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ぱらのいあ  作者: 楸由宇
第3章 ショートショートショート
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「トイレ」

 湯船にお湯を張り、服を脱ぎ、脱いだ服を綺麗に畳んだ。綺麗に身体と髪を洗い、湯船につかる。覚悟を決めて、剃刀を右手に持って、左手首に当てる。すうっと引くと、手首に線が入った。じっと見ていると、血が出てきた。やっと楽になれると思った瞬間、それは突然やってきた。もよおしてしまったのだ、それも大の方。最後にとたらふく食った西瓜が悪かったのかと思ったが、発見された状況を思うと、情けなくなってきた。便の浮かんだ湯船で発見されたくない。慌てて、風呂場から出ると、手首を押さえたままトイレに駆け込むか、救急車を呼ぶか悩んでしまった。

 血はどんどん出てくる。背に腹は替えられぬとまずトイレに行くことにした。急いでトイレに駆け込み、便座に腰を降ろしてまでは良かったが、トイレットペーパーを切らしていたことに気がついた。

 死を覚悟したはずなのにこの絶望感。自分が情けなくなってきたが、結局意識が薄れてきてしまった。最後に思ったことは、床の上で漏らしたくないな、だった。

(423文字)

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