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新世界のメイド(仮)さんと女神様  作者: あい えうお
第二章 メイド(仮)さんの一日
58/502

058 夕食戦線異状あり 1

2015/04/23 サブタイトルを変更しました。

というか、仮に付けてたサブタイトルを直すのを忘れてアップしてました。

 マリコが厨房の扉を開けたところで、カウンター越しに響く店内の喧騒が廊下まであふれ出してきた。扉の開く気配に振り返ったサニアが、やってきたマリコに気が付いた。


「ああ、マリコさん、来たわね。ミランダはどうしたの?」


「ええと、一旦部屋に戻ってから来ると言ってましたから、じきに来ると思います。それより、どうなってるんですか、これは」


「それは……、さっきも言ったとおり、昼に定食を食べ損ねた人達が来ちゃってるのよ」


 厨房に入ったマリコが目にしたのは、カウンターの向こう側にできた人の列だった。マリコが口にした疑問に答えたサニアの目が若干泳いでいるのにマリコは気が付いた。


「いやいや、絶対それだけじゃありませんよ、これ。多すぎると思います」


 昼間にから揚げの売り切れを宣言されてしぶしぶ帰っていったのは、主に若い男の人十人そこそこだったはずである。しかし、マリコの見たところ、今列を作っているのは約三十人。昼間に見た顔の他に、女の人や家族連れらしいグループも混ざっている。


「何があったんだと思います?」


「ええと、多分ね……」


 マリコの問いにサニアが答えかけた時、バタンと扉が開いてタリアが入ってきた。若い女の子を二人連れている。茶色い目にショートカットの赤茶色の髪の娘と青い目にポニーテールに結った水色の髪の娘の二人は、どちらも私服らしいブラウスとスカートの上にエプロンを掛けながら厨房に入ってきた。


「なんだってあんた達は、のんきな顔してあっち側に並んでたんだい。全く」


「だって女将さん、そりゃ何かおいしい新作が出たって聞いたら何だろうと思いますよ、初耳でしたし」


「ちょうどお休みでしたし……」


「だからって、あの状態を見て黙って向こう側に居る法があるかい。こっちに聞きにくれば済む話じゃないかい」


 入ってくるなりポンポン言い合っている三人を見て、マリコとサニアは顔を見合わせた。人が集まってきた理由が説明されたようなものだ。


「何となく分かりました。サニアさん」


「そうね。分かってもらえて嬉しいわ」


「「はあ」」


 二人は一緒にため息をついた。要するに、昼の定食の評判と夕食にもそれが出るという話を聞きつけた里の人達が、そんなにおいしい物なら食べに行ってみよう、売り切れるっていうんなら早目に行ってみようと集まった結果がこの行列、ということなのだ。


「あんた達は何をため息ついてんだい。とりあえず人手を連れて来たよ。で、どうするんだい、若女将?」


「どうするったって……。そうね。どうするか決めないといけないわね。マリコさん、から揚げの材料は足りそう?」


 タリアに話を振られたサニアは一度頭を振ると、表情を切り替えてマリコに聞いてきた。ごはんは炊き足せばなんとかなる。スープや付け合せの野菜類は問題無く足りる。


「ええと、今並んでいるのが三十人だとすると、定食にから揚げだけを付けて出していくと今いる人だけで八割は無くなると思います。残るのは五、六人前くらいです」


「そう。そこまで行っちゃうと本来の夕食の時間に来る人が困るわね。どうするのがいいと思う?」


 マリコが仕込んだ量からの予測を伝えると、サニアはさらに聞いてきた。マリコはこれまでの――と言っても一日にも満たない――経験と話から考える。定食に絶対これという決まりは無い――。


「ええと、から揚げをできるだけ多くの人にっていうのであれば、おかずを全部から揚げにするのをやめればいいのではないですか?」


「どうするの?」


「まず、一人前の皿に盛るから揚げを一個か二個減らして、その分お昼に後から作った羽のところやササミを入れます。それで何人前かは増やせます。その上で、昼に一度食べた方には遠慮していただくというか、焼き鳥をお勧めするというのはどうでしょう。全部から揚げじゃないとダメ、と言われるとさすがに困ってしまいますけど」


 マリコはそこまで言うと、一度言葉を切ってサニアの顔を見た。サニアは少し考えると頷いた。


「そうね。それで文句を言う人もあんまりいないと思うから、それで行きましょうか。どう? 女将」


「どうってサニア。あんたマリコに丸投げしただけじゃないかい。まあ、仕込んだ量を一番よく分かってるのはマリコなんだから、そこに聞くのは間違ってないんだけどね」


 タリアは半分呆れながらサニアにそう言うと、さらに続けた。


「あとは、そうだねえ。文句が出るなら、夕方は()()()新作の種類を増やすことになった、とでも説明すればいいさね。もっとも味の方は間違いないんだ。多分、文句なんか出やしないよ。でもまあ、マリコもよくいろいろ思いつくもんだねえ」


 タリアは感心したような顔でマリコを見た。


(実はタリアさんの方が、もっといろいろ考えてるような気はするんだけどねえ)

誤字脱字などありましたら、ご指摘くださると幸いです。

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