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ビューティー・オーク  ~ オークになった美容外科医、世界を変える ~  作者: 香坂 蓮
森の中、少女に出会うブタ。どうせなら、クマにしてくれない?
9/109

~ 第八話  エピローグ ~

これにて一章が終了です。

 あれから幾日もの日々が過ぎました。


 私の日常は、大きく変わったようでいて、実はあまり変わっていません。


 あのオークさんに会って、綺麗な顔にしてもらった日。森から無事に帰ってきた私を、お父さんもお母さんも泣きながら抱きしめてくれました。私だと分かってくれるまでに時間がかかったことは悲しいですし、お尻のほくろのことはまだ許せませんが、それはそれ、です。


 それどころか、村中の人が『無事でよかった』と声をかけてくれました。みんな、村から急に姿を消して、一晩経っても戻らなかった私を心配してくれていたそうです。何人かの男の人は、危険を承知で森の中にまで探しに行ってくれていました。本当に、申し訳ないです。


 あと、婚約していた男の子とその家族は、泣きながら謝ってくれました。酷いことを言ってすまなかった、と。私がいなくなったと聞いて、自分達の口論を私が聞いてしまったことに気付いたそうです。彼らは、私の家族にも謝ってくれていました。


 私は、忘れてしまっていたのです。自分が大好きだった、この村の人達の優しさを。この村が好きだった、一番の理由を。本当に、ダメな娘です。


 顔が綺麗になっても、村の人の私に対する接し方は変わりません。少しだけ、村の男の子の私を見る目が変わった気もしますが、それはご愛敬です。


 女の子からは、『美人になって羨ましい』なんて言われますが、今まで通りの友達付き合いを続けてもらっています。


 顔じゃなかったんです。


 ブスだろうとなんだろうと、メアリーという一人の人間を村の人達は大切に思ってくれていたんです。ブスだったころの私は、そんなことすら見えていなかったんです。


 そういえば、あのオークさんはどうしているでしょうか?

 

 村の人達には、あったことをそのまま話しましたが、誰も信じてはくれませんでした。『オークは酷い化け物だ』とみんなが怖い顔をして言うんです。


 結局、村の人達は、私が“森の賢者様”に顔を綺麗にしてもらったと思っています。


 それはそれで、間違っていないと思います。私の顔を治してくれたオークさんは、間違いなく賢者様ですから。


 賢者様が元の人間の姿に戻れた時、もう一度お礼を言えることを願っています。オークのままの姿だと、感謝の気持ちがちゃんと伝わっているかが不安なんです。あの人は、私の命の恩人です。その気持ちを、ちゃんと伝えたいです。


 ブスだった頃は絶対に見たくなかった、鏡に映る自分。今、映っているのはまるで別人のようです。


 オークさんが見せてくれた、あの薄い不思議な板に映っていた美人さんにそっくりな顔。だけど、よく見ると至る所に、メアリー=クルーエルがいます。この顔は、間違いなく私の顔です。


 自分の顔を愛せるということは、幸せなことです。それはきっと、自分を愛することに繋がるから。ブスな自分を愛することが出来なかった、弱くて情けない私に、神様がくれたプレゼント。これからは、ちゃんと自分を愛してあげたいと思います。


 鏡をしまい、私は家の外へと飛び出します。


 キラキラと朝日が照らす、新しい一日。今日も頑張って生きていきたいと思います。


良ければ、感想・評価などお願いします。励みになります!泣いて喜びます(´;ω;`)

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