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新世界のメイド(仮)さんと女神様  作者: あい えうお
第四章 メイド(仮)さんのお仕事
283/502

280 ミランダとの秘密 3

「おお!」


「あっ」


 目の前に現れたウィンドウにミランダが感嘆の声を上げる。同時にマリコの口からも声が漏れたが、こちらは驚きというより戸惑いを含んでいた。原因はもちろんウィンドウである。


 メニューウィンドウはミランダの眼前に開いた。それはつまり、ミランダの正面に立ってその首に手を伸ばしていたマリコとの間に開いたということでもある。半透明のウィンドウ越しにお互いの顔が透けて見えるのはまだいいが、問題はマリコの側からだと裏向きに見えることだった。


「ならこうすればどうであろうか」


 どう見えているかを聞いたミランダはさっとイスから立ち上がると、そのままくるりと向きを変えて先ほどまでマリコが座っていたベッドにぽすんと腰を下ろした。ウィンドウはミランダの動きを追ってその身体の正面へと動いていく。それを確認した後、ミランダは自分の隣をぽんぽんと叩いてマリコに示した。


「ここへ掛けられればよかろう」


「ああ」


 言われてしまえば何ということもない。マリコはなるほどと頷いて腰を下ろした。仲良く並んだ二人は、改めてウィンドウに目を向ける。そこにはマリコのものと同じようにトップページとしてステータスのページが表示されていた。HPやMP、筋力といった項目が列を成し、それぞれに基本値や補正値などの数値が並んでいる。


「これが私の持つ力を数字で現したというものなのか……」


 それらの項目名や数値の羅列を眺めて、ミランダはほうと息を吐いた。こうして目の前にウィンドウが開く事自体はアイテムボックスや転移門で経験して知っている。だが、ここに表示されているのは持ち物や転移先の選択肢などではなくミランダ自身の情報(データ)だという。そんなものを目にするのはもちろん初めてで、ミランダは並んだ数字を一つ一つ興味深く読み取っていく。


 しかし、しばらく目を輝かせてステータスページに見入っていたミランダがふと顔を上げた。


「……マリコ殿」


「どうしました?」


「ここに書かれている私の能力なのだが……これは高いのであろうか、それとも低いのであろうか?」


「あ! そうか、そうですよね……」


 いくら能力が数値化されてもそれが自分の数値だけしかないのではあまり意味が無い。標準値や平均値といった比較する対象が無ければ評価のしようがないのである。ゲームの時のという前置きは付くものの、マリコの頭にはなんとなく物差しがある。だが当然ミランダにはそれがない。


 何か比較できるものと考えてみたマリコだったが、公式HPや攻略サイトがあるわけではないので、今手に届く範囲にあるデータは一つしか思いつかなかった。それはもちろん、マリコ自身のもののことである。マリコはミランダに断りを入れて自分のメニューを開いた。しかし、それがミランダに見えていないことはさっきもやったので分かっている。


(さて、私のウィンドウをミランダさんに見せるにはどうすればいいんでしょう)


 ゲームの時には当然ながら他者のメニューウィンドウを見ることなどできなかった。しかし、今の場合には恐らく何か方法があるはずだとマリコは思っている。マリコにいろいろと任せた以上、女神がそういう設定に仕込みをしていないはずがない。さすがにマリコにも段々と女神のやり口が分かってきたのである。


 マリコはとりあえず並んだタブの中から「その他」を選んで開いてみることにした。これはゲームには無かったタブで、こういう時にはここが一番怪しい。開いた瞬間、マリコはニヤリと笑みを浮かべた。


(当たり!)


 案の定、これまで「風と月の女神の部屋へ行く」というボタンしか無かった「その他」タブのページには「メニューウィンドウ可視化設定」という項目が増えていた。「非公開」、「フレンドまで」、「フレンドのフレンドまで」、「全体」などというどこかで見たような開示レベルの選択項目が一緒に並んでいる。


(何をやってるんですかね、あの人は。「フレンドのフレンドまで」って……)


 こんな設定になっているということは、ミランダをフレンドとして登録せよということであろう。マリコはやや呆れながら開示レベルを「フレンドまで」とした後、今度は「フレンド」のタブを開く。こちらはゲームにもあったものである。開くと見覚えのあるフレンドの管理ウィンドウが表示された。


(もちろん、今は誰も……)


「ぶ!」


 誰の名前も無いはずのフレンド一覧には、いつの間にか「風と月の女神」という行ができていて、マリコは思わず吹き出した。「どうなされた!?」と心配するミランダをなだめ、改めてウィンドウに向かう。


(ホントに何をやってるんですかね! あの人は!)


 気を取り直して一緒に並んでいる「フレンド申請送付」を選ぶとゲームと同様、送付先の人物のIDナンバーを要求される。名前ではなくIDなのは同名のキャラクターが居る場合があるからである。マリコはミランダのウィンドウに目を向けてステータス欄の隅に小さく載っているミランダのIDを読み取ると、それを自分のウィンドウに入力していった。


 フレンド申請を送ると、程なく今度はミランダのウィンドウに通知メッセージが浮かんだ。開いてみると当然マリコからの申請である。「受理する」を選ぶと「マリコとフレンドになりました!」といったメッセージが浮かぶ。マリコは思わずため息を吐いた。


(うう、友達のいない奴が二つのIDを操って友達がいるように見せかけているようです……)


「今のは一体何をされたのだ?」


 さすがに今の操作はミランダ側のウィンドウだったのでミランダにも見えていた。当然の質問が出てくる。誤魔化しても意味が無いので、マリコは素直に答えた。


「ええと、このメニューのシステム上でミランダさんと友達であるという登録をしたんです」


「マリコ殿と! 友達! うむ、それは当然でかつ光栄なことだな!」


「え!? い、いえ、それはこちらこそ……」


 予想しなかった好反応を返され、マリコは先ほどのため息が吹き飛ぶのを感じた。

先にこっそりフレンド登録する女神様(笑)。

誤字脱字などありましたら、ご指摘くださると幸いです。

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