表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/34

seventeen red

会えず、歩けずの車いす日々。

いくら短いといっても、僕にとっては、嫌でしかない。

歩けないおかげで、勉強をする以外の楽しみがないんだ。

もう、少し。あと、もう少しって、思うたびずっと、頭の中から、チトセが消えない。

そんななか、男性の怒鳴り声が聞こえてきた。

一応、僕は怪我人なのだが、そのあたりの考慮はどうなっているんだろうか?

電動の車いすで助かる。

僕は、その声のほうへ行ってみた。

そこは、応接間。

真矢さんと母、兄がいて、袴をはいている男性は真矢さんのお父さんだ。

 僕は、理解した。

 その瞬間、兄、史乃の頬に平手が飛んできた。

その手は、お義父さん。

「真矢は、江祇時家の跡取りと結婚するんじゃ!お前なんぞに大事な娘を渡せるか!」

これは、僕はいないほうがいいな。

「お父さん!」

真矢さんの鋭い悲鳴のような声が、いつもは穏やかな応接間を静かにさせた。

「楢木さん、史乃が失礼をいたしました。しかし、真矢さんは澪と一緒にいて、幸せになれるでしょうか?」

皆、母のほうを見た。

「楢木さん。澪は、まだ元婚約者が忘れられずにおります。その上、跡取りになる気もないと言っております。真矢さん、あなたが選びなさい。あなたのいく道です。他の誰でもない、真矢さん、あなたが選びなさい」

母のキリッとした言葉が空気を乾燥させた。

「わ、私は、史乃さんと一緒にいたい。いたいです、お父さん!」

隣で頬を腫らす兄は、叩かれたのとは別に、顔を赤くした。


小声で、呟いた。

《兄さん、よかったね》

と。


僕も、あんな風になれるかな?

分かり合えるかな?


兄の顔は、みるみる赤くなってその兄に、真矢さんが抱き付いて、楢木さんは黙り込んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