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果ての見えない海原に目を向け、草の香りに混ざる潮の匂いをひと呼吸ごと吸い込みながら、私は言葉も無く茫然と立ち尽くす。
言葉なんて出るわけない。第100階層『はじまりの大地』って……確かに下の階から上がって来たら100階層目なのかもしれないけど、ここ、一体どこの惑星なんだろ?
地球───なわけは、ない。
空に月が二つもあるし、海の色の空の色も空気の匂いも汚染されてるとかされてないとかの問題じゃなく、地球のものとはたぶん違う。
だからたぶん別の惑星。
ノア君が地球以外の惑星から来た宇宙人だってことは聞いてたし、他の惑星に移動してることに不思議はないってのは分かるんだよ。
記憶にない神さまうっかりのお詫び転生で中二妄想現実化ってよりはソレっぽいし、宇宙トップレベルのスーパースペシャルな科学力で別の身体作られて、そこに記憶注入って方が全然納得い……いく、かも?
まあ、まだそっちの方が現実的な気がする……ような、気が、しないでもない……かも、しれない。
───細かいことはどうでもいいんだよ。
死んで終わりだと思ったら、生き返らせてもらえてまたノア君に逢えるとか、あり得ないくらいの幸運だもん。
だから私が二人目の私なのはいい。
それはいいんだけど、ここ……いったいどこなんだろう?
地球からどれくらい離れているのかな?
遠くに来たのが嫌とかじゃなくて、どのくらいの時間をかけてここまで来たのかが私はすごく気になった。
だって、地球の近所にこんな惑星ってたぶんなかった筈だよね?
すごい発達した科学のトコから来たんなら、もちろんすごい宇宙船で来たんだろうし、そんなすごい宇宙船なら遠い距離の移動だってすごーく早く出来るんだろうけど、それにしたって宇宙ってめちゃくちゃ広いんだからそれなりに時間とかかかるんじゃないの?
同じ太陽系の木星まで行くのにスペースシャトルで確か2年半くらいかかるんだって聞いたよ?
光の速さで一光年って光くらいに早くても一年かかるってことなんだし、それ以上早くてもやっぱりそれなりにかかると思うんだけど……どうなのかな?
で、それなりに長い時間……月単位とか年単位とかの時間をかけてここまで来て、惑星一個分の動物とか植物とか全部、私がバカみたいに垂れ流した妄想話に合致するように改造するのにかかる時間って、一体どれくらい?
ああ……そうだ。この『はじまりの地』以外の階層全部もノア君は作ってるんだ。
それから、私も。
『素晴らしい景色だろう。お前が見ているその海の向こうには、この大陸よりももっと広い大地が広がっておるのだ。そこにはお前が他階層で見たのとよく似た景色も広がるが、まだ見ぬものも数多あるのだぞ。巨大な地洞穴に、密林に沈みかけた遺跡。湖水に住む門番竜が護る迷宮から持ち帰った鍵でのみ開く扉からのみ入れる隠しダンジョンもこの世界のどこかにあるが、その場所については語るまい』
ただでさえ今日ここに至るまでに思いを馳せて声もない私の横にふわふわと浮かびながら、ジルは更にノア君が今まで辿って来た道の果てしなさを私に思い知らせた。
『この尽きせぬ冒険に満ちた世界のすべてを、たったお一人で創出する……。マスター・ノアは中央宇宙連盟所属の種族、惑星でも広く才を認められている真の天才なのだ』
ノア君はこの世界をたった一人で創れるくらいのすごい天才だったんだ。
そっか……ノア君、一人で……か。
このゴールディロックス階層世界って、なんかどっかの惑星の国とか企業とか団体とかのプロジェクトとかじゃなく、個人的に創ったものなんだね。
そう言えば死んだ私を蘇らせるために脳みそだけ持ち出すのだって、レンメイのルールだとグレーゾーンっぽいことジルが言ってたし、ここ作るのも他の人は関わらせられなかったのかも?
