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ぱらのいあ  作者: 楸由宇
第3章 ショートショートショート
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「自動販売機」

 ある日、自宅に近くに自動販売機が出来ていた。真っ白で文字は何も書いていない。ジュースの代わりに並んでいるのは、5センチ四方のカラフルな箱。値段はそれぞれ違って100円から200万円まで。でも、結局何の販売機なのかしばらくわからなかった。

 それが何の自動販売機なのかわかったのは、2年付き合っていた彼女に降られてとぼとぼと歩いているときだった。真っ白だった自動販売機に真っ赤な文字で「愛の自動販売機」と書かれていた。

 あまりの胡散臭さに、その時は気にもしないでそのまま帰った。

 でも、それ以来毎日その自動販売機の前を通ると嫌でも「愛の自動販売機」の文字が目に入ってきた。

 そんなある日、つい「愛の自動販売機」に100円玉を入れてしまった。一番安い箱のボタンを押したけど何も出て来なかった。何が入っているのか気になっていたから、少しがっかりしたけど期待もしていなかったから、100円を落としてしまったのだと思いこみ家に帰った。

 新しい彼女が出来たのは、それから2日後だった。

 彼女が出来たとたんに、あの自動販売機は真っ白に戻ってしまった。

 その彼女とも結婚して子供ができそこそこ幸せに暮らしている。

 でも、あの時もっと高い箱を買っていたらどうなっていたのか。

 今でも真っ白い自動販売機を横目に考えることがある。

(544文字)

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