初等部2年生の新学期
初等部2年生の始まりです♪
クリスティナに、どんなことが待ち受けているのでしょうか☆彡
ーーーな、な、、なぜ、こうなったの!?
いま、私の目の前には、このコフィア王国の第一王子であるリュドヴィック殿下がいるのだ。
しかも、なぜか満面の笑みで。
ーーーー時間は少し遡り。
今日から初等部2年生となる私は、新しい教室に向かうため学園の廊下を歩いていた。
すると、前方に見慣れたツインテールの髪型をした女の子が歩いている。
「ミレーネ様!おはよう!」
私が小走りしながら後ろから声をかけると、
「クリスティナ様!おはよう」
ミレーネ様は立ち止まって振り向き、朝から最高の笑顔で返してくれた。
挨拶を交わした私とミレーネ様は並んで歩きながら、新しい教室へと向かう。
「今日から2年生だね~!」
「うん!2年生はクラス替えもないから、またクリスティナ様といっしょで嬉しいな」
「私も!あっ、見て!ミレーネ様!中庭の花壇が新しくなってる!」
「本当だ!新学期だから綺麗に整えられたんだね~」
廊下の窓から見える中庭の花壇を、私とミレーネ様は立ち止まって暫し眺めていた。
新学期に相応しい春色のお花に見入っていると、ふいに後ろから声をかけられた。
「お、おはよう」
『えっ......この声は......』
心臓がバクバクと音を立てている。
右手で胸をギュっとしながら恐る恐る振り向くと、目の前には予想した通りリュドヴィック殿下が立っていた。
そして、冒頭へと戻り今に至るわけであるーーーー。
王族から声をかけられて、無視をするわけにもいかない。
私は、目が見開いたままになっていないだろうか。ちゃんと笑えているだろうか。
まだ私の心臓はバクバクと激しい音が続いているけれど、どうにか声を絞り出す。
「おはようございます.....」
「お、おはようございます」
私とミレーネ様が挨拶を返すと殿下は満面の笑みのまま、さらに声をかけてきた。
「ロバート嬢、いきなり話しかけてごめんね。ボクは、リュドヴィック・コフィアだ。同学年で挨拶を交わしていないのはロバート嬢だけだったから、ぜひ挨拶をさせてもらいたくてね」
殿下の言葉に、また目を見開いてしまう。
『私のこと、認識してくださっていたのね......』
自分の体が震えるような感覚に陥る。
いや、もしかしたら本当に震えているのかもしれない。
この震えは、前世の恐怖なのか、それとも・・・・。
これほど真正面から殿下を見たのはいつぶりだろうか。
太陽のように輝く金色の髪、快晴のように濃い青色の瞳、天界を統べる天使族を連想させるような容姿。
パールホワイトの蛇腹型の制服、両肩のラインの色は初等部2年生を示す淡い桃色だ。8歳になる年齢だから、男の子でも違和感のない可愛らしい色。
『殿下から声をかけてくださったのだから、もう逃げられないわ・・・。腹をくくりなさい!クリスティナ!』
私は緊張しながらもカーテシーをする。
「第一王子リュドヴィック殿下にご挨拶申し上げます。ロバート公爵家が長女、クリスティナ・ロバートと申します。ご挨拶が遅れましたこと、大変申し訳ございません。このような私ではございますが、よろしくお願い申し上げます」
「どうか顔を上げて。ボ、ボクも、ず、ずっと、声をかけられなかったし......」
「えっ......?」
「いや、今のは気にしないでくれ!こ、これからは、ロバート嬢と話していければいいな.....と......」
「は、はい......私でよければ......」
「・・・・・」
「・・・・・」
『なぜ殿下が赤くなるのよ!?私まで恥ずかしくなるじゃない!!』
真っ赤になっている殿下と私が沈黙してしまっていると、殿下の後ろから「ゴホッ」と咳払いのような音がする。
「殿下、ボクも挨拶をさせてもらってもよろしいですか?」
「......あぁ、いいよ」
殿下の後ろから声をかけてきたのはダミエレ様だった。
どうやら、ダミエレ様はずっと殿下の後ろに控えていたようだが、私は目の前の殿下に気を取られ過ぎていたせいで、ダミエレ様の存在に全く気づいていなかった。
なぜ殿下が、ダミエレ様の問いに間があったのかは謎だが・・・。
ダミエレ様が一歩、私へと近づくと、
