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ビューティー・オーク  ~ オークになった美容外科医、世界を変える ~  作者: 香坂 蓮
漢であるということ……そこに、人とかブタとかは関係ない。
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~ 第七話  オークの流儀、アルミンが知る真実 ~

後悔はしていない。しかし、反省はしている。


そんな本日二話目、どうぞ!

 赤い熊との戦いが終わってから、もうだいぶ経った。おかげさまで、僕の背中の傷口も塞がって、だいぶ動けるようになった。

 

 ケガで動けない間は、ずっとナディアが僕のお世話をしてくれたんだ。本当に幸せ者だよ、僕は。

 

 プロポーズを受けてくれてから、ナディアは今までよりも優しくなった。男っぽい喋り方や豪快な性格はそのままだけど、言葉や行動の端々に女の子を感じるんだ。それがもうかわいくてかわいくて……毎日僕は彼女を好きになっていく。


 完璧にケガが治って狩りにも行けるようになったら、正式にナディアと結婚しようと思ってる。

 

 もう、僕に怖いものなんて何もない! ……と思ってたんだけど、由々しき問題が僕の前に立ちはだかったんだ。


 ある日、お父さんが真剣な顔で僕に言ったんだ。結婚するんなら、お前も子供の作り方を知らなければいけないって。


 確かに、言われてみれば子供ってどうやってつくるんだろう?夫婦になったら勝手に産まれるものじゃないんだ?


 そしてその日の夜。僕は子供の作り方を知ったんだ。裸になったお父さんとお母さんが、実際にどうすれば子供が出来るのかを見せてくれたんだ。知らなかった……僕の“あそこ”についているものが、ああやって使うものだったなんて。

 

 お父さん曰く、オークは親が実際に子作りをしているところを見せることで、子供にそのやり方を伝えていくものらしい。両親の裸を見るのは少し気恥ずかしかったけど、子作りの真実を知れたことは本当によかった。知らなかったら、恥をかくところだった。


 でも、僕はその場で気付いてしまったんだ。お父さんの“あそこ”と、僕の“あそこ”の形が違うことに。


『ぶぎょぶご? ぶが、ぶごご、ぷげぎゃぶが?』 (ねぇお父さん? なんで僕とお父さんじゃあ、“あそこ”の形が違うの?)


 その質問に、お父さんは気まずそうだった。代わりにお母さんが答えてくれたんだけど、それは衝撃的な真実だったんだ。


 なんと! 大人になると、“あそこ”の皮が剥けて、今のお父さんみたいな形になるらしい。だけど何人かに一人は、皮が剥けない、つまり大人になれないまま一生を終えるそうだ。


 知らなかった……。僕の“あそこ”は、子供のままだったなんて。


 肩を落とす僕に、お母さんが優しく声を掛けてくれる。


『ぶごぶや。ぶぎゃ、ぷきょぷごぶぎゃ』 (大丈夫よ。女はそんなこと、気にしないから)


 そうかもしれない。だけど、ナディアは気にするかもしれない。彼女は弱っちい男は嫌いだ。だったら、“あそこ”が子供のままの僕に、幻滅するかもしれない。

 

 どうしよう……。


 せっかく頑張って、ナディアに気持ちを伝えたのに、あんまりだ。なんとかして皮を剥こうとしても、すぐに戻ってしまう。それに、すごく痛い。


 僕は、すごく悩んだ。


 両親は大丈夫だって言うし、他の誰かに打ち明けられることじゃないし、一人で五日間も悩んだ。だけど答えは出なくて……やっぱりアルトに相談しようって決めたんだ。



 再びアルトを呼び出して相談をしようと思ったんだけど、やっぱり少し恥ずかしい。そんな僕を見て何を勘違いしたのか、アルトは心配そうな顔で『ナディア以外に好きな人が出来たとか……やめろよ?』なんて言ってくる。


『ぶぎゃ! ぷぶ、ぶがごぶぎゃ!』 (違う! 僕はナディアにゾッコンだ!)


 僕の答えに、茶化すようにして口笛を吹くアルト。もうっ! 僕は真剣に悩んでいるのに!


 睨み付けるとアルトは、誤魔化すように笑ってから真剣に話を聞こうとしてくれた。


『ぶご…・・・ぶぎゃぷご……ぷぷ』 (あのさ……お前、その……あの)


『ぶがが……ぶぎゃぷぎゃっ』 (なんだよ……言っちまえよ)


『ぶふぶご……ぶがぎゃ?』 (あそこってさ! ……どうなってる?)


