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新世界のメイド(仮)さんと女神様  作者: あい えうお
第一章 世界の始まり
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017 世界の始まり 14

下ネタ注意報継続中です。

 マリコが扉を開けて中に入ると、先ほど見た物と同じ洗面台があった。ただし、こちらは同じ物が二つ並んでいる。左に目を向けると、当然小用スペースはなく、二メートル程の間隔を空けて扉が六つ並んでいる。一番奥の扉はやや小さめだった。


(あれは掃除用具入れとかかな)


 とりあえず、一番手前の扉をノックしたが返事がなかったので、マリコは扉をそっと引き開けて、誰もいないのを確かめてから中に入った。


 扉の間隔から予想したとおり、個室内はやや広めに作られていた。二メートル四方くらいはあるだろうか。奥の壁にはやはり窓があり、こちらは障子がはまっている。明るいところをみると、障子の向こうは他のところのように板戸で、今は開けられているのだろう。マリコは扉のかんぬきを掛けてから室内を見回した。


 部屋の奥側の右寄りに、膝くらいの高さの木でできた筒か桶のような物があり、取っ手のついた同じく木製の鍋のフタのような物が被せてある。おそらくこれが座るところだろう。左側の壁には、腰くらいの高さに四十センチ程の幅の広めの棚が一段、奥まで設けてあり、その上の壁にはいくつかフックが並んでいる。


(この広さと棚は……、ああ、装備を外して置いておけるようになってるのか)


 野外や戦場で用を足す必要もあるので、実在の鎧は着けたままでもできる作りになっているものが多い。しかし、安全な屋内でまでわざわざ窮屈なままする必要はない、ということなのだろう。フックはローブやマント、兜などを掛けるためのもののようだ。


 棚の上には、食堂のテーブルにあった物と同じようなランプと、A4くらいの大きさの浅い木箱が乗っていた。棚の下には、やはり柄杓と水の入った、洗面台の物より大きい桶が置かれている。外が晴れているので、今はランプは使わなくても何とかなりそうだ。木箱の中には四角い紙が積み重なっていて、お馴染みのトイレットペーパーロールは見当たらない。マリコは紙に触ってみた。


(ちり紙らしいけれど、結構硬いな。このまま拭いたらすり切れそうだ。ああ、揉まないといけないのか)


 昔の便所の落とし紙は固めだったのでよく揉んで柔らかくして使った、と今は亡き祖母が昔言っていたのをマリコは思い出した。


 何があるかを一通り確認したマリコは、木の筒らしきものの前に立つとフタを取ってみた。するとそこには、木でできた輪の形の便座があり、その下――木の円筒の中――には斜め下に向かって穴が空いた、灰色をした便器本体らしきものがあった。マリコは汲み取り式を想像していたので、少し意外に思った。


(水桶もあるし、一応水で流せるということなのか。意外に発達してる感じだな。さて)


 便座に手を掛けて持ち上げてみるとそのままはずれた。右の壁にもフックがあるので、水を流す時などはここに掛けろということなのだろう。


 マリコは改めて手に持った便座を見つめ、元通りはめ直しながら思った。


(座らないと、できないんだよな……)


 何か大切なものを失ったような――実際なくなっているのだが――気分に浸りながら、マリコは意を決して便座に背を向けた。


 スカートの裾をたくし上げて、後ろから手を入れる。すると、メイド服の下に膝丈くらいの服がもう一枚あるのに触れた。


(自分が今、何を着ているのか分からない、なんて普通はないよな。これは、シュミーズとかスリップとかか?)


 ゲームでは、装備を何も着けていない状態だと真っ白なブラジャーとパンツ姿で表示されていた。そこにそのまま、例えばメイド服を装備するのである。下にシュミーズを別に装備したりはしない、というかできない。そして、メイド服を装備すると白いエプロンとストッキングも一緒に表示されるようになる。これも現実ならあり得ない話である。


 また、装備なしの状態と水着など一部の装備以外では、いわゆる「パンチラ」を見せない仕様であった。そのため、マリコのメイド服もスカートの奥は常に暗くて見えない形――多くのユーザーが「ブラックホール」と呼んでいた――で表現されており、マリコ自身スカートの中がどうなっているのか見た事がなかった。


 シュミーズらしき物もたくし上げてさらに中に手を入れる。腰の脇に手を持って行くとなぜか、パンツの上端と思われる、腰回りを巡っている布が二枚手に触れた。


(んん? これは何だろう? 私は一体何をはいてるんだ。ええい、分からん)


 限界もそう遠くない。マリコは手探りで済ませることをあきらめて、スカートの前をめくりあげて自分の着ている物をその目で確かめることにした。


(ガーターベルトだったのか……)


 マリコがメイド服の下に着けていたのは、膝丈の白いシュミーズと、太股丈の白いストッキングを吊る、同じく白いガーターベルトと白いパンツだった。

「昔の日本のトイレ」絡みのネタは、どこまで正確かあまり自信がありません。

現実の外国では、桶の水=お尻に掛けて洗う用、というところもあるようです。

誤字脱字などありましたら、ご指摘くださると幸いです。

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