初等部1年生の学園祭③
自分は”ひとり”じゃないと気づけたクリスティナ。
学園祭の続きです。
よろしくお願いします!
マリエ様とフレイム様の姿が見えなくなると、辺りは学園祭らしい喧騒の音を取り戻す。
「ごめんね、、うちの、、お姉さまが、、うるさくて」
「ううん!ぜんぜん大丈夫だよ!すごくパワフルなお姉様だね!」
「少し驚いたけど、モアナ様のこと、本当に大好きなんだねぇ」
「あんなの、、毎日、、されたら、うざい、、よ」
「はぁ〜、あと数年で、義姉上といっしょに住むぞい!頑張るぞい!!」
「いっしょに?」
スカーレット様の言葉に、ミレーネ様が不思議そうに尋ねる。前世と変化していなければ、私はその理由を知っている。
「フレイム兄上とマリエ義姉上は、婚約者だぞい!フレイム兄上は我が侯爵家を継ぐから、マリエ義姉上もいっしょに住むんだぞい!」
「こ、こんやくしゃ!?」
中等部で婚約者がいることは珍しいことではないが、初等部1年生のミレーネ様には身近に年上の人がいないため衝撃的なのだろう。
「お姉さまが、、自分で、、グスタフソンの、、おじさまに、、売り込んだ」
「じ、自分で.....」
令嬢が自分で売り込むとは、さすがに私も驚きだ。
しかし、マリエ様なら自ら売り込んでいても違和感がない。
「義姉上は悪い人ではないんだけど、テンションが高いし、声が大きいし、早口だから、ずっといっしょにいたら大変だぞい!」
「スカーレットも、、声、、大きい」
「うぐ!?騎士になるためには、声が大きいのは大事だぞい!!」
「そっか.....。モアナ様のお姉さまは中等部2年生で、スカーレット様のお兄さまは中等部3年生だから、高等部を卒業してご結婚するとしたら、あと数年でスカーレット様はモアナ様のお姉さまといっしょに住むことになるんだね」
「そういうことぞい!」
「いまも、、いっしょに、、住んでるのと、、変わらない、、のに」
「家が隣同士だけど、ずっと同じ屋根の下にいるのとは違うんだぞい!」
「昔は、、よく、、いっしょに、、寝てた、、のに」
そのような話をしながら、中等部の校舎の中へと入る。
すると、
「小さなレディたち、いらっしゃ〜い!今日は、楽しんでいってね!」
と、甘いマスクをした中等部のお兄さんにウィンクをされながら、案内が記載された紙を渡される。
この案内表には、各クラスが何のお店を出しているか、劇や楽器演奏を披露するクラスは何時からどこで披露されるかが記載されているのだ。
「あっ、義姉上のクラス、歌を披露するみたいだぞい?モアナ、見に行くぞいか?」
「......うん、、見に行っても、、いい?見ないと、、あとで、、うるさそう、、だし」
「いいよ!いいよ!見に行こう!」
「でも、まだ時間あるね」
「オナカもすいたし、それまで屋台を回って食べるぞい!」
マリエ様との遭遇で、とっくにお昼ご飯の時間になっていた。
食べ物を求めて、私たちは外にある屋台を覗いて歩いた。
貴族らしい食べ物ではなく、串焼きやホットドッグ、クレープなど、片手に持って食べられるものばかり。だからこそ、平民も気兼ねなく来れるのだ。少しでも平民が、王立学園に興味を持ってもらえるように、そして入学してもらえるようにとの理由で、この学園祭が始まったのだと教えられている。
たくさんのお店を覗いて食べたいものを考えていると、
「スウ!」
スカーレット様を呼ぶ声が聞こえた。
「フレイム兄上!」
スカーレット様が、フレイム様のもとへ駆け出して行く。
私たちも、スカーレット様のあとに続くと、フレイム様のクラス屋台のようだ。
「スウ、これ好きだっただろ?食べるか?」
「わぁ〜!キャペプだぞい!みんな〜!これ美味しいぞいよ!」
「キャペプ?」
「前に、鍛錬の旅に行った場所の料理だぞい!とっても美味しいんだぞい!」
キャペプは、クレープのような皮にお肉や野菜が挟んでいるようだ。サンドイッチみたいな感じなのかな?
