第14回 張郃、曹操に歓迎される
張郃の決断は早くてよかったといえる。
自分の献策が失敗に終わったことをごまかすために、郭図は袁紹に張郃の讒言をしていたのである。
もし、残っていたならば、なんかしらの罪に問われていたのは間違いない。
さて、投降した張郃と高覧であるが、曹操は手放しに喜んで二人を迎い入れた。敵として相対しているときに、既に張郃と高覧の将としての器量を見抜き、自分の陣営に欲しい人材である、と思っていたというのだ。更に二人をその場で「偏将軍、都郷侯」に任命したのである。特に張郃が降ってきたのが余程嬉しかったのか、後に張郃に言った。
「昔、伍子胥は越王句践と自分の関係が上手くいっていないことを早く自覚しなかったため、その命を落とした。また、項羽には重く用いられなかった韓信が、自分の才能を活かせる漢に帰服した。張郃よ、お前は私にとって韓信の様な者だ。」
最大限の賛辞といえよう。こういうことを臆面とせずに言えるのも曹操の強みである。
実際、降伏してきたことを疑うこともなく、張郃にも高覧にも兵を与えたところも、流石と言える。高覧が言う。
「儁乂よ、こうまで君主というのは違うものなのだろうか。」
「俺も驚いている。何の詮索もなく受け入れられた上に、既に兵まで与えられたのだ。しかも、将軍格だ。」
「こうまでしてもらったら、その期待に応えることで報いるしかあるまいな。」
「ああ。俺たちにできることをしっかりとやっていこう。」
こうして、張郃と高覧は、曹操軍の将軍になり、袁紹軍と戦うことになるのである。




