短い春休み① ~みんなで楽しい早朝訓練~
初等部2年生になる直前の春休みです❀
よろしくお願いします!
短い春休みーーーーー。
春休み初日、早朝訓練にグスタフソン3兄妹が参加する。
スカーレット様のお父様でもあり第二騎士団長でもあるグスタフソン侯爵から、「いつも同じ相手との鍛錬では相手の癖や力量がわかってきてしまい向上できないため、違う相手と鍛錬する機会を与えてほしい」と、私のお父様に打診があったそうだ。
お父様は、すぐに了承した。
騎士の家系として名を馳せるグスタフソン侯爵家の3兄妹が、我が公爵領の早朝訓練に参加するとなれば、領民への宣伝にもなるし訓練に参加している領民のモチベーションも上がる。そして、スカーレット様が以前、ロバート公爵領の領民であるミルルに子供用の木刀を下賜していただいたことへのお返しでもあるのだ。
今回は、スカーレット様だけではなく、グスタフソン侯爵家嫡男のフレイム様と次男シャーマ様も参加されることから、お父様とカーティス、私兵団員数名がプラスされてお出迎えする。
私もお父様たちといっしょに演習場の建物の前で待機していると、前回同様に蹄の音が聞こえてきた。
スカーレット様を真ん中にして、両側にグスタフソン兄弟がスカーレット様を守るようにして馬を走らせている。
後ろから馬車がついてきているため、あの馬車にミレーネ様とモアナ様が乗っているのだろう。
私たちの前まで来たグスタフソン3兄妹が馬から下りて、お父様に向けて騎士の礼をとる。
「おはよう、よく来てくれたね。さぁ、顔を上げてラクにしてくれたまえ」
お父様の言葉にグスタフソン3兄妹は顔を上げて、
「お久しぶりです、ロバート公爵様。本日は、このような機会をいただけましたこと、感謝申し上げます」
「同じく、お久しぶりですロバート公爵様。本日の早朝訓練、大変楽しみにしてまいりました。よろしくお願い申し上げます」
「おはようございます!ロバート公爵様!本日もよろしくお願いいたします!!」
フレイム様、シャーマ様、スカーレット様の順番で挨拶をしていく。
「こちらこそ、君たちと交えることを楽しみにしていたよ。フレイムもシャーマも背が伸びたね。スカーレット嬢は今日も元気そうで何よりだ。さぁ、演習場へ案内するよ」
「こちらへどうぞ、ご案内いたします」
カーティスを先頭にグスタフソン3兄妹は演習場へと歩き出す。
グスタフソン3兄妹は私のほうへ顔を向け、目線だけでお互いに挨拶をした。スカーレット様だけは、手を振りながら声は出さずに「おはよう!」と、口パクしていたため私は笑ってしまったのだが。
今日は私の客人としてではなく、お父様の客人としてグスタフソン3兄妹は参加しているため、私と立ち話をする場面ではないのである。
そして、お父様は馬車から降りてきたミレーネ様とモアナ様へと話しかける。
「おはよう、ミレーネ嬢、モアナ嬢。今日は朝早くから、よく来てくれたね」
「おはようございます、ロバート公爵様。今日は、朝早くからの見学をお許しいただき、ありがとうございます」
「おはよう、、ございます、、ロバート公爵様、、今日は、、朝早くから、、ありがとう、、ございます」
ミレーネ様とモアナ様は、カーテシーをしながらお父様へ挨拶をする。
「いやいや、むしろ朝早くから見学に来てくれて嬉しいよ。ゆっくり見て行ってね。じゃあ、あとのことは任せてもいいかな、ティナ?」
「はい!」
お父様が演習場の建物へ入っていくのを見送り、私は2人に向き直る。
「おはよう!ミレーネ様!モアナ様!2階のバルコニーに案内するね!」
「おはよう、クリスティナ様!訓練を見るのは初めてだから、とても楽しみなの!」
「おはよう、、訓練の、、あとが、、楽しみ」
「ふふっ、みんなで朝食を食べるのも楽しみだね!」
早朝訓練のあとは、我が家で朝食をいっしょに食べようと誘っていたのだ。
料理長は、前々から張り切ってメニューを考えていたっけ。
2人をバルコニーへ案内すると、すでに階下の演習場では訓練が開始していた。
「すごい迫力だね~!」
訓練を初めて見ると言っていたミレーネ様は、30名くらいの男性たちが大声を出して訓練している光景は迫力があり驚いているようだ。
グスタフソン侯爵家のおかげで訓練を見慣れているモアナ様は、いつも眠たそうにしている瞳をさらに眠たそうにさせて眺めていた。
「本当に、、チロも、、ミルルも、、いる」
「ねっ?あの子たちも頑張っているでしょう?」
まだ幼いチロとミルルが訓練に参加している姿を実際に見て、これにはモアナ様も驚いていた。
