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初心者の舘の前にて

携帯メールでの投稿って楽ですね。

 回復の泉にゆっくりと手を伸ばす。

 

 不思議な感触だ。


 明らかに水よりも軽い。それに濡れない。温度も感じられない不思議液体だ。自身を鑑定しながら泉に触れていると、SPが回復している。これはゲームと同じか。このゲーム、スタミナを表すSPは回復の泉で回復するのに、MPは回復しないという不親切機能だったな。


 少し減っていたSPが完全に回復するのを確認して、泉から手を抜く。


 感じていた空腹が、少し紛れた?


 まさかとは思いつつ流してしまったこの発見が、後にこんなに大事になるとはその時は全く気づいていなかった。


 初心者の舘をでる。


 これで回復の目処はたった。回復魔法はまだ中級までしか使えないからね。


 寝床としてはあまり望ましくはないけど、いざとなったらどこかの部屋を片付けて使うか。

 これであと、一番の問題は食べ物か。

 

 ここまでの歩いてきて、目につく所に食べれそうな果物や植物は見当たらなかった。動物どころか虫も見掛けない。


 虫か……。

 出来たら口にしたくはないな。


 今の保有スキルで食べ物探しに役立たそうなもの……。


 ないな。

 

 そう、錬金術師のスキルって一見万能そうに見えるけど、実は大きな問題がある。それがなにかと言えば、素材と道具がないと何も出来ないということ。


 今ばかりはアイテムコマンドが使えないのが恨めしくて仕方ない。果たしてゲーム時代に死ぬほど集めていたアイテム達は一体どうなっているのやら。

 取り出せないだけなのか、それとも存在自体がこの世界に迷い混んだときに消えてしまったのか。


 どちらにしろ使えないものは仕方ない。

 元々一般人でサバイバル知識なんてそれこそフィクションでしか知らない自分には地道に歩いて探すしかない。


 それでも、この初心者の舘を拠点にするつもり。

 迷子になるのは、回避はしたいところだ。


 さて、何かいい方法はないだろうか。パッと思い付くのは周りに散乱している瓦礫や石を積んで目印を作って、それが見えなくなるところまで移動したらまた同じように目印を積む方法。


 辺りを見回しながら、考え込む。


 材料には事欠かないが、周りが瓦礫だらけで視野が狭い。

 こまめに目印を作る必要があるな。


 探索範囲を広げるのに時間がかかって食料調達が間に合わない可能性が高くなるよな。

 瓦礫の上に目印を積むのも危険だし。崩れやすそうだ。


 そういや中級魔法に氷の砲台を作る魔法があったな。ゲームの中では遠隔操作で氷の弾を投擲する砲台を作成する魔法で、作成中は氷で出来てるのに溶けないし、大きさも待機状態で私の腰くらいまで高さがあるから目印にもなる。

 早速試してみますか。


「サモン アイスアーム」


 唱えると地面から、まるで氷でできた腕のようなものが生えてくる。全長で2メートル強のオブジェクトが現れた。

 試しに氷弾の投擲を意識してみる。すると氷の腕の先に直径10センチ程の氷のかたまりが生み出され、腕が水平に回転を始める。


 かなりの勢いだ。


 意識の片隅には砲台の位置とどこを狙うかが、何となく感じられる。適当に近くの瓦礫を狙って撃つよう意識する。

 次の瞬間、遠心力で信じられないくらいの加速された氷弾が瓦礫に激突。


 爆音。


 瓦礫どころか、周囲一体を巻き込み、もうもうと砂ぼこりが舞う。晴れてくるとまるで小さなクレーターのようになった地面。


 想像以上の威力だ。

 下手に使えないな。


 しかし何よりの発見は、遠隔地から砲台の位置がわかったこと。

 これはマーカーとして使えるな。


 まあ唯一の問題点はゲームの時と同じように砲台を維持しているとその間は一定量最大MPが減少するみたいだ。それでも数千とかの台数を維持すると支障が出てくるってだけなので無視できる範囲。


 早速砲台を初心者の舘の前にも作成する。この最初の二台を結ぶ直線、初心者の舘から最初の砲台へ向かう方向を仮の北とする。

 最初に目覚めた方角は北西やや西よりぐらいか。じゃあ東に向かって見ますか。何となくだけどね。


 私は本格的な探索のため、歩き出した。


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