかすような発言は控えするべきでしょうが、それではあなたは納得されないのでしょうね


わたくしはアリアナ・ディアリストと申します

父は侯爵位を賜っております

以後お見知りおき下さいませ」



な、なんですって!?

この女がアランの婚約者ですって!

〜〜〜〜〜っ、ゆ、許さないわ、私のことバカにして!今に見てなさいよ

あんたなんてアランに振られて婚約破棄されるんだから!ついでにあんたの身分も剥奪してこの国から追い出してやるんだから


この日からアリアナを追い落とす計画を立て始めた



まずはアリアナが皆んなが思ってるような女じゃないと知らしめないとダメよね

それにはアランを先に味方につけなくっちゃ


あ、そうだわ!あの女は私のことをバカにしたんだわ!このままあの女に虐められているってことにしたらいいんだわ

まずはいじめの定番、教科書を破って、ついでに泣いてる場面をアランに見せればいいんじゃない?

となると、アランに見つかるような場所で泣かなくっちゃ


暫くの間アランの行動パターンを知るために跡をつけたわ

折角チャンスを自分で作るんだもの

アリアナが側にいない時がいいわよね!


っていうか、放課後になるとアリアナの姿が消えるのよね〜

何やってんだろ?

はっ!浮気してるんじゃないの?

アリアナに浮気され傷ついたアランを私が慰めるっていうのも1つの手よね!

でもまぁ、とりあえずは当初の予定通り虐められてるって設定で近寄りましょう

慰めるのはアランと仲良くなってからがいいわよね



ーー放課後、リーザの教室にて


ふふふんっ

アランは放課後必ず図書館に行くわ

図書館に行くには私の教室の前を必ず通る

時間的にはほとんどの学生がいないから2人っきりになる最大のチャンスだわ


カツンッ


あ、来た来た


ーシクシク、シクシク


私ったら女優ね

これならアランもイチコロよ


「ん?泣き声?」


ガラララッ


「誰かいるのかい?」


「あ、ご、ごめんなさい

もう帰りまっ….ヒック」


「え、泣いてるの?

一体どうしたんだい?」


ふふふっ

食いついたわ


「あ、あのなんでもないです」


一度引くのも控えめないい女の条件でしょ!


「なんでもなくないよね?って、この教科書どうしたの!?」


「あ、あのさっき教科書を忘れたことに気づいて取りに戻ったら、もう破られていたんです」


「酷いことするなぁ

誰か心当たりはあるかい?」


「な、ないで……っあ、」


「誰かいた?」


「あ、あの私の勘違いかもですけど」


「うん。それでもいいから言ってごらん」


「さっき、教室に戻って来た時、女の人が入れ違いに出て行ったんです」


ふふふっ

もうこれは確定でしょ


「うーん、それはその女性が怪しいな

誰か知ってる人だった?」


「はい。でも、あの人に限ってそんなことするわけないって思うんです

でもあの人しか見てないし」


「とりあえず言ってごらん、もし犯人じゃなくてもその女性が犯人を見ている可能性もあるし」


「あ、そうですね!


えっと、アリアナ様です。後ろ姿だけなら背格好が似てる人かもって思ったんですけど、出た後で一度振り返ったんです。その時はっきり顔を見たので間違い無いです!」


どう!完璧じゃない!


「え、アリアナ?」


「はい、ご存知なんですか?

あ、アリアナ様は優秀でキレイな方だからみんな知ってますよね!私でも知っていたくらいだし」


な〜んちゃって!ぜーんぶ知ってるけど、ここは敢えてアランのことは知らないフリ


「あ、僕のこと知らない?

ごめんね、自己紹介もせず。僕はアラン・マンテスト。アリアナは僕の婚約者なんだ」


「え!も、申し訳ありません!マンテスト伯爵様のご子息様ですよね

それに婚約者であるアリアナ様を疑うようなことを言って本当にすみません」


焦ったフリ〜


「あぁ、いや謝ることないよ。知ってると思って言わなかった僕が悪いんだし


それより、アリアナのことだけど、彼女は品行方正というか、誰にでも優しく平等な人だ。こんなことするとは思えないんだけど、だからと言って君のことを疑うのも違うと思うんだ。この時間彼女とはいつも別行動しているから実際のところ何をしているかは知らないしね。ひょっとしたら表向きはいい人を装って、裏では悪人ってこともないわけじゃない

僕も少し調べてみるけど、君も気をつけるんだよ。あ、その前にまだ名前聞いてなかったよね」


わぉっ!面白いくらい簡単に引っかかったわね。ひょっとして2人の仲はあんまりうまく言ってないのかな?それこそチャンスじゃない?


「あ、そうでした!名前も言わずすみません

私はリーザ・モンテです。モンテ男爵の娘です。よろしくお願いします

あ、アラン様は私よりずっと身分が上の方ですよね。こんな風に気楽に話しかけたらダメですよね」


ここでしゅんって落ち込んで見せると男なんてころっと騙されるんだから


「あ、気にしないで!学園の中では身分なんて関係ないから!

それに君とはそんなこと関係なく仲良くしたいって思ってるから」


おぉ!ちょっぴりはにかんで、どうした?もう惚れたか!


「そうだ、僕は毎日放課後は図書館に通ってるんだ。何か困った事があれば来てくれて構わないから」


そう言っていそいそ帰って行ったけどなかなかいい感じじゃない?



