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天使のほほえみ  作者: L
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2年生の課外授業




 初等部2年生の初日以来、毎日のように昼食をいっしょに食べるようになったリュドヴィック殿下、とダミエレ様。


 少しずつではあるが、私とも会話は増えてきたように感じる。


 殿下に対して嫌悪感はないものの、やはり前世の記憶があるせいか不安は拭いきれないではいる。必要以上に仲良くなるのは控えたいのが、変わらない正直な気持ちである。




♦♦♦♦♦♦♦

 


 今日も学園が終わると馬車へと乗り込み、課外授業のため露店へと向かう。


 露店へ到着すると、孤児院のザックやロラたちが出迎えてくれた。


 課外授業は去年から始めたが、変わらずにザックもロラも真面目に勉強している。


 ロラなんて覚えも早くて、今では私の教科書を使って勉強しているくらいだ。要するに、ロラはコフィア王立学園の授業と同じ内容を同じスピードで学べるようになったということだ。これまで学ぶ機会がなかっただけで、ロラはもともと優秀なのだろう。


 ザックやザイ、ダイたちは、ロバート公爵領の学校の教科書を使い、問題なく解けるようになってきた。




 そして、この課外授業が最近になって大きく変化したところが・・・・。



「クリスティナさま〜!!」

「アン!」



 王都にある学校の教科書を持って走ってきたのは、パン屋の娘アンである。


 以前、王都の一般通りへ出掛けた際に立ち寄ったパン屋さんで出会い、友達になった私たち。


 もともと、露店で勉強をしていることを知っていたアンだったが、王都側の露店いるアンは公爵領側の露店にいる私たちに声をかけられなかったらしい。


 そのため、私から「いっしょに勉強しよう!」と、アンを誘ってみたのだ。アンが露店にパンを売りに来ている時は、こうして孤児院の露店へ顔を出すようになった。


「アン!お疲れさま〜!」

「ロラもお疲れ〜!」


 同じ年齢のロラとアンは、すぐに仲良くなった。一番の年長だったココが、この春に孤児院を卒業して治療院で働いているため、お姉さんがいなくなり寂しがっていたロラだったが、アンという新しい友達ができてから笑顔が戻り、本当によかったと心から思う。


「アン!こないだのパン、ありがとうな!めっちゃうまかった!!」

「本当に!?よかった〜!」

「まっ!形は変だったけどな!」

「ザック!失礼なこと言わないの!」

「うまかったって言ってるじゃん!」

「いつか絶対にキレイな形にして見返すもん!」


 アンが作ったパンは、まだ形が不恰好でお店には並べられないため、安く露店で販売したり、友達になった孤児院の子たちへ配っている。


 これが最近の光景なのだ。



「ふふふっ、では課外授業を始めま〜す!」


 そうして課外授業を始めると、ちらほらと露店をお手伝いしている他の子供たちも集まってくるようになった。


 公爵領側、王都側と関係なく。


 アンが課外授業に参加するようになってから、話しかけてもいいんだと思ってもらえたようだ。


 課外授業の参加者が増えることは嬉しい。知識を増やすことは大切なことだし、露店の通りで仲間が増えることも何かあった時に心強い。


 ただ、私ひとりでは教えきれなくなってきたことを学園の友達にポツリと話したら、時間がある時にはミレーネ、スカーレット、モアナが手伝うと申し出てくれたのだ。



 こちらも最近あった大きな変化である。



 先日なんて、スカーレットのお兄様であるシャーマ様と、モアナ様のお姉様であるマリエ様まで来られたのだ。


「私の可愛いモアナが!!お勉強を教える姿を見たいに決まってるでしょ〜!!!あら!?この問題、懐かしいわね〜!どれどれ?これはね〜」


 と言いながらも、甲斐甲斐しく子供たちに勉強を教えていたマリエ様である。


「こんなのもわかんねーのか!」

「うるせぇ〜!」

「ごめんなさい!」


 と、ザイやダイに悪態をつきながらも、最後まで付き合うシャーマ様である。


 孤児院のザイとダイは双子で、私より5歳年上だ。勝気なお兄ちゃんのザイ、少しだけ臆病な弟のダイである。この3人は公爵領の早朝訓練で出会って以降、こう見えて意気投合しているのだ。シャーマ様はアンのパン屋さんにもスカーレットとよく行っているようで、アンとも仲良くしている。ほとんどが、シャーマ様がアンを揶揄っているのだが。


 こういう時、スカーレットもモアナも遠い目をしているが、私たちを見ている周囲の露店からは笑い声が絶えることがなく、たまには賑やかな課外授業もありなのかもしれないとも思う。


 さすがに毎日だと、迷惑がられちゃうかもしれないからね・・・・。



 それでも、


「気さくなお貴族様はいるもんだね〜」


 とか、


「見ているこっちも楽しくなるよ」


 とか、


「我が子が、あんなに楽しそうに勉強してる姿を見るのは初めてです。ありがとうございます」


 と、声をかけらると嬉しいものである。



 ミレーネが読みやすい本をザックやロラに貸すことも増えてきた。ザックには冒険者の物語、ロラには料理のレシピ本が多いみたい。


「いつか、オレも剣を手に入れて山や海を冒険するんだ!!」

「いつか、わたしも外国の料理を作るの!みんなにオナカいっぱい食べさせてあげたい!」


 ザックとロラが元気よく言った。




 いつかーーー私も弟のネオとここで勉強したいな。


 ネオはロバート公爵家嫡男として、あと数年後には勉強を始めるだろう。その時は、ネオのことを露店の友達に紹介するのだ。きっと、さらに賑やかになって楽しいことだろう。




 <いつか>の未来に想いを馳せ、子供たちの笑い声は橙色に染まりゆく大空へと響き渡るのだったーーーーー。







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