 なんのことか分からない顔をしているアルト。


 あぁもうっ! なんで普段は察しがいいのに、こういう時だけ鈍いんだよっ!


『ぶふご! ……ぶぎゃふぎゃ!』 (あそこだよ! ……男の大事なところ!)


 ヤケクソ気味に叫ぶ僕。アルトは、右手の握りこぶしをポンっと、左の掌に打ち付けた。一体どういう意味なんだろう。


『ぶがふこふが?』 (ち○こがどうした?)


『ぶふ……ぶきゃぷぎょふご』 (お前……そんなはっきりと言うなよ)


『ぶふう……ふごふがぶごご?』 (面倒くさいなぁ。じゃあ……ペニスがどうした?)


『ぶが?』 (ぺ、ぺに?)


『ぶごご。ぶがふがふぎゃ』 (ペ・ニ・ス。ち○このことだ)


 本当に、アルトは物知りだ。『ペニス』なんて言葉、初めて聞いたよ。


 思えば、アルトに教えてもらった言葉はいっぱいある。例えば、僕は脚だけは自慢なんだ。筋肉がしっかりついていて、だけど太過ぎない。こういう脚のことを『ハムみたいな脚』って言うらしいんだ。知らなかっただろ?

 

 だから、今回教えてもらった言葉も忘れないようにしなきゃね。ええっと、『ペニス』、『ペニス』っと。


 ……ってそこじゃないよ、僕が聞きたいのは。


『ぶごごぶ……ぶがぶぎゃ、ふごふげ?』 (ペニスってさ……大人になったら、変わるものなのか?)


 再び、右手の拳で左手にポンってするアルト。なんか、オシャレでかっこいいな。


『ぶふぅ……ぶごぶぎゃ、ぶがぶごぷぎょ?』 (あれか……皮が剥けるか剥けないか、ってことか?)


 やっぱりアルトはすごいやっ! 僕の聞きたいことをすぐに見抜いちゃった。それに、当たり前みたいに“あそこ”の……じゃなくて、ペニスの皮が剥けることも知っていた。僕なんか、つい最近まで知らなかったのに。


『ぶが』 (見せてみろ)


 感激している僕に、とんでもない言葉を投げかけるアルト。


『……ぶふ?』 (……はい?)


『ぶぎゃぶがが……ぶごご、ふぎゃぶがぷぼ』 (お前のち○こ、じゃない、ペニスを俺に見せてみろ!)


『ぶぎゃ!? ぶがぶが!』 (はぁあ!? やだよ!)


 なんで見せないといけないのさっ!? いくらアルトでもそれは出来ないよっ! 僕が僕のペニスを見せるのは、ナディアと将来産まれてくる僕の子供達だけだ。


 だけど、アルトは一度言い出すとめちゃくちゃ頑固だ。絶対に引き下がらない。


 結局、僕は根負けして、アルトにペニスを見せる羽目になったんだ。……うぅ、なんでこんなことに。


『ぶごっ……ふがが』 (ふむ……真性だな)


 僕の恥ずかしさなんかまるで気にした様子もなく、ブツブツと何か呟きながら僕のペニスを凝視するアルト。変わってるとは思ってたけど……本当に変な奴だ。


『ぶぎょぶも……ぶがっ、ぶごぷご、ぷぎゃ?』 (アルミンよ……お前はこの、剥けていない状態が嫌なのか?)


 いつもと違う、なんだか大人っぽい言葉遣いでアルトが聞いてくる。


 当たり前じゃないか! もしもこれが原因で、ナディアに嫌われたらどうするんだ!


『ぶごぷぶぶぎゃ……ぶが、ぶぎゃぷごぶぎょ』 (ナディアは気にしないと思うけど……でも雑菌とかを考えるとな)


 また、ブツブツと独り言を言うアルト。もうっ! なんなんだよ!?


『ぶぎょが、ぶごぷごぶ』 (どうしても、剥きたいんだな?)


『ぶぎょが!ぶごぷごっ!』 (どうしても! 剥きたいんだっ!)


 僕がそう答えた瞬間、目の前が急に真っ白になって……僕は気を失ってしまったんだ。


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