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ぱらのいあ  作者: 楸由宇
第3章 ショートショートショート
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「月」

 右手に大きな満月が見える。明るい月の光を浴びながら私は歩き続ける。もうかなり長い間歩き続けている気がする。一ヶ月か、二ヶ月か。もっと長いかもしれない。休むことなく歩き続けていることが私に一つの事実を突きつける。

 思い出したくない光景。

 まだ認めたくない事実。

 それでも、いつかこうなることはわかっていた。

 私は事実を受け入れる代わりに逃げ出すことを選んだ。いつかは受け入れなくてはならないと心のどこかでは思っている。でも、まだ受け入れられなかった。

 それを認めたら自分が壊れてしまいそうだった。

 右にあった月もだいぶ沈んでしまった。やはり休もう。太陽が昇ってきたら。

 長い間歩き続けた。そろそろ休んでもいい頃かもしれない。

 身体はとっくに無いから、ほとんど疲れてはいないけど。

 自分の死を受け入れなければまだしばらく歩き続けられるだろう。

 そろそろ、左に太陽が見えてくるだろう。少し休んだら、また歩き出そう。

 まだ迎えは来ないだろう、自分の死を受け入れなければ。

(420文字)

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