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ビューティー・オーク  ~ オークになった美容外科医、世界を変える ~  作者: 香坂 蓮
漢であるということ……そこに、人とかブタとかは関係ない。
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~ 第四話  オークの‟あそこ”事情 ~

 オークの回復力はすごい。すごいのだが、その回復力をもってしてもアルミンの傷は中々に治らなかった。かなり長い時間、ブラッディベアを抑え込んでいたのだからそれも仕方ないか。


 しかし、だ。ケガが治るまでの時間、アルミンは幸せだったはずだ。なんてったって愛しのナディアが付きっきりで看病をしてくれたわけだからな。多少やり方が雑だとしても、幸せなことに違いない。


『うぎゅう! ぶぎ、ぶぎが!』 (肉を喰え、アルミン。そうすれば治る!)


 うん。オークらしくていいよね!


 美容整形の観点から言うならば、傷口が目立たないようにしてあげるべきかもしれない。


 しかし、オークにとってそれは野暮ってもんだ。


 集落の全員が、アルミンの傷を名誉の負傷だと思っているのに、それを消す必要がどこにあるっていうんだ。誇りに思うことで、傷すらも美しくなることがある。それは、オークになってから学んだことかもしれない。


 にしてもアルミン……リア充だなぁ。


 結婚を目前に控え、嫁になるナディアとイチャイチャ全開だ。見ろよ、豚同士が鶏肉で「あーん」してるんだぜ? アルミンったら猫舌だから、焼いた肉の熱さに目を白黒させてるんだぜ? どっから突っ込めばいいか分からねえよ。


 まぁでも、よかったよ。これで恋の伝道師、ラブリー・アルトの仕事は終わったな。さて、次の悩める子羊が俺を呼んでいる! ……悩める子豚、かな?


………

……



 さて、アルミンの傷も無事に塞がって久しくなった頃、いつかのあの日と同じく、俺は深刻そうなアルミンに二人だけで話したい、と呼び出された。


 なんだよ、深刻な感じだな?

 

 もしかして……ナディア以外に好きな人が出来た、とかじゃねぇだろうな? 止めろよ? 集落が滅ぶぞ?


『ぶぎゃ! ぷぶ、ぶがごぶぎゃ!』 (違う!僕はナディアにゾッコンだ!)


 わーお! 失礼しました。ゾッコン……ナウいね!


 そんな、少しふざけてしまった俺を責めるように、アルミンが睨み付けてくる。分かったよ、ちゃんと聞くから。


『ぶご…・・・ぶぎゃぷご……ぷぷ』 (あのさ……お前、その……あの)


 なんだよ!? ナディアのこと打ち明けてくれたとき以上にモジモジしてるじゃねぇか。いかつい豚の照れる姿に需要なんざねーよ!


『ぶふぶご……ぶがぎゃ?』 (あそこってさ!……どうなってる?)


 あそこ? ……どこ?


『ぶふご! ……ぶぎゃふぎゃ!』 (あそこだよ! ……男の大事なところ!)


 あぁ、あそこね!


 はいはい分かった。要はち○こだ。


『ぶがふこふが?』 (ち○こがどうした?)


『ぶふ……ぶきゃぷぎょふご』 (お前……そんなはっきりと言うなよ)


『ぶふう……ふごふがぶごご?』 (面倒くさいなぁ。じゃあ……ペニスがどうした?)


『ぶが?』 (ぺ、ぺに?)


『ぶごご。ぶがふがふぎゃ』 (ペ・ニ・ス。ち○このことだ)


 「ペニス、ペニス」と不思議そうに復唱する豚。シュール過ぎるな。この際、色々と教え込んでやろうか? 放送禁止用語というやつを。


『ぶごごぶ……ぶがぶぎゃ、ふごふげ?』 (ペニスってさ……大人になったら、変わるものって、知ってる?)


 あぁ……何を相談したいのか、分かったよ。そいつぁ深刻だな、アルミン。


 何を隠そうオークにも、漢が一皮むけるシステムが存在するんだ。本家本物の豚がどうかは知らないが、ひとまず俺は、ち○こは人間仕様なんだと理解している。


 そうなってくると、当然あの問題が出てくる。そう! 包茎だ。


 人間と比べると、オークの包茎問題は実はそう深刻なことではない。


 というのも、そもそも性教育というものが存在しないため、一皮むけるシステムを知らない雌オークも多い。彼女達がそのシステムを知るのは、あったとしても、大人になってからのガールズトークだ。

 

 さらにぶっちゃけた話をするならば、オークは貞操観念が非常に高い。結婚するまでSEXはしないし、結婚後は、伴侶以外との不貞は大罪と認識される。不貞を犯したものは、男女共に村中からタコ殴りにされるんだ、恐ろしいだろ?


 なにが言いたいかって? 人間と違って、他の異性と比べる機会ってもんが無いんだ。


 なので、小さかろうが剥けてなかろうが、ガバガバだろうが色素が沈着してようが、『そういうもんだ』で終わってしまうんだ。エロ本なんてもんもないしな。


 とはいえ、だ。やはり包茎はデリケートな問題だ。人生の一大決戦を前にして、自分の武器がちゃちかったら、不安だろ?


『ぶが』 (見せてみろ)


『……ぶふ?』 (……はい?)


『ぶぎゃぶがが……ぶごご、ふぎゃぶがぷぼ』 (お前のち○こ、じゃない、ペニスを俺に見せてみろ!)


『ぶぎゃ!? ぶがぶが!』 (はぁあ!? やだよ!)


 馬鹿者! 見なきゃ分からんでしょうが! 仮性なのか、真性なのか! 治療の必要があるのか、それとも無いのか! 俺より大きいのか、それとも小さい……これは余計だったな。


 その後、俺とアルミンの『ち○こ見せるか論争』は、俺の体感で三十分程続いた。結局、俺の熱意と巧みな話術にのせられ、アルミンは腰巻を下ろした。……うん、真性だね。


 冷静さを取り戻してから、ふと思う。良かったよ……集落の奴に見つからなくて。親友に、ち○こを見せろと詰め寄る雄ブタ……アウトだろ


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