「ノア君ってさ……お金持ちなんだね」
過去世だと私は企業の偉い人になったことも研究者になったこともないし、それどころか社会人にすらならずに私は死んでる。
だから本当のところこの目でそういう現実を見たわけじゃないけど、研究とか開発とかそういうものってたくさんお金がかかるんだろうなー……とは思ってた。
いや、いちおう現世だと私も冒険者として独り立ちしてるし、装備とか消耗品とかその他、生活してるだけでもお金って色々たくさんかかってるの分かってる。だから、既製品買うのと違って個人装備特注したりするとビックリするくらい高いのを知ってるから……なんか、変わった物とか変わったことしようとする時ってよけいに高くつくってことは実感としてるだけに、絶対ここ創るのにはとんでもない額の資金が必要だっただろうって思うんだよ。
何しろ、惑星一個分だし……。
ってか、惑星ももしかして個人所有だったりする……ん、だよね?
国とか企業の協賛もないのにこういうこと出来るって、才能あるだけじゃなくてそれだけの資金力も持ってないと絶対に無理だよね。
『無論だ。もともとの出自も有力一族ではあるが、マスター・ノア個人が学究生活の中で見出した世に有用な技術もあれば、彼の方が修める各分野の後進にとって必修たる著作もまた数多ある。……まあ、なんだ……お前にも分かり易く説明するならば、マスター・ノアは著作権や特許と言った知的財産権を相当数所有しており、そこから得た財産を長きに渡る人生の中、都度最適な形で運用して来た結果、お前にとってはもう"莫大"としか表現しようが無いだけの財を得ている。……そういう事になるな。まあ、そのような財貨を持つ上に秀でた頭脳と類まれなる美貌までもを備えるせいで、先刻お前に語ったような輩に懸想され粘着される苦労も多かったのだがな……』
……なんか、やっぱりノア君はお金持ちらしい。
それはそうと、昇降機から落ちそうになったり『はじまりの地』が丸々惑星一個で驚いてたりですっかり頭からすっぽ抜けてたけど、思い返すだけでまたムカついて来たんだけど。
ギリギリギリギリ……っと、思わず食いしばった歯が軋みを立てた。
「……ストーカー女め」
自分のモノにならないからって、ノア君に酷いことをして……っ。
「他の誰が許したって絶対に許さないんだから……絶対にだぁ」
出来ることならこの手で成敗してやりたい……と、ブツブツと呟く私の言葉を受け、ジルはあっさりそれは不可能だと私に言った。
『いかにお前が怒りを深くしようとも、もう既にこの世に存在しない者に対して復讐するのは無理であろう』
と。
「え……まさか、逮捕された後で死刑になった、とか?」
『死刑などと言う刑罰を採用する統治組織は連盟内に殆ど存在せぬ。……だがそれ以前、もはやあの愚か者はとうの昔に寿命でこの世を去っているぞ』
半分以上はそうじゃないだろうとは思いつつ投げた疑問に、返されたのはやっぱり否定の言葉。
「……そっか」
ああ……そっか。
うん……そっか。
ってか、なんかさ……さっきからジルが何度も匂わせてたこと、スルーしようとしてたけどやっぱりここまでしつこく繰り返してるんだし、そうは行かないよね。
「ねえジル……私が地球で死んでから今までって、どのくらいの時間が経ってる……?」
本当のところ、聞きたくない。
でも、さすがにそこを無視するわけにはいかないんだと思う。
だって、やっぱり私も気になるよ。……気になってたよ。
もし近くにこんな地球っぽい惑星があったなら、きっとあんなふうに地球が滅びちゃう前にみんなで頑張って脱出とか移住とかしようとしただろうし、たぶんここってすっごく遠い場所だよね?
それこそ、同じ銀河じゃなかったりするのかもしれないくらい。
で、そんな遠い惑星に来るまでかかった時間に、こうして惑星ひとつの環境とか生態系をノア君一人で冒険者仕様ででっち上げるのにかかる時間って、一体どれだけなの?
