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four apple

僕の想いを神様に伝えられるなら、僕の願いは叶うでしょうか。



「ねぇ。チトセ。指輪の文字見て」

チトセは、指輪を箱から出すと、裏側を見て驚いた。

「Never love. To.T From.R」

読み上げられるとちょっと恥ずかしいな。

「どの指にはめればいいのかな?」

こてんと首を傾げながら、真っ赤な目で見てくる。

「左、じゃなくて右の薬指じゃない?」

左は、結婚指輪をはめる。右は、婚約指輪をはめるのだとか、ジュエリーショップの店員さんが言っていた。

くすっと笑ったチトセは、右の薬指にはめ、その手を天井に伸ばした。

そして、僕に見せて

「この感覚、懐かしい」

って、病院に入っからの今までで一番の笑顔を見せた。

「チトセ、僕の創る未来のいちばん傍にいてください」

ちゃんと伝わるかな?

僕は、君をもう失いたくないこと。

「澪、そうしたい。でも、澪には新しい婚約者の人がいる。私は...」

「チトセじゃなきゃ、結婚しても、好きにならない。子どもも作らない。ね?僕は、チトセしか目に見えてない。そのことは、ずっと知っているだろ?」

頷くチトセ。

「そういえば、中1の時だっけ?澪が、私に独占欲見せたのって」

ん?中1?覚えてない...

「忘れちゃった?『知十世は僕の婚約者なんだから、他の男の人見ないで』ってすごい見幕で言ってたこと」

え?あ、そういえば。恥ずかしい。

「言った。言いました。あぁ。恥ずかしい」

ふふって笑う知十世は出逢ったときから変わってないなって思った。

「他にもあるよ?婚約を知らない子が告白してきた時は『知十世は僕の婚約者だから』って言ったし。毎年開催の、お正月パーティーは、片っ端から私に話しかけてこようとする人に睨み付けてたし」

思い出す。数々の恥ずかしい歴史。

「まだまだあるよ。文化祭は」

「もう止めてください」

降参です。

きっと赤い顔してるんだろうな。

「顔赤いよ。こっち来て」

言われた通りに、行った。

手招きをされて、顔を近づけた。

すると、おでことおでこをあてた。

「熱はないね」

いや、熱上がった気がする。

頭を離した。

「ち~い」

呼びかけに目を見開いた。

その瞬間、チトセの頭を押さえて僕の唇とチトセのそれを重ねた。

愛しくて、何度も角度を変えて、キスした。

「れぃっ、」

また塞ぐ。何も言わなくていい。欲しくて欲しくて、ただキスをしていた。

「れっ、ちょっ」

拒まないで。

小さく開いた口の隙間から、僕の舌を滑られた。逃げるチトセを追いかける。掴まえられなくて、追いかけ続けた。

やっと掴まえたら、小さな甘い声が聴こえた。

そっと唇を離す。

「澪、ばか」

顔を赤くしたチトセは、

「りんごみたい」

だった。

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