表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天使のほほえみ  作者: L
47/72

初等部1年生の学園祭④

あけましておめでとうございます(=゜ω゜)ノ

学園祭後半戦です♪

よろしくお願いします!




 マリエ様がクラス発表を行う場所は、学園の敷地内にある小講堂である。


 講堂は大中小とあるが、学園祭に使用したいクラスは多くあり、時間で振り分けられている。


 入学式や卒業式などの大規模な行事を行う大講堂は、生徒以外にも入れるように2階席や3階席もあるが、小講堂は1階だけの造り。


 ステージが近い前方の席は既に埋まっているため、私たちは一番後ろの席に6人並んで座った。




 発表時間となると、楽器を持った生徒たちがステージへ登場する。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス。そして、ピアノの伴奏者が着席すると、制服の上に真っ白なローブを羽織ったマリエ様が最後に登場した。



 マリエ様がステージの中央でカーテシーをすると、音楽が流れ出す。


 マリエ様の透き通った歌声が小講堂に響き渡る。中等部の生徒とは思えないほど、声量も凄まじい。


 先程お会いしたマリエ様とは、まるで別人だ。



 『また、この歌声を聴けるとは思わなかったわ・・・』



 マリエ様が歌われているのは、歌劇場で人気の劇中歌。戦地へと旅立った恋人が戦が終わっても帰らず、みんなが諦めていくなか恋人の彼女だけは何年も信じて待ち続け、最後は恋人が彼女のもとへ帰ってくるという、幸せな結末の物語だ。




 マリエ様の歌声を聴いていると、懐かしい声が思い出される。




 『ーーーーーあなた、悔しくないの?してもいないことを責められて?あのね!この国の王太子妃になるのなら、それくらい黙らせないとダメよ!私が側にいるからには、これでもかというくらい素晴らしい王太子妃にさせてみせるから、覚悟してちょうだい!!』






ーーーマリエ・ウェバー伯爵令嬢。



 前世で彼女と初めてお会いした時は、既にグスタフソン侯爵夫人となったあと。


 周囲に蔑まれた目で見られるなか、私に真っ直ぐな言葉をくれたお方。


 マリエ様の歌声は、王妃様も大変お気に召されていたため、王宮舞踏会でもよく披露されていた。


 私が高等部3年生になってから、王宮で過ごす時の付添人になるはずだった方がマリエ・グスタフソン侯爵夫人。


 王宮で味方がいないなか、あの言葉をかけてくれたマリエ様と過ごせることを、密かな楽しみが半分、両親やリュドヴィック殿下のように拒絶されるのではないかという不安が半分だったが、それは叶えられずに終わった。



 高等部3年生になる直前に、私が死んでしまったから。



 『私が死んだ時、マリエ様はどう思われたのだろう・・・・』






「クリスティナ様.....?」


 隣に座っていたミレーネ様が、心配そうに私の顔を覗いている。


 いつの間にか、歌は終わっていたようで、周囲は盛大な拍手が鳴り響いていた。



「やっぱり.....どこか痛いの?泣くくらい」

「えっ.....」



 私は、泣いていたようだ。


 涙が次から次へと流れてくる。


 人前で泣くなんて。


 前世では、どんな時だって、最期ですら人前で泣きはしなかったのに。



 

 だけど.....本当は泣きたかった。


 大きな声で泣きたかった。


 ずっと.....ずっと.....我慢していただけだった。




 私はゴシゴシ涙を拭いて、


「ち、違うの!歌声があまりに素敵すぎて、感動して泣いちゃったの!」


 私が咄嗟に言い訳をすると、


「ぶはっ!義姉上の歌で感動して泣くとか、いい子ちゃんかよ!」

「シャーマ兄上!クリスティナ様は、いい子だぞい!!」

「こらこら、2人とも静かに。マリエの歌を泣くほど感動したなんて、マリエが聞いたら喜ぶよ。クリスティナ嬢、ありがとう」


 フレイム様がそう言いながら、私の頭を撫でてくれる。お父様以外の男性に、頭を撫でられたのは初めてだ。照れくさいが、なんだか安心する。


 フレイム様の慣れた手つきが、妹のスカーレット様をこうして撫でているのだろうと容易に想像がつく。



「お姉さま、、跳ねて、、喜ぶ、、ありがとう」

「クリスティナ様は、やっぱり優しいね」


 モアナ様とミレーネ様まで、そのようなことを言ってくれる。





ーーーー本当は、そのようなことを言われる人間ではないのに。


 前世の私は、公爵邸のメアリーやセバスチャン以外で信じられる者はいなかった。


 だけど、今ならわかる。


 マリエ様やダミエレ様のように少数だとしても、蔑むことなくクリスティナ()自身を見てくれようとしていたことを。


 今思えば、ダミエレ様のお祖父様であるシュルーダ宰相も、スカーレット様のお父様であるグスタフソン侯爵も、クリスティナ()に礼を尽くしてくれていた。




ーーーーーもし、「私の話を聞いてほしい」と伝えられていたら?



 それができなかったのは、私が彼らを信じていなかったから。


 拒絶されるのが怖かったからだ。


 手を差しのべようとしてくれた人はいたのに、それに気づけなかったのは私自身だ。


 周りを見ようとしなかった。



 今日の学園祭だって、フレイム様は妹のスカーレット様が好きなものだから、キャペプをクラス屋台で準備したのだろうし、マリエ様のクラス発表にフレイム様とシャーマ様が同行したのも、もちろんフレイム様の婚約者が歌を披露するという理由もあるだろうが、一番の理由は幼い妹のスカーレット様を心配して付き添ったのだと、見ていればわかる。




ーーーーーーどうして、大切なことはちゃんと見ていればわかるはずなのに、前世の私は見ようとしなかったのだろう。


 大切なものを見失っていた私は、やはり愚かな人間だ。


 お互いを信じ合えないのに、誰が私を信じることなどできるだろうか。




 今世では、私が信じたいものを信じて生きたい。






ーーーーーーーそうして私は、まだ鳴り響く拍手のなか、私もマリエ様たちに向かって、小さな手で目一杯の拍手を送ったのだった。










2025年になりましたね~♪

皆さまが、どんな困難も乗り越え、ひとつでも笑顔が多くなる年となりますよう、お祈り申し上げます(^O^)/

今年は、もっともっと楽しんでもらえるよう精進しますッ\(◎o◎)/!


素敵なお正月をお過ごしくださいませ~☆彡




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