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~ 第八話  交易発展の突破口 ~

気付けば100話を越えていました! 自分でもびっくりです(笑)今後とも、本作品をよろしくお願いいたします。

「面白いっ! 人間、面白いもの持ってるっ!」


 解体しようとして爆発したコインに、異様に盛り上がるベルグ族ご一行。基本的に好奇心多めな種族らしい。


「リリー! 交易? をするなら、俺達は面白いものが欲しい!」


 おっと、ここにきてベルグ族の皆さんからオーダーが出たぞ。


 面白い物や珍しい物を用意すれば、何かいい物と交換してもらえるかもしれないってわけだ。


「面白い物……ですか」


 イケメンオークの通訳を聞いたリリーちゃんは、他の人と一緒に考え込んでしまう。


「ベルグ族の方々にとって、何が目新しいものなのかが分かりませんからな」


 ハリソンさんの呟きに俺は納得させられた。


 そもそもコインなんか、リリーちゃん達からすれば何も珍しいものではないわけだ。そんなもので、ここまでベルグ族のテンションが上がるなんて想像もしていなかっただろう。価値観の違いってやつだな。


 悩む一同。


 そんな中、俺はあることに気付いてしまう。イケメンは洞察力も鋭いのだよ。女子のちょっとした変化に気付けてこそのイケメンってわけだ。


――リリーちゃん。けしょうひん、ある?


「化粧……ですか?」


 見た感じ、リリーちゃんは薄目ではあるがメイクをしている。リリーちゃん付きのメイドであるおっぱい大きめなアガサちゃんはしっかりメイクだ。


 つまり、この世界にも化粧は存在している。世界を超えても美を探求する女性という生き物に、美のカリスマとして多大なリスペクトを感じずにはいられないな。 


 ……ツッコンでくれていいのよ? ボケてるんだから。


 くだらないことは置いといて、俺は本題に入る。


――けしょうすい、ある? はだのうるおいを、たもつもの、ある?


 そう、化粧水である。


 顔を洗った後、肌の潤いを保ってくれる乾燥肌や敏感肌の人にとっての必須アイテム。


 ニキビに悩む全国の若人諸君! 化粧水を使っているかい!? 


 洗顔、そして保湿を正しくするだけでもニキビはマシになるんだぜ? 嘘だと思うんなら一か月、母ちゃんか姉ちゃんの化粧水をこっそり使ってみな!


「……アガサ? ありますか?」


「はい。リリー様」


 不思議そうな顔をしながらも、アガサちゃんを呼び寄せるリリーちゃん。なんだか分からないけれど、とりあえず言葉には従ってくれるところに俺への信頼を感じる。……嬉しい。


 アガサちゃんがおっぱいをバインバインさせながらやってくる。


 何度見てもすげぇ……オークより巨乳だなんて。一回でいいから揉ませてくれないかな。いや、エロい意味じゃなくて、知的好奇心を満たすためにね?


「アルト様。これはアクアスライムから成分を抽出して作られる化粧品です」


 瓶詰された液体を両手に持って俺へと差し出すアガサちゃん。俺の邪な内心を知ってか知らずか、おっぱいが腕に挟まれてむぎゅーってなっている。


 ……優しく触れていいですか?


 ダメだよな。うん、反省。


 えっと、なんだっけ? アクアスライム?


 まぁ、森にもスライムはいたからな。アクアなやつがいたっておかしくはない。


「アクアスライムは綺麗な水辺にしか住みつくことのない特殊なスライムです。そのスライムから抽出された成分と、他の薬効がある素材を組み合わせることで肌に優しい化粧水にしあげているそうです」


 まるで化粧品メーカーの広報さんみたいに詳しい説明をしてくれるアガサちゃん。夜中の通販に出てきそうだな。


「アルトさんに言われた通り、私の肌に合う化粧品をアガサに頼んで探してもらったのです。この化粧水のおかげで、肌の調子がさらによくなりました」


 リリーちゃんは顔に大火傷を負った子だ。


 オペと湿潤治療で回復はしたものの、お肌のケアはとても重要になってくる。彼女に合うスキンケア商品がこの世界にも存在して本当に良かった。


「ちなみに……私もちゃっかり使わせてもらってます」


 アガサちゃんが小悪魔的な表情を浮かべながら、少し得意げな声で俺に教えてくれた。


 ちなみに彼氏募集中らしい。全国の男子諸君、早い者勝ちだぞ?


――すこし、つかってもいい?


 リリーちゃんにオッケーをもらい、オークの厳つい手の上に化粧水を一滴乗せる。ハーブっぽい香りのそれを手に馴染ませると、豚の肌がプルプルに! さすが豚足! コラーゲンたっぷりっ!


 ……冗談は置いといて、肌によく馴染むアクアスライムの化粧水はオークの肌にも潤いを与えてくれているように思える。詳しい薬効などはさすがに分からないけど、前世の化粧品に近いように思えた。


 これならいけるか?


 俺はビアス君の後ろに控えているベルグ族の人達の中から一人、女の人を呼び寄せる。彼女の顔も、髭の剃り跡で青くなっている。女性も髭が生えてくるようだ。


 ただ……よーく見ると彼女の肌はカミソリ負けしていた。


――このひとに、けしょうすいのつかいかた、おしえてあげて。


 俺からのお願いに、リリーちゃんも肌荒れベルグ族ガールのお肌を確認する。うむ、察してくれたようだな。


 リリーちゃん、アガサちゃん、肌荒れちゃんによる化粧水の実演コーナーが始まるのを俺はソワソワしながら見ている。


 肌荒れちゃんのお肌は、スキンケアをしているようには見えない。


 ならば、スキンケア商品はベルグ族の皆さんにとって“欲しい物”になる可能性があるってことだ。なにせカミソリ負けしたお肌の痛みは半端ないからな。


 化粧水の需要が大きければ、交易の一つの軸に出来るだろう。そうなれば、人間とベルグ族との関係は大きく前進する。


 初めて化粧水というものを使うベルグ族の女の子を見ながら俺は、人間とベルグ族が互いに補い合う未来を想う。


 あわよくば、オークにもおこぼれをください。神様、マジでお願いします。 


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