「初めまして。ボクはダミエレ・シュルーダといいます。よろしくお願いします」
「こちらこそ初めまして。私はクリスティナ・ロバートです。よろしくお願いします」
王族や年上の方への挨拶ではないため、子供らしい簡単な挨拶を交わすダミエレ様と私である。
『あら?ダミエレ様は、こんなに表情が豊かだったかしら?』
前世のダミエレ様は、子供時代から常に冷静で無表情に近かった。声を出して笑っているところなど見たこともない。
しかし、いま目の前にいるダミエレ様は歯を見せて笑っているわけではないが、口角が少し上がり表情も何かを楽しんでいるようにも見えなくもない。
私がダミエレ様を観察してしまっていると、
「ダミエレ、そろそろ教室に行こう」
「はい、殿下」
声をかけてきた殿下に対して、ダミエレ様は可笑しそうに返事をする。
確かに前世でも、ダミエレ様は殿下の側近候補ではあったが、今ほど気軽い雰囲気ではなかったように記憶している。
ダミエレ様も、前世と今世は何か違うのだろうか。
「それじゃあ、ロバート嬢、ワグナー嬢、時間をくれてありがとう。またね」
そう言葉にした殿下は、私とミレーネ様に手を振りながらダミエレ様を伴い教室へと向かった。
後ろを振り向いたダミエレ様が、ミレーネ様に対して「またね」と伝えるように軽く手を上げている。
それに対して、恥ずかしそうに軽く手を振り返すミレーネ様。
「えっ!?ミレーネ様、それほどシュルーダ様と仲良しになっていたの!?」
「”仲良し”というほどではないよ。帰りの馬車の待機場で、よくダミエレ様と殿下と偶然いっしょになることが多かったの。スカーレット様とモアナ様がダミエレ様と仲良しだから、そのおかげで少しずつお話ができるようになったんだよ」
「お話できたことは知ってはいたけど、ここまで進展していたなんて!」
「”進展”なんてしていないよ!それにしても、殿下が来て驚いちゃった!」
「私も驚いたよ~!まさか、殿下から話しかけてくるとは想像していなかったから・・・」
「そうなの?殿下は、前からクリスティナ様のこと気にしていたよ?」
「え゛っ!?」
ミレーネ様の言葉に私が驚いていると、
「クリスティナ様!ミレーネ様!おっはよ~ぞ~い!!」
「おは、、よう」
今度は、スカーレット様とモアナ様が後ろから登場した。
「おはよう!スカーレット様!モアナ様!」
「スカーレット様、モアナ様、おはよう」
私とミレーネ様に近づいたスカーレット様が、
「んっ?クリスティナ様とミレーネ様、なんだか顔が赤いぞい!熱でもあるぞいか!?」
スカーレット様の言葉に、顔が赤くなる理由に思い当たる私とミレーネ様は、ますます顔を赤くさせる。
「スカーレット様!顔は赤くなってないよ!大丈夫だから!!」
「わたしも!大丈夫!!」
「そうぞいか?」
必死に言い訳する私とミレーネ様を不思議そうに見るスカーレット様の後ろから、モアナ様が顔を出して、
「なる、、ほど、、乙女、、殿下と、、ダミエレ様、、ね」
モアナ様は全てを見透かしたように言い切った。
「殿下とダミエレ様?なんぞい?」
「なんでもないよ!スカーレット様!」
「スカーレット様、早く教室に行こう!」
「ふ、、ふ、、ふ」
「よくわかんないぞいけど、みんな楽しそうでよかったぞい!ぜったい2年生も楽しくなるぞい!!」
こうして、朝から盛り沢山な出来事でスタートした初等部2年生である。
ーーーーー今世、初めてリュドヴィック殿下と目を合わせて話した。
今日の殿下の笑顔が作りものではないことを、私は知っている。
前世の殿下を、ずっと見ていたから。
前世の初等部時代、私が殿下と仲良くなりたくて、必死に話しかけていた頃に見せてくれていた笑顔だったから。
前世の中等部時代、殿下の婚約者となってからは、作りものの貼りつけた笑みしか見せてくれなかったから。
どうして、今日は満面の笑みだったのですか?リュドヴィック殿下・・・・。
つ・い・に!
つ・い・に!!
リュドヴィックがクリスティナに話しかけれました~\(^o^)/
ここまで長かったですね~(笑)
ここから、ヘタレを脱却していってほしいものです!!
次回もリュドヴィックが頑張ります(#^^#)




