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ねぐら

やっとしゃべります。

 ねぐらに着いた私は日課になっている日付の確認のためのチェックをする。ひいふうみ…、もう七日目。一週間か。


 こちらの世界に迷い混んですぐに気づいたのは周りが瓦礫ばかりだったこと。そして自分の体を見下ろすと見たことのないものを着ていたこと。

 あれ、確かついさっきまでいつものスエットを着てたよな。



 改めて両手を持ち上げ自身の衣類を改める。うん、これはいわゆるローブというやつか……。

 焦げ茶がかった生地に銀糸で星座の刺繍がされているローブ。よくよく見ていくと、さっきまでやっていたゲームのキャラの装備に似ているような。


 もしかしてと思い、ステータスと念じる……。

 

 はい、何も出ませんでした。


 ちょっと気落ちして自分の掌を見つめていると、ゲームの時のようなアイコンが!?

 思わずアイコンを注視すると、吹き出し状に広がりましたよ。


 そこに書かれていたのは自分のキャラ名、職:ハイプリーストレベル436、SP、MPの4項目。


 あれ、やっぱりゲームの中に……。


 でもコマンドウィンドウは開けないし……。

 

 そうか、もしかしてこれは、錬金術師の時に獲得した鑑定スキルが発動しているのか!


 それならと思い、魔術師時代に氷結魔法を覚える前に習得していた初級水魔法を唱える。


「いでよ、アクアドロップっ」


 呪文の発動に合わせ、目の前に拳大の水塊が出現する。水塊はすぐに重力に引かれ、草の乱雑に生えた地面へと落下する。水が跳ね返りローブの裾を濡らす。


 でた……。本当にできた……。


 両手を前に差しだし、手のひらの上に出現するよう意識して再び呪文を唱える。今度は、拳サイズの水塊が出現し、手のひらの上に落ちてくる。恐る恐る口をつけ、味を確認。ゆっくりと飲み込む。


 味は普通の水だ。どちらかと言うと純水に近い味がする。美味しくは無いがこれで水の確保は大丈夫だな。


 手のひらに溶け残った水も、しばらく消える気配はない。

 ふむ、魔力とかで作り出されたってよりは空気中の水分を集めてるのかな。

 水を捨て、手のひらを注視し自身のステータスを確認する。魔術師と錬金術師をマスターしたこのキャラクターのMPは膨大で、僅かながらMPが減少しているのが確認出来るが、それも見ているうちに最大MPまで回復する。


 自動MP回復のスキルも発動しているみたいだな。水飲むくらいなら特にMP残量は気にしなくてよし、と。


 次に、自身のMPを見ながら、どれくらいの範囲で水塊が出現させれるか確認する。

 何度か呪文を唱え、距離を変えながら拳大の水塊を発現させること十数回。

 どうやら距離の2乗に比例して消費MPが増えるようだなー。


 次に大体10メートルぐらい離れたところに拳大の水塊を発現させる。これで最初の100倍くらいのMP。まあ最大MPに比べれば些細な量なのは変わらない。

 次に同じ距離で水の量を2倍にして発現させる。

 う、うーん。2倍よりも少し少ないぐらいのMP消費。次に四倍の量を発現させると、MP消費は三倍に届かない程度にしか消費していない。


 しばし悩み、次に最初の半分の量の水塊を2つ同時に発現させてみる。上手くいくか心配しながらも、あっさりと成功。

 さて、消費MPはどれくらいかなー。ありゃ、水2倍よりやや多いな…。

 ここまでの試行錯誤で仮説をたてる。

 

 魔法を発現させるのに基礎となる部分に使われるMPと量を作るのに使われるMPが別計算、何じゃないかな。そして基礎の方がMPを喰う。まあこれだけの事例じゃあ、仮説の域は出ないけどね。


 次に氷結魔法を試す。初級中級はひととおり使えるな。これである程度の敵性存在がいても時間稼ぎくらいは大丈夫でしょ。え、上級以上は試さないかって。

 上級以上は基本的に範囲魔法よりも影響の大きな広域魔法がほとんどで、まだあんまり目立ちたくないし、何よりも周りが凍りついたら寒いでしょ。ほんとは氷結魔法の基礎であるアイスとアクアドロップを凍らせたときのMP消費とか色々実験したかったけど、だいぶ時間を食ったし、気持ちも落ち着いてきた。


 そろそろ周りの様子を探索しにいくかな。

 まずは寝れるとこ、後は食べ物を重点的にっと。

 そろそろと辺りを伺いつつ、探索のための一歩を踏み出した。

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