ツルンと鏡みたいに滑らかなジルの表面に、海と空と草原と、それから白い髪に金目銀目の小娘がみっともなく泣きそうな顔をしてるのが映っている。
『……うむ。地球時間に換算して、あれから827年と124日が経過しておるな……』
「はっぴゃく、にじゅう、なな……年」
地球から別の惑星に移動して、その惑星をまるっと一つ改造するのにかかった時間として、それが長いのか長くないのか判断する基準なんて私は持っていないし、ちょっと今ショックで頭が麻痺してるみたいになってて考えられないんだけど、827年……って言うと、過去世で私が死んだのが大体17歳くらいだったから、それだけあれば過去世の人生が……ざっと48とか49回分ってことになるし、お婆ちゃんになるまで長く生きたとしても80歳なら人生十回分以上。
……長いよね。
うん、長いよ。
生まれてからお年寄りになって死ぬまでの人生10回分は、すごーく、すごく長い。
「……長い、ね」
ひび割れた声で呟く私に、ジルは同意を返す。
「そうだな。地球人の人生の長さを考えれば、長い」
地球人の人生の長さを……か。
ジルとの会話の中で分かっていたことだけど、ノア君はきっととても長い寿命を持ってる。
初めて出逢った時には身体は子供なノア君だったけど、あの時にはもう私なんかが考えも及ばないくらい長く生きて来てたんだろうし、それからまた今までに八百年以上の時間が経ってる。
……ああ、嫌だなあ……聞きたくない。
知りたくないけど、きっといつまでも目を背けてる訳にはいかないんだよね……。
「でさ、ジル。……私って、ノア君が治療用水槽で回復して出て来るまで、生きていられるのかな?」
何度も何度もジルがノア君が長命種だって匂わせてることとか、あれだけしつこく繰り返してればさすがに気が付くよ。
それにジル、私の記憶が戻らなかった場合、私が幸せな一生を過ごした記録をノア君に見せるんだって言ってたもん。それってアレでしょ?
ノア君が完全に回復した頃、私はもう存在しないんだって前提の話だよね。
『……正直、わからんのだ』
「わからんって、なに?」
『お前がどれほどの時を生きるのかが、だ』
「……え? なに? 私、どこか悪いところでもあるの……!?」
さっき私のこと頑健だって言ったばっかりなのに、実は余命いくばくもない儚い身だったりするの!!??
『………………不本意ながら、健康の面ではとくに無いとしか答えようがないな』
なにその"ちょっと頭悪いと思ってるけどそうは言えない"みたいな不服そうな言いぐさは!?
「具体的に、ノア君の回復って何年くらいかかるのよ?」
『完全に意識レベルを落とした状態で、凡そ120年と言ったところだ』
「ひゃく……にじゅう年、も」
過去世での一生換算だと7回分。
長生きしてお婆ちゃんまで生きてたとしたら一回半。
過去世の地球より若干寿命は長いっぽいこのゴールディロックス階層世界ではあるけど、頑張って長生きしたとしても120歳までってのはなかなか難しいかもしれない。
でもって、私はたぶん今もう19歳くらいになってるから、140歳くらいまで長生きしないと目覚めたノア君と逢うことが出来ないってことになるんだよね?
