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天使のほほえみ  作者: L
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初等部1年生の学園祭②

リュドヴィックとダミエレの作品を見て、それぞれが胸に抱いた想いとは何なのか・・・。

学園祭前半戦、まだまだいきますよ~。

よろしくお願いします!





 初等部の校舎から外へ出てみると、一般公開されていることもあり、多くの人たちで賑わっていた。


 貴族も平民も関係なく歩いている。


 これこそが、コフィア王立学園の本筋だ。




 すると、普段は見慣れない制服......いや隊服を着た姿が多く見える。


 学園祭の警備を担当している王都警備隊だ。


 その姿を目にした途端、



 『ーーーーーお前がやったんだな?』




 前世の記憶がフラッシュバックする。


 地下牢での尋問。


 あの時、私に尋問した者は王都警備隊の隊服を着ていたはずだ。


 今、私を捕まえにきたわけではないと頭では理解しているが、体が硬直してしまう。


 呼吸も小刻みにハッ、ハッ、と浅くなっていくのがわかる。


 手の指先から冷えていくような感覚もある。




「クリスティナ様......?」


 ミレーネ様の声に、遠くなっていた意識が現実に引き戻された。


「大丈夫?顔色が悪いよ?」


 ミレーネ様が心配そうに私の顔を覗き込んでいる。


「だ、大丈夫だよ!人の多さにビックリしちゃっただけ!」


 今の姿は初等部1年生の子供だが、精神年齢は17才なのだ。それなのに、子供のミレーネ様に心配をかけさせてしまった自分が情けない。


 少しだけ前を歩いていたスカーレット様とモアナ様も、立ち止まってしまった私のもとへ戻ってきた。


「クリスティナ様、顔が青いぞい?大丈夫ぞいか?」

「ムリ、、しないで、、休む?」



 顔色が青くなるほど、私は過去に戻ってしまっていたのか。スカーレット様とモアナ様にまで心配をかけているのが申し訳なくて、私は気持ちを落ち着かせるために大きく深呼吸した。


「えへへっ、ごめんね!あまりにも人が多くてビックリしちゃったの!もう大丈夫だよ!」


 そう答えた私は、ブンブンと両手を上下に大きく振ってみせる。


 それでも、まだ心配そうな顔をしてくれるものだから、


「ほらっ!行こう!美味しいの、いっぱい食べよう!」


 すると、スカーレット様がキリっとした顔つきをして、


「わかったぞい!クリスティナ様はわたしが守るぞい!ついてきてぞい!!」


 スカーレット様は自分の胸をドンっと叩きながらそう言うと、私を誘導するように前へと出た。


 そして、ミレーネ様とモアナ様が私の両隣にきて手をつないでくれる。


「つらくなったら、すぐに言ってね?」

「すぐ、、だよ」



 私は、3人の言動に泣きたくなる。


 悲しいからじゃない、嬉しいから泣きたいのだ。


 前世で、このように私を心配してくれたのは侍女のメアリーだけだった。


 それが今、3人も増えたのだ。


 前世の記憶があるからと、精神年齢は自分のほうが上だと思い込んでいたのに。その思い込みこそ高慢であったと気づかされた。人を心配することができ、自然と手を差しのべられる彼女たちのほうが、初等部1年生でも精神年齢が上ではないか。心のつながりに実年齢は関係ないのかもしれない。



「うん!ありがとう!みんながいてくれるから平気だよ!!」



 そう。


 平気なのだ。


 みんながいてくれるから。


 私は、ひとりじゃない。


 いつか私も誰かに、「私がいるから大丈夫!」だと言える人間になりたい。


 いつか私も、みんなの力になりたい。


 


 眩しい友人3人に対して、私は顔を上げて「平気だ!」と、笑って伝えたのだった。






ーーー中等部の校舎へ向かう途中、王都警備隊の方を見ても、もう平気だった。


 両隣には、ミレーネ様とモアナ様。前を、スカーレット様が私たちのほうを向いて歩いているから。そう......スカーレット様は後ろ向きで歩いているのだ。


「スカーレット、、前、、見て、、危ない」

「大丈夫だぞい!人