そうして放課後はちょくちょく2人で会った

図書館に行くこともあれば、通りがかったついでに教室にいる私に声をかけてくることもあった

まぁ、それを狙って用事もないのに教室に残ってるんだけどね


ついでに毎日はさすがにやりすぎだから、2、3日に一回くらい教科書を破ったり、落書きしたり、制服を切ったりと虐められてます感を出してみた

勿論自作自演だけどね

そのついでにアリアナがやった証拠を作りたかったんだけど、あの女全く隙がないのよね〜

それこそ後ろ姿を見たとか意地悪を言われたって嘘をつくくらいしかできなかった

でもほぼ毎日一緒に過ごすうちにアランはアリアナではなく、私を信じて来たし、多分私のことを好きになってると思う!

計画通りってとこね!

あとは仕上げよね

仕上げはやっぱり階段かな〜


ここのところ放課後と言わず日中もよく一緒に過ごしている

アリアナもこっちを見てたわ

となると嫉妬して階段から突き落とすくらいの演出をしなくちゃね

でも本当に落ちたら大怪我だから落ちたフリ

タイミングはアランが図書館から帰るときかな〜。階段を降りてくるのを先回りして悲鳴でもあげれば信じるでしょ

アリアナは走って逃げたってことにすればバッチリよね



ーー放課後、階段にて


キャーッ


どう?どう?アラン来たかな?


ドタドタッ


「リーザ!」


「あ、アランッ」


「今の悲鳴は君だったよね?!何があったんだ!」


「か、帰ろうと思って階段を降りてたの

そしたら急に背中を押されて」


「なっ!押されたって怪我は?」


「うん、すぐに手すりにつかまったから落ちなかったけど、こ、怖かった〜。ふ、フエ〜ン」


どうよどうよ!迫真の演技でしょ


「まさか、アリアナか?」


「う、うん。押した後で慌てて駆け下りて行ったわ。それに、アランから離れろって、離れなければ今度こそ突き落とすって言われた

こ、怖いよ〜」


「なんてことを!

もう我慢できない

今度の卒業パーティ、僕と行ってくれるかい?そこでアリアナにはっきり言うよ」


やった!遂にアランが婚約破棄するわ

そして私は伯爵夫人よ





それなのに

どうしてこうなったの?

すべて完璧だったわ

全ての罪をアリアナになすりつけ

アランを味方につけた

可愛くて頭も良くて、そんな完璧な私には味方がたくさんいると思った

それなのに誰一人私の味方になってくれなかった

それどころか皆んなアリアナの味方だった

それでもアランは私の味方になってくれると思ってた。それなのに最後にはアリアナに婚約破棄の破棄を申し出ていた。まぁそこは断られたけどね

しかもアリアナには王太子が味方になってた。ううん、王太子だけじゃなくて王族皆んなが味方!

知らないわよ、王妃の姪ってどう言うことよ!なんで誰も教えてくれなかったのよ!

なんで?

なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで


あそこであの教師が出て来なければ完璧だったのに!

そうよ!あの教師が悪いのよ!

私の計画が全ておじゃんになったのも

アランが私から去って行ったのも

アリアナが王太子にプロポーズされたのも

全部全部あの教師のせいよ!




膝をつき項垂れて、それでも怒りに震える私にアレックスという教師が近寄って来た


「君はまだわかっていないみたいだな」


自分に向けて冷え冷えとした声を発するアレックスの言葉に顔を上げ睨みつけた

自分の目の前に立つアレックスの目は言葉以上に冷え冷えとしていた


「あのさぁ、何を勘違いしてるの?

アリアナ様は何も悪いことはしていない

何もしていないのに身分剥奪されて国外追放なんてなるわけないだろ?

それにアリアナ様がいなければあんたが1番可愛い?人気者?そんなわけないだろ

あんたは自分より下の人間をバカにし、暴言を吐きまくっていた

少しでも自分より可愛いと思った令嬢の教科書に落書きしたり破ったり

実技の時間に教室に置いてあった制服を切り刻んだこともあったよな

ああ、階段から突き落としたこともあったな


あれ?これ全部アリアナ様にされたって言ってたことだよな?あれって意地悪な令嬢のモデルは自分だったんだ〜

それで最終的には婚約破棄に始まって、身分剥奪、国外追放だったよな?

あ、でもあんたには婚約者はいなかったから婚約破棄はないか

でも、アランには振られたから婚約破棄っぽくはなってるな」


愕然とした

そうだ

アリアナに着せた罪は全て自分がしたことだ


それでも、そうしてまでも全てを手に入れたかった

いや、手に入れれると思っていたのだ


「と言うことで君への判決だ

これは国王からの指示だから必ず守ってもらう


リーザ・モンテ男爵令嬢、アリアナ・ディアリスト侯爵令嬢への冤罪、及び、卒業パーティを自己満足のために台無しにし周囲へ多大な迷惑をかけ

た罪により身分剥奪の上国外追放とする

なお、モンテ男爵についてはアリアナ様の婚約者であるアラン様を誘惑させ婚約破棄に導き、自らの娘を後釜に据えようとリーザを唆した罪と、事業の失敗による借金の返済ができないため、お家の取り潰しとする」


あぁ、私はなんてバカだったんだろう

人にしたことはいずれ自分に返ってくるんだ

そんなことにも気付かず、自分のことしか考えてなかった

身分の剥奪、国外追放、それに嘘をついたことで女神の罰を受け声さえ出なくなってしまった


欲をかいて私は結局全てを失ったんだ




その後モンテ男爵は妻に離婚され、娘のリーザを連れ国外に出たらしい

その後の二人は国外の小さな村でひっそりと暮らしたそうだ





















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― 新着の感想 ―
[一言] 楽しく読ませて頂きました。 身分剥奪、国外追放、声が出せないってかなり悲惨な結果になった上、終盤付近ちゃんと反省してるのに……一ミリも哀れだと思えないのは完全に自業自得だからでしょうね。
[気になる点] 声さえ出なくなったとあるわりに普通に教師に叫んでるんですが
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