チロもミルルに感化されたのか、途中からチロも参加するようになったのだ。チロもスカーレット様から下賜された木刀を手に、小さい体を一生懸命に動かしている。
グスタフソン3兄妹は赤い髪色をしているため、とても目立つ。グスタフソン3兄妹には、お父様とカーティスがついているようだ。
時間が経過すると、グスタフソン3兄妹の輪の中に、いつのまにか孤児院のザックとザイ、ダイも加わり意気投合していた。年齢が近い彼らは、身分など気にせずに木刀を振り合う。
『そうよね、本当の戦場なら身分なんて関係ないもの。みんな、いい顔してるわね』
私とミレーネ様、モアナ様は、バルコニーから彼ら、彼女たちを大きな声で応援したのだった。
ーーーそして、訓練のあとは公爵邸の庭で朝食である。
私、お父様、ミレーネ様、モアナ様、グスタフソン3兄妹が席へと座る。
晴天の空の下、清々しい空気、庭での朝食には最適な日である。
料理長が張り切って作ってくれた数多の料理。朝食ということもあり軽めのメニューではあるが、いつもより豪勢であることは間違いない。
さすが、フレイム様とシャーマ様は鍛錬後でもあるし育ち盛りということもあり、気持ちがいいほどモリモリ食べてくれている。
スカーレット様も鍛錬後のため、いつもよりも食べるスピードが早い気がする。
モアナ様はいつも通りにマイペースに食べているが、全種類を制覇しようとしていることは明白だ。
ミレーネ様は、公爵家と侯爵家の人たちに囲まれて緊張しているのか口数は少ないが、頬を緩めながら食べてくれていた。
お父様とフレイム様が中心となり話を進めていると、さらにもう一品が運ばれてきた。
先日、モアナ様の誕生日プレゼントを買うために、ミレーネ様とスカーレット様と王都の一般通りへと出掛けた際に、教えてもらったパン屋さんのワッフルである。
実は、このワッフル、学園祭のお土産でお父様が買ってきてくれたワッフルと同じだ。
「ザクザク」という食感が忘れられなかったが、そのパン屋さんを発見してくれた3人には感謝である。
ワッフルは、朝食のデザートにもなると思い、今日のために頼んで用意してもらったのだ。
いつもは手に持って食べるが、今日はお客様との朝食の席ということもあり、きちんとお皿に置かれてフォークとナイフで食べるようだ。
全員がワッフルの登場に喜んでくれて堪能していると、モアナ様が呟いた。
「これ、、チョコレートソース、、かけたり、、アイスクリーム、、のせたら、、もっと、、美味しそう」
モアナ様の呟きに対して、最初に反応したのはお父様だった。
「ほぅ、それは新しい発想だね。チョコレートソースは想像がつくけど、冷えたアイスクリームも合いそうだと思ったのはどうしてかな?」
冷えたアイスクリームは、アイスクリームだけで食べるものだと誰しもが思っていたことだろう。
「温かい、、ワッフルの、、上に、、アイスクリーム、、のせたら、、アイスクリーム、、とけてきて、、ソースに、、なります、、それに、、温かい、、冷たい、、おもしろい、、です」
「ふむふむ、たしかに合うならば面白いね。試してみる価値は......あるか。モアナ嬢、いい意見をありがとう。参考にさせてもらうよ」
「いえ、、恐縮です、、毒見役は、、ぜひ、、わたしに」
「あははっ!ちゃっかりしているところは父君似だね~。さすが、ウェバー伯爵家のお嬢さんだ。もし試す時がきたら、ぜひ味見役をお願いするよ」
「父君似」と聞いて、一瞬止まってしまったモアナ様である。しかし、「味見役」と聞いた瞬間には笑顔になっていた。
その後も楽しく談笑していると、ネオを抱いたお母様が現れた。
初めて家族と公爵邸の使用人以外を見たネオは、大きな瞳をキョトンとさせていたが、泣くこともなくすぐに慣れたようだった。
「抱っこしてあげて」と、お母様がみんなに勧めたため、あっという間にネオを抱いたお母様の周りには、みんなが集まる。もちろん、私もお父様も。
「かわいい!かわいい!」と歓声が沸くなか、フレイム様とシャーマ様、そしてミレーネ様は妹がいるからか慣れた手つきでネオを抱っこしている。
スカーレット様とモアナ様は初めて赤ちゃんを抱っこするようで、おぼつかない手つきながらもフレイム様とシャーマ様に教えてもらいながら抱っこしてくれた。
朝食の席では緊張していたミレーネ様も、とても楽しそうに笑ってくれている。
「ネオは、みんなを笑顔にする天才ね!!」
と、姉バカっぷりも披露してしまった私である。