じゃあ私にとって、これから再会する短い時間だけがノア君と直接お話出来る最後になる可能性が高いってことなんだ……。
『最も細胞の劣化が激しい箇所が箇所だけに、どうしても修復に長い時間がな……』
ジルいわく、フツーこれほど時間がかかる事はないのだとか。
今回むやみに時間がかかるのは、滅多に出来ない滅びの観測を行うのに子供の身体に無理やり大人の脳を詰め込んだのが相当の負荷になってたことと、この世界を創るために地球からの移動中から到着後も継続して休むことなく、それこそ時に違法ギリギリの薬物を自分に投与してまで働いていたせいらしい。
「……私、ノア君を待っててあげられないかな。……ほら、魔導士って長生きだって言うじゃない?」
最高到達階層である第82階層に『永遠の剣』の人達が到達した時には主要メンバーは既に壮年と呼ばれる年齢になってたって話だし、それがもう70年近くも前であるなら、今も元気に暮らしているらしい『終焉の炎爆華』の二つ名持ちベルンハルトさんは、現在最低でも100歳……ことによっては120歳近い年齢になっているはず。
だったら私にも可能性はあるんじゃないかと勢い込んでそれを聞いてみるも
『いや、魔導士が長生きなのは、メンテナンスの賜物だ』
……と、ジルからは素気無い答えが返された。
魔法とか魔導と呼ばれる本来存在しない現象を可能にするため、私の身体の中にナノマシンが仕込まれてるのはさっき聞いて知ったこと。
これを私の身体に実際装備させるに先立って、その性能とか安全性の確認がノア君とかジルの手によって、それはもう執拗に試験されたんだとか。
で、私が本番であるのだからそれ以前の魔導士……試験運用のモルモットになった人達は、魔導現象発現用ナノマシンが人体に悪影響を及ばしていないかを当然のように検査されるわけで、そういう人達は何かと理由をつけては治療用水槽に入れられ精査されつつメンテナンスを受けてたらしく……うん。魔導士長生き説は、結局本人の知らないところで健康にすごく気を遣われてたのと、治療用水槽の中で過ごした期間が長いせいで、寿命に下駄をはかされてたってだけの話らしい。
「なにそれ……」
あっけなく魔導士長生き説の希望が潰えて心を折られかけるけど、まだ終わりじゃない。まだ希望はある。
「じゃ、じゃあ、私もノア君と一緒に治療湯水槽で休眠状態になっちゃうとかっ」
『───無理だな。治療用水槽の溶液は制限なく浸かっていられるものではない。お前は地球での死亡時の重度の脳の損傷が原因で人格や記憶の再現が出来ぬため、あまりにも長く溶液の中に浸かり過ぎた。短期間集中での使用程度であれば問題は起きぬが、年単位ともなれば……溶液への拒絶反応が生命を脅かすレベルで予想される。……お前が記憶の不完全な状態でゴールディロックス階層世界に解き放たれたのには、それなりの理由があるのだ』
えー……解き放たれたとかって"害獣が逃げた"みたいな言い方がちょっと気になるけど、まあ、なんか私がこの世界にメイ・リンヒルとしてリリースされたのには、そんな事情があったらしい。
身体の損傷を補修する治療用水槽も何百年って単位で浸かり過ぎるとさすがに良くないのか……長時間水に浸ってふやけまくったみたいな感じかな……?
「じゃあ……じゃあ……じゃあ、SF的なコールドスリープ技術とか有ったりは?」
『ない事も無いが……人間種にその技術を施す場合完全復帰率は時間の経過とともに低下し、100年を越えると成功率は一桁台前半となる』
「ぅえ!? えーと、それじゃあ……ノア君みたいに予備のボディを作って貰ってそっちに私の記憶移してから治療用水槽で休眠───なんてことは?」
それなら溶液へのアレルギー反応も起きないだろうと思ったんだけど。
『連盟のルールに抵触する。予備のボディ作成を許されるのはマスター・ノアのような功績ある者限定だ』
「えー? だって私のこの身体も造られたものなんでしょ? 新規作成はいいのに予備つくるのダメってどうして??」
『細かな説明をしても理解できまいが、既存の低レベル文明との接触は規約違反になっても、世界の創造自体は申請さえすれば可能なのだ。当然厳しい規定規約は存在するのだが、お前の存在は許可済みの『創造』の枠内に入っているため、許可された規約の範囲だ。もっとも、お前の記憶と人格が地球で生きていた実在の人物の復元であることは……まあ、黒に近いグレーゾーンではあるが』
「……秘密でこっそりとかも、無理?」
『私の意志とは関係なく、私には重大なルール違反を犯した時には自動的にしかるべき機関に通報されるようプログラミングされている。……不可能だな』
うう……便利なナノマシンメカ・ジルは便利だけど不便だった。
……当たり前だけど、私が考えつくようなことはとっくの昔に考査されてるんだよね。
いや……でも、まだあきらめるには早い。早すぎる。
えーと、まず治療用水槽の溶液に長期間浸かるのは無理。
コールドスリープは殆ど可能性無し。
新しい身体の作成は、許可がおりない。こっそりもダメ。
なら……そうだ。私をどうにかするんじゃなく、ノア君の方はどうなんだろう。
「ノア君の脳みそがダメなら、予備の身体に記憶とか人格を移すってのはどうなの?」
ストーカー女に一度殺された時には、脳みそが無事だったから新しい身体……子供ノア君の身体に前の大人ノア君の脳みそを移植したって話だったけど、私の場合と同じに、記憶とか人格とかだけ抽出して新しい身体の脳にそれを入れれば疲労で劣化してる細胞だって新しい物になるってことでしょ?
