神高の猛攻。
まるで不良映画に出てくるような光景だ。
「パリーン!」
「おらぁ!」
校舎の窓ガラスを突き破り飛んで来る椅子や物。
「さっさと帰れやっ」
「くそジジイがよっ」
「ははっ・・」渡辺
この子達の精一杯のお見送りというか・・
(ははっ・・休憩時間なのに・・無理して・・)渡辺
成長した自分を見せてくれてるのだ。
窓から飛んで来るガラクタの紙吹雪・・
俺の引退、引き際を皆で祝福してくれてるのだ。
校舎の中では・・
「あ・・先生、自分、割ったガラス代払うなりよ・・
休憩時間なのに、すみませんでした。」テシ
「もっと投げるの無い?もし当たっても痛くないペットボトルとか?」
「いい音が出るように投げろよ。罵声も忘れるなっ。
あくまで無茶してるな・・だけでいいから」担任
だがこの光景を付近で見てる住民や通行人には強力なアピールだ。
「うわぁ・・近づけねぇな神高には・・」
「漫画に出てきそうなほどの荒れよう、不良高だな・・」
「でも、使い道もあるんだよな・・・」
そう、これほどオーソドックスだから使い道もある。
「・・よしっ。じゃあ次の授業は地回りなっ。
それと、足立区の方から仕事の依頼も来てるから二班に別れるぞ」担任
「はいっ。次郎ちゃんは、どっちに?」
「そうだな・・・」担任
神高は、何かとこの次郎頼りというか、次郎を軸に考える。
「・・・足立の方に行くか・・本物も居そうだしな」次郎
「よしっ・・じゃあ秋葉原はテシ頼んだぞ」担任
「任せるなりよ」テシ
二班に別れての行動。
とはいっても大人数だ。
まず秋葉原では・・
「・・何見てんだ!ぶち殺すぞ!」
「神高だぁ!このやろう!」
ちょっと不良っぽい若者に人数の威圧で押す。
そりゃ不良が10数人で歩いてたら・・
「ま・・まずいな・・」
「神高か・・逃げようや」
蹴散らすのは簡単だ。
だが・・
(うっ!秋高!)テシ
(うわっ!うわっ!ガチンコの不良!)
(恐いよう秋高の生徒だ・・)
ここは秋葉原だ。当然授業をさぼって?街をふらつく秋高生も居る。
「あはは、楽しいねぇ地回り授業も」片瀬
「うん。このアイスおいしいぃ」柴
しかも、神高の生徒達が苦手な女子・・
特に一番苦手なヤンキー女子・・
(どこ見ていいのか分からないなりよ・・)テシ
(トラウマが・・トラウマが・・)
よくあんなヤンキー女子に、イジメられてきた面々だ。
短いスカートの足を見れば因縁付けられ・・
顔を見ても、『気持ち悪いんだよ!何見てんだ!』で因縁付けられ・・
下向いてても、『こっち見ろや!オタク野郎!」・・って。
今までの唯一の攻撃は、帰って想像で犯すか、ネットで叩くだけ・・
でも・・今は違うっ!
俺達は、生まれ変わったその一歩を踏み出すんだっ。
「な・・・な・・何見てんだ!神高だぁ!」テシ
「お・・おう・・こらこらこらぁ~調子こいてんじゃねぇぞ!」
まったく片瀬達は見てなかったが・・
「あああ?何だいきなりコノヤロウ!」片瀬
(うわっ!うわっ!やっぱ本物!)テシ
(えっと・・こういう場合は・・こういう場合は・・)
必死で授業を思い出す生徒達・・
「カンっ!」
「舐めてんじゃねえぇぞ!こら!」
先制攻撃!さらなる威圧!
