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暗いとばり

 埃っぽい地下室を進んでいく。

 天井が一部崩落して、隙間から光が差し込んでいる。


 もしかしたら悪霊イベントの時のような戦闘があるかもと、その光を頼りに辺りをきょろきょろと見回す。


 ゲームの時のイベント戦闘自体は、レベル一桁でクリア出来るような物だった。何せまだここはゲームなら二つ目の街なのだ。

 単純に考えて今の私が負ける要素はそう考えられない。


 そうしてどこか淡い期待を胸に歩き続け、そのまま地下室の端まで到着する。……何も起きない。


「あれ、どうしたんだろう? 確か悪霊の本体が現れるの、ここら辺だよな」


 私は周囲を探っていく。

 差し込む光を頼りに瓦礫やら埃やらをよけていくと、とあることに気がつく。どうやら、目の前の壁は、一度崩れ、その後再び瓦礫に埋まっているようだ。

 よくよく見ると、周りの壁と、目の前の壁の劣化具合に違いがあるのだ。


「あっ。確かここの壁だったかも。ゲームの中だと、この中に悪霊の原因になるものが何かあったはず」


 私は目の前の瓦礫を一つ一つ、よけていく。


「何だったかな……。あっ、確かラスボスとして出てくる邪神の像が埋まっているんだ! 思い出してきた。見た目はウロボロス系だったはず。知的生命体を喰らい尽くすのが目的で、最後は自分自身まで喰らうとか言う設定があった。そうそう、酒場の前の持ち主が邪神教徒でってストーリーだったっけー」


 だいぶ瓦礫が片付いてきた。独り言を垂れ流しながらさらに作業を続ける。


「ゲームクリア後、2周目以降のやり込み要素もあったなー。事件を放置しておくとゲーム序盤でいきなり邪神が復活してラストバトルに突入できたんだった。そのときの、像が縦に割れて、左右に開きながら邪神が出てくるムービー。桃太郎誕生かってネタになっていたっけ、懐かしいな……」


 瓦礫を全てどかす。

 そこには、確かに邪神の像があった。

 縦に二つに割れた状態で。


「あれ、割れてるよ」


 思わず漏れた呟き。私は思わず両手を真っ二つになっている邪神像に伸ばす。

 片手に少し余るぐらいの大きさの像の半身。

 両手に割れた像を持ち、そのまま合掌するように合わせる。

 ピタリとはまる。


 その姿が私の記憶を刺激する。邪神像の姿は、私がゲームで見たもの、そのままであった。


「ああ、嫌な予感しかしないな……」


 私は足取りも重く、地下室から地上に向かう。

 念のため、手には割れた邪神像を持つ。そのまま酒場を出て、外へ。

 手近な瓦礫の上に割れた邪神像を置き、俺は別の瓦礫に腰かける。

 思わず漏れるため息。


「そうかー。ここは邪神が復活して、滅んだ世界か……」

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