第5回 張郃、黄巾の乱討伐に立ち上がる
張郃は二二歳になっていた。
この時、未曽有の大乱が発生する。
西暦一八四年(中平元年)、冀州を中心として、張角が反乱に立ち上がった。
「黄巾の乱」勃発である。この黄巾の乱から故郷の鄚県を守ったのが、張景が率いる自警団であり、その中核を為していたのが張郃をはじめとする若者たちであった。
幸い、鄚県に関しては自警団が防衛の機能を持っていることで、ほとんど被害にあうことは無かったが、周辺の村々などでは、正義という名のもとに略奪や虐殺が行われていたのである。
そして、地方ではそれぞれ、牧や太守が義勇兵の募集を行い出した。張郃は張景に言った。
「父上、お願いがございます。我々自警団の内、私と共に冀州牧の韓馥さまの募兵に応じたいという者が五〇ほど、そしてその者たちの家族や友人を入れますと二〇〇ほどおります。つきましては、この鄚県から出ることをお許しください。」
「儁乂、まず、お前についてくると言っている五〇の連中は、今やお前を含めて自警団の中核を為している。そのお前たちが、外に出てしまったら、この鄚県はどうなるのだ。」
「父上。それはもちろんわかっております。しかし、この鄚県の外の惨状を聞きますに、いてもたってもいられません。父上がいる以上、鄚県に万が一は無いと思っております。どうか、愚息のわがままをお許しください。」
「・・・。わかった。私もまだ、老け込む歳でもないからな。しかし、総勢二〇〇とは儁乂よ、よく集めたな。故郷を捨てて行く以上は、民の為に働くのだぞ。」
「ありがとうございます。それでは、我々は準備が整い次第、韓馥様の下に参ります。」
こうして、張郃は二〇〇の若者を率いて、韓馥の募兵に応じるために、鄚県を出たのである。




