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新世界のメイド(仮)さんと女神様  作者: あい えうお
第五章 メイド(仮)さんの探検
311/502

307 探検隊、西へ 1

 朝食の後、準備を整えたマリコたちは食堂に集合した。メンバーはバルトとアドレーの(パーティー)各五人にマリコとミランダを加えて計十二人と、結構な大所帯になっている。アイテムボックスのおかげで今から旅立ちだというのに全員手ぶらである。里を出る時に整えればいいということで武装もしていない。


「じゃあ、気を付けて行っといで、と言うところなんだけどね。何というか、探検者(エクスプローラー)(パーティー)に見えないねえ、あんたたち」


 集まった一行を前に、タリアは腕を組んで微妙に呆れた笑みを浮かべる。革鎧姿の男たちはともかく、女五人が全員メイド服――ロング二人とショート三人――なのだった。一見すると「メイドさん御一行と護衛の面々」である。ご主人様あるいはお嬢様が真ん中にいれば完璧だっただろう。


――里の皆には、もう昨日見せちゃったしねえ


――出発した後で着替えても、今回はアドレーさんたちが一緒だし


 元々メイド服姿を披露するのを渋っていたミカエラとサンドラが、それぞれの理由でこの格好のままでの出発を容認した結果である。カリーネはマリコにメイド服をもらった時からそのつもりだったので問題なし。


「あははは……」


 メイド服をバラまいた張本人であるマリコとしては、乾いた笑いで返すしかなかった。ともあれ、昼用の弁当を受け取ったりしていよいよ出発である。


 途中、道沿いの畑で作業している人たちに手を振られて振り返したりしながら西門に向かう。やがて門に近付くと、そこに繋がる外壁の上に男が一人立っているのが見えた。タリアが手配すると言っていた見張りだろう。


 ナザールの里の西、南、北の各門のすぐ内側には、宿屋の門の脇にあるような小さな詰め所がある。夜には交代で当番が来るが、昼間は近くの畑で作業している人がいるので無人のことが多い。朝から見張りが立っているのは例外的なことだった。なお、東側には詰め所は無く、放牧場の見張り小屋がその役目を兼ねている。


「おお、今からかい? 今のところは何も変わったことはないよ」


 マリコたちが門の傍まで来たところで気付いたらしく、見張りをしていた男が振り返って、一行を見下ろしながら声を掛けてきた。ありがとうと代表して礼を述べたバルトが皆を振り返る。


「では皆、準備してくれ」


 バルトの声にそれぞれは武器や防具を取り出して身に着けていく。マリコはクレイモアをパイスラッシュさせて背負い、ミランダは腰に刀、額に鉢金を巻いた。今回の道中では、全体の(リーダー)はバルトということになっている。個人の能力はともかく、出掛けるのが初めてであるマリコには特に異存はなかった。


 続いて男性陣は虫除け薮除けの防護(プロテクション)を掛け合う。女性陣はメイド服の防御効果が肩代わりしてくれるので必要ない。そこまで終わったところで、バルトは一同の装備を点検して回った。ベルトが緩んでいる、といったことでも思わぬ事故に繋がりかねない。まともな探検者(エクスプローラー)ならやっていることである。


(おお、何かそれらしいですね)


 アドレーたちの剣帯を引っ張ったりして確かめているバルトを、マリコは興味深く見守った。野豚狩りの際にはミランダも似たようなことをやっていたが、それより徹底しているように思える。やがてマリコの前にバルトが立った。マリコの顔を見て何か言いたそうな表情を浮かべたが、さすがに帰れと言うつもりはないようである。


 一旦マリコの後ろへ回ってクレイモアを吊っているベルトを軽く引いて確かめた後、正面に戻って来たバルトはマリコの上から下までひと通り見渡す。その視線が下まで降りたところでちょっと眉を寄せて顔を上げた。マリコは向けられた顔の真剣な表情に一瞬ドキリとしたものの、黙って見返した。


「スカートを持ち上げてもらえないか」


「は?」


 真面目な顔のまま放たれたセリフに、マリコの目が点になる。それを見てバルトは自分の言葉が足りなかったことに気付いた。


「違う、そういう意味じゃない! マリコ、さんは確かブーツだったろう? 靴紐が解けていないか確認したかっただけなんだ! ブーツが見えるところまでということで他意はないっ!」


 バッと手の平を前に向けた両手を肩の高さまで上げ、マリコが何か言う前に早口で一気にまくしたてる。正に何か言おうと口を開きかけたマリコは目を瞬かせた。


「……あ、ああ。そういう……」


「分かってもらえただろうか……」


「えー、はい」


 一応納得のいったマリコは、白いエプロンごとつかんだ黒いスカートをそっと持ち上げて見せる。膝が見えるかどうかという程度だったにも係わらず、それは妙に恥ずかしかった。


「先に私のとこへ来ておかないからよ」


 二人の様子を生温かく見守りながら、マリコと同じロングのメイド服に革ブーツという出で立ちのカリーネがポツリと呟いた。


 ◇


「気を付けてなあ!」


 壁の上に立つ男の声を受けて一行は門をくぐった。マリコが野豚狩りの時に通った南門と同じ様に空堀に渡された板の橋を渡ると、少し先の木々の間へと道が続いている。こちら側の担当で今回の案内役でもあるアドレーとバルトが先頭を進み、残りのアドレー組とトルステンがそれに続く。マリコとミランダはバルト組の女性陣と一緒にその後ろをついて行った。


 一行はアドレーたちが戻って来たルートに沿って西二号洞窟に向かう。

誤字脱字などありましたら、ご指摘くださると幸いです。

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