『記憶と人格の移し替えは出来ない』
「どうして!? 私はそうやってこの新品の身体に入ったんでしょ?」
『前提が違う。まず、お前とマスター・ノアでは移し替える容量の桁が違いすぎる。正直、彼の方の知識はあまりにも膨大過ぎ、新しい発想を生み出す才能は他の追随を許さぬほどの突出し過ぎておるため、とうていその頭脳の収める膨大な知と才溢れる人格の緻密な繋がりをそのまま移し替えるなど出来ぬ。……お前程度の単純な中身でさえ、人格や記憶の繋がりを完全な形で移し替えるのに苦労したのだ。……不可能事だな』
確かにとんでもなく長生きしてて、その間ずっといろんな専門分野を次々に修め続けたらしいノア君と、普通の小娘の17年分の記憶しかない私とじゃ、比べ物にならないのは分かる。
でも、ジルのその言いぐさに何気にディスの気配感じるのって私の被害妄想なのかな……?
私の、被害妄想なのかな!?
……今はそれどころじゃないから、まーいいけど。
『そもそもの話、通常時のマスター・ノアであれば数百年間程度、休みなく頭脳労働を行ったとしても恐らく現在のような細胞の劣化は怒らなかった筈だ』
数百年間を程度呼ばわりするのはツッコミたいけど
「……そうなんだ。じゃあ、どうして」
『そこで何故お前がマスター・ノアが細胞の修復を終えて目覚めるまで生きているかどうかわからないと言う話に戻るのだが、お前はマスター・ノアと同じ種族の人間が、一体どれほどの平均寿命を持つと思う?』
「え? なに、急に話が飛ぶと混乱するじゃない。ええと? ノア君の同族がどれくらい長生きするかって話……だよね?」
『そうだ』
私が地球で死んでから今日までで800年以上経ってて、それまでもきっと彼は何百年も生きてるんだよね。じゃあ、彼と同じ種族の人達も同じように長生きさんだろうから……なんか、それこそアレじゃない?
エルフとかハイエルフとか言うファンタジー種族並みの寿命てことだよね。
そう言えば旧約聖書に出て来る『ノア』って人もご長寿さんだった記憶がある。
おおー……『ノア』って名前は画数的に長生きなのかな!?
聖書って言えば、ノアの方舟の話の洪水から人間の寿命は120年までって定められたのは有名なお話だよね……そんな長生きしてる人、見たことないけど!
「えーとえーと。……に、二千年くらい!?」
現在ノア君がしおしおのお爺ちゃんであることを想定して、でも結構かなり控えめな数字を口にしながら、私は本当はもっとすごく多い数字を突き付けられるのを覚悟してたんだけど。
『いや、凡そだが120年だ』
へ?
「え………………????」
なんか、訳の分からない数字が返って来た。