せっかくなので、みんなでスカーレット様おすすめのキャペプを食べることにした。
そして、フレイム様に用意していただいたキャペプを受け取るために、私たちが順番に両手を差し出した時だった。フレイム様のクラスメイトの男性が、スカーレット様に話しかけてきたのは。
「あっ、スウちゃん!今年も来てくれたんだね〜」
「はい!もちろんぞいです!」
すると、スカーレット様が差し出した掌を見て、
「あれ?スウちゃんの掌、剣ダコできてるね。もしかして、スウちゃんも鍛錬してるの?」
「はい!もちろんぞいです!わたしも騎士になるぞいです!!」
「あはは!さすがはグスタフソン侯爵家!これは、立派な女性騎士の誕生かな!?なぁ?フレイム?」
「・・・あぁ、そうだな」
フレイム様の肯定の言葉に、スカーレット様はニカッと笑って喜んでいたが、フレイム様は悲しそうに微笑んだように私には見えてしまった。しかし、それを聞くわけにもいかないため気づかないフリをしたけれど・・・。
キャペプを受け取った私たちは、外には多くの飲食スペースも設けらるているため、そちらに向かった。テーブルに屋台で買ったキャペプと飲み物を置き、やっとお昼ご飯の時間だ。
飲み物は、別の屋台にあった果物搾りたての100%ジュースだ。オレンジや葡萄、桃などあるなかで、私はマスカットにした。マスカットは希少なので少しお高めであったが、この売上も提供してくれた農家さんに還元されると思えば、少しお高めのものを買っても許されるだろう。
「「「「いただきます!!!!」」」」
両手で持ったキャペプを口に運ぶと、甘辛い味が口の中に広がる。焼いたお肉と生野菜、子供でも食べられる甘辛いソースが絶妙だ。クレープの生地のようなものに挟んであるが、実際はクレープの生地よりも厚くて食べ応えがある。
「久しぶりに食べられて嬉しいぞい!」
「初めて食べたよ!美味しいねぇ!」
「うん、、おいしい」
「このクレープの生地みたいなパン?も、初めて食べたよ〜」
キャペプの美味しさに舌鼓を打っていると、
「スウ、頬にソースがついてるぞ」
いつの間にか、スカーレット様の真横にシャーマ様が立っておられた。シャーマ様は、スカーレット様の2番目のお兄様でグスタフソン侯爵家の次男だ。
「グフッ!?」
気配もなく、突然シャーマ様が現れたことで、スカーレット様は驚いてしまったようだ。キャペプにかぶりついた時だったため、ゲホゲホしてしまっている。
「ゲホッ、シャーマ兄上!?驚くぞいです!」
シャーマ様は揶揄うように笑いながら、取り出したハンカチで、ソースがついてしまったスカーレット様の頬をゴシゴシ拭いている。
「面目なしぞいです・・・」
拭いていただいた頬をプクーっと膨らませながら、スカーレット様がそう言うと、シャーマ様はまたケラケラと笑い、私たちの隣のテーブルに着席した。シャーマ様のクラスメイトであろう初等部4年生の男子生徒3名もいっしょだ。制服のラインは黄緑である。
シャーマ様たちも、フレイム様のクラス屋台に寄ってきたようで、キャペプを持っている。他にも様々な食べ物を買ってきたようだ。さすが、食べ盛りの男の子である。
みんなで食べていると、フレイム様がやってきた。
「スウたちは、マリエのクラスを観に行くのか?」
「はい!みんなで観に行くぞいです!」
「行かないと、、あとで、、大変」
「くくっ、そうだな。シャーマ、お前も行くか?」
隣の席にいるシャーマ様にフレイム様が話を振ると、
「あー、そうですね。俺も行きます。行かないと、あとでギャーギャーうるさそうだし」
そうして、私たちがデザートのクレープまでしっかり堪能した頃、
「それじゃ、シャーマ。僕らは高等部のほうに行ってくるよ、またな」
シャーマ様のクラスメイトの方々とは別れて、私たち4人とフレイム様、シャーマ様の6人で、マリエ様のクラス発表の場所へと向かったのだった。
クリスティナたちの後ろ姿を眺める、2つの小さな影には気づくこともないまま・・・。
2つの小さな影とは!?
誰か~!後ろを振り向いてあげて~!!笑
そして、今年も今日で終わりですね・・・。
今年の5月に初めて投稿させていただき、あいだがあきながらも、L~エル~の部屋に遊びにきてくださった方、読んでくださった方、本当にありがとうございました☆彡
来年も楽しく描いていきます!!
みなさまが、心身健全でありますように・・・★
よいお年をお迎えくださいッ(@^^)/~~~




