第33回 張郃、郭淮と出会う
曹操は漢中から鄴に戻ることにした。
漢中の総大将は夏侯淵であり、引き続きその補佐を張郃が行う。徐晃は、曹操とともに戻ることになった。徐晃が言う。
「夏侯淵様、張郃殿。私はこの漢中戦線でお二人と働けたことを誇りとし、まずは鄴に戻ります。」
夏侯淵が言う。
「公明よ。お前はもう一人前の将軍だ。南方を担当することになるのだろうが、引き続き励めよ。」
張郃が言う。
「公明殿。あなたの軍の風紀という者は素晴らしく、魏軍随一であろう。その字にふさわしく、公正で明瞭、引き続きそのことを忘れなければ、大功を挙げる日も来るでしょう。」
「お二人とありがとうございます。また、共に戦える日を楽しみにしております。」
そして、曹操が言う。
「妙才、お前は少し先走りすぎるのが欠点だ。張郃の冷静さを大切にせよ。」
夏侯淵は拝礼する。曹操は続ける。
「儁乂、お前は夏侯淵を支え、苦労して手に入れた漢中の維持に尽くせ。劉備が大きく動き出した時は即時に報告をせよ。」
張郃は拝礼した。曹操は更に続ける。
「あと、この男をお前たちに任せたい。私は、この郭淮に将来、西方の経営全般を任せたいと考えている。お前たちの様に体が強い質ではないのが難点だが、参謀格としておいていく。」
夏侯淵が言う。
「この若造・・・、いや、若者を我々の参謀格にせよと。」
「ああ、そうだ。妙才、冷静さにかけては既にお前より上だ。」
曹操は笑いながら言った。張郃が言う。
「曹操様。郭淮殿のこと、承知しました。我らの参謀として受け入れをさせて頂きます。」
この郭淮は、この時点でまだ二十代であり、大きな戦の経験もない。しかし、曹操が認めるだけの逸材であり、後に魏の西方経営はこの郭淮に託されることになるのである。
曹操の帰還を見送り、夏侯淵は郭淮に言う。
「郭淮よ、簡単でいいが、まずは自己紹介を頼む。」
郭淮は拝礼して言う。
「私は郭淮、字は伯済と申します。一通りの学問、儒学、兵法、法家などはそれなりに究めてきたつもりです。ただ、実際の軍事や政にどう活かせるかは、これからどの様な経験を積み、自らを高めていくかにかかっていると思います。これからも、夏侯淵様と張郃様にご指導、ご教導を頂ければと思います。」
「うむ。わかった。伯済よ、しばらくは儁乂と行動を共にするように。儁乂、よろしく頼むぞ。」
こうして、張郃は郭淮の指導係となったのである。