持ってる空き缶を思いっきり投げつけ二歩~三歩前に・・。
「ほうっ・・女だからって舐めるなよ・・」片瀬
(まだ来たぁ!どうする?どうする?)テシ
他の生徒を見れば・・
(綺麗な、おみ足・・綺麗な、おみ足・・)
(匂い・・匂い・・へへへ。タダならとことん・・)
すでに心折れた生徒達も・・
(くそっ・・まずい・・)テシ
本当この片瀬みたいなのが苦手なタイプだ。
フラッシュバックする・・この手のタイプにイジメられた中学校生活などが・・
だが・・
「せ・・せっちゃん・・授業中だし・・止めとこ・・
それに私達が原因で神高と全面戦争になったら、先輩達に何言われるか・・」柴
「うっ・・それを言われると・・」片瀬
(きっ・・きた!)テシ
後は、マニュアル通りに・・
一人が引けば・・
「なんだぁ!やるのか?やらねぇのか!?」
「俺にやらせろや!調子乗りやがってよ!秋高がなんぼのもんじゃい!」
「バカっ、止めろって!お前っ次何かあったらネンショーなんだろうが!」
「ちっ・・」片瀬
「ほらっ・・ヤバそうなのも居そうだし・・人数も多いし」柴
誰かが止め、一度下がりだした不良は脆い・・
「突っ込め!」テシ
「おうっ!」
「うわっ、一斉に来た!逃げるよ柴ちゃん」片瀬
「うん。」柴
楽勝だ・・
「汚いよな不良って・・」テシ
「ああ・・こんな事して追っ払ったり、下がった相手イジメてんだな」
「よく考えたら、俺等も肩パンぐらいで、ガチで殴られた事ないしな」
「そりゃ無抵抗の人間なら喧嘩も負けねぇよな」
もしかして・・
「秋高の連中も全員ハッタリなんじゃねえか?」テシ
「ぶはははは。シャバ憎の集まりかぁ?秋高は」
「たまんねぇな勝ちの味は」
あの秋高を追っ払った。
しかも苦手なヤンキー女子を。
「おうっね~ちゃん遊びに行くかぁ?」テシ
「ははは。昼からナンパすんじゃねぇよ」
いきりたくなるさ、そりゃ。
そしてぼちぼち顔も売れ出し・・
「あっ・・こないだは、どーもっす・・」街の不良
「おうっ。何かあったら神高に言えよ」テシ
一度この秋葉原でシメた不良だ。
「へへ・・じゃあ失礼します」街の不良
「おうっじゃあの」
「また声かけろや」
(く~たまんねぇな)テシ
勢いづく神高生。
肩で風を切って歩くのがこんなにも気持ちいいとは・・
これが不良か・・
なんて簡単なんだ・・
そして秋葉原にあるメイド喫茶やリフレに行き・・
「これからはよぅ神高が面倒見てやるっつってんだ」テシ
「いや・・ウチは秋高さんに・・」店長
「両方に払えばいいじゃねえねかぁああ!」
「何だぁ?この店は未成年でも雇っててるのかぁ!?」
「なっ!ちょっ!ちょっとお客さん居るんで大声は・・」店長
「・・店長いいから・・両方に払おう。神高も仕事が早いから・・」オーナー
「オーナー・・」店長
「それがいいって。くく・・。じゃあまた寄らせてもらうから」テシ
「よしっ行くぞ。次だ」
確かに最近秋高は、変な生徒がみかじめ取りに来たり・・
「神高の生徒を来させない料・・って思えば安いし、
それに今秋高の評判も良くないしね・・」オーナー
「秋高の名前だして好き勝手しますしね・・」店長
この場合はどっちを呼べばいいんだろうか?
そして・・
「こりゃやばいか・・」オーナー
「金が絡むとそうですね。街の不良達も神高に付きだしたみたいですしね
まあ両方の馬券買えば外れはないですね。」店長
誰よりも敏感なのは商売をしてる街の住民だ。
初めてこの秋葉原が揺れそうだ。
今まで海外からの侵攻などはあったが・・・
「ぶち当たるぞ・・時代の不良達が・・この秋葉原で」オーナー
「渋谷・六本木の次は秋葉原にも火が付きますか・・」店長
同じ時代で・・同じ街で・・
王国・・王様は二つと要らねぇ・・
すべてを撃ち落してきた、秋高か・・
すべて飲み込もうとする、神高か・・