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天使のほほえみ  作者: L
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王立図書館の古びた本

ついに4人娘で王立図書館を探検です!




 王立図書館には、休日ということもあり多くの利用者がいた。


 もともと王立図書館は貴族のみが利用可能であったが、先々代のリュバン王が「王立図書館は全国民のものである」と宣言してから、平民も自由に利用できるようになった。


 利用者は多くいたが、図書館ということもあり館内は普通の声量で話している人はおらず、パラパラと本を捲る音が静かに響いている。


 スカーレットは、館内の大きさや本棚の高さに驚いて歓声を上げそうになっているが、大きな声を出してはいけないと理解しているようで、口元を自分の両手で押さえ込んでいる。


 そして、スカーレットの両手のさらに上にモアナの両手も押さえ込んでいた。


 私とミレーネは、その光景を小さな声でクスクスと笑い合い、


「天使族の本はあっちだよ」


 小声で話すミレーネに私たちは頷いて、ミレーネの後に私たちも付いていく。




 王立図書館は2階建てだが、横にとても広い造りとなっている。


 子供が読めるような本は1階にあるが、天使族の本は1番奥の本棚の1番下の段にあった。


 これほど広い図書館なのに、この人気のない区画で手に取りにくい場所に置いてあることが、人々が天使族や魔族に興味がないことを物語っているのだろう。



「一番下の段のここから向こうの端までが天使族についての本だよ」

「ミレーネは、ここにある本を全部読んだの?」

「さすがに全部ではないよ!まだ難しそうな本もあるから、読めそうなものだけだよ~」


 私はしゃがんで、ザッと本のタイトルに目を通してみたけれど、たしかに子供向きの用の物語もあれば、大人が読むような分厚い本もある。どうやら、適齢期ごとに分けられてはおらず、ごちゃまぜに本棚へ並べてあるだけのようだ。


「わたしと、、スカーレットは、、向こうの、、端から、、探す」

「うん、お願いね!私とミレーネは、ここから探してみよう!」




 そうして、二手に分かれて読めそうな本を探していると、他の本よりも一回り小さい本に目が向いた。


 その本は5巻まであり、その1巻を手に取ってみる。パラパラと捲ってみると、挿絵も多くて弟のネオに読み聞かせるのにいいかもしれない。そう思い、帰る時に借りようと本棚に戻そうとした時だった。


「あれ?」

「クリ?どうしたの?」


 私の隣で本を探していたミレーネが、不思議そうにして覗き込んでくる。


「この本、他のものより小さいのに本棚の奥まで入らないの。何かに当たっている感じが・・・」

「えっ?」


 本棚の奥行きはかなりある。手に取りやすくするため、わざと手前に置いてあるのかと思ったが、そうではないらしい。他の本よりも一回り小さいため、押せば他の本よりも奥に行くはずだ。それなのに、何か壁のようなものに邪魔されて、これ以上は奥に入れられないのだ。


「本当だ・・・。何かに当たっているね」


 ミレーネにも本を渡して試してもらうが、やはり奥までは入れられないようだ。


 同じシリーズの2巻から5巻でも試してみるが、どれも奥までは入れられない。


 私は意を決して、床に手と膝をつけて本棚を覗いてみる。


「クリ!?」

「お嬢様!?」


 私の行動にミレーネが驚き、少し離れたところに待機していたメアリーが駆け寄ってくる。


「大丈夫よ、静かに。メアリー、申し訳ないのだけれど、この本を持ってもらってもいいかしら?」


 素の口調なってしまっていることを、私は気づかないくらいに真剣になっていた。


 メアリーに、1巻~5巻の小さめの本を持ってもらい、再び本棚の奥を覗くと、


「あっ......本だ」

「さらに......本?」

「お嬢様?」


 不思議そうなミレーネとメアリーの声を聞きながら、私は対象物に手を伸ばす。


 対象物は、表紙をこちらに向けて本棚の奥に立っていたのだ。


 対象物を手に取り、明るい部屋のもとに晒すと、それは古びた本だった。


 ミレーネとメアリーは驚きながら、


「すごく古そうだね」

「いつの時代のものでしょうか・・・」


 私が古びた本を開くと紙は色褪せており、破らないように慎重にページを捲る。


「これは......古代文字?」


 古代文字は、今の時代はほとんど使われることはなく、書ける者も読める者も限られている。


 ところどころ文字が薄くなっており解読できないところもあるが、前世の王太子妃教育で古代文字も習得した私には、これが古代文字だということは認識できた。


「お嬢様は、古代文字がお分かりになるのですか?」

「ま、ま、まさか!分かるわけないよ!ただ、見たこともない文字だから、もしかして古代文字かな~って思ったの!えへへっ!」

「古代文字だと発想できるなんて、さすがクリはすごいね~!」



 『あ、危なかったわ......まさか古代文字が読めます!なんて、初等部2年生で言えるわけなかったわ!それよりも・・・・』



「これって、図書館の本なのかな~?」


 私が疑問を口にすると、ミレーネが表紙や背表紙などを見て反応した。


「あれ?この本、図書館のマークが書いてないよ」


 王立図書館の本は、言ってしまえば国が管理する本だ。そのため、汚したり盗んだりできないように王立図書館のマークが全ての本に記されている。


「マークがないということは、誰かがここに置いたということなのでしょうか?」

「図書館の人に伝えたほうがいいのかな?」


 メアリーとミレーネは困惑しているが、たしかに王立図書館のマークがない本は報告するべきだろう。


 しかし、先ほど少しだけ見えた古代文字で書かれていたのは、明らかに天使族についてのことだった。 ここで、じっくりと解読できないことが悔やまれる。


 もし、ここで図書館の職員に伝えても、私たちは公爵家と伯爵家の娘だから怪しまれることはないだろうが、この本が正しく解読されてるような流れになるかは別問題である。子供が見つけてきた本だと有耶無耶にされる可能性だってある。


 ここは、もっと信用があり地位もある人物に託すしかないという考えに至った私は、


「まずは、お父様に報告して、お父様から図書館側へ渡していただきましょう」

「クリのお父さまに?」

「旦那様にでございますか?」

「えぇ。古い本だから、どれだけの価値があるか分からないわ。きちんと手順をふんで解明されるように働きかけるには、大人のお父様が一番だと思うの。それに、この本棚にあったということは、天使族に関連するものかもしれないわよ?」


 すると、困惑顔をしていた2人はパァ~と瞳を輝かせて、


「天使族のこと!?それは大事だね!クリのお父さまにお任せするのが1番だよ!」

「それでしたら、公爵様である旦那様が適任でございますね!」


 天使族が大好きな2人は、すぐに理解してくれたようだ。


 古い本を、もともとあった本棚の奥に戻す。


 ふと、反対側にいるスカーレットとモアナを見てみると、なぜか長い梯子に上って一番上の段にある本を探しているスカーレットと、スカーレットを見上げながら何やら指示を出しているモアナの姿があった。本棚の高さは天井に届くほどに高く、一番上の段は大人でも梯子を使わなければ届かない場所だ。


 1冊の本を抱えながら慎重に梯子を下りてきたスカーレットは、モアナとハイタッチを交わす。


 そして、本を抱えながらスカーレットとモアナが駆け寄ってきた。


「魔族の本があったんだぞい!」

「えっ!?すごい!」

「魔族の本があったなんて知らなかった!」

「モアナが見つけてくれたんだぞい!」

「しゃがむの、、疲れた、、から、、上を、、見て、、たら、、魔族、、って、、文字、、見えた」

「一番上の段は、大人でも見つけにくいもんね~!」

「モアナ、視力がいいんだね!」 

「うん、、視力、、いい」


 小声でも元気よく話せる私たちである。


 魔族の本をパラパラと捲ると、魔族についての特徴が書かれているようだった。


 まさか魔族の本も見つけられるとは思っていなかったため、今日は大収穫である。


 私たちは、それぞれ気になる本を借りて、みんなで順番に読んでいくということになった。


 もちろん、ネオに読み聞かせをするための、あの一回り小さい本も忘れずに借りていく。1巻~5巻を全て借りてしまうと、奥にある古い本が見つかってしまう可能性もあるため、今日は1巻だけ借りることにした。



 さて、帰ったらすぐに、古い本のことをお父様に報告しなくちゃ。





ーーーーー王立図書館で見つけた古い本が、ロバート公爵家に深く関係するものだとは、この時の私は想像もしていなかったのだった。






 

次回は、クリスティナに古い本のことを聞いた父グレイソン目線です('ω')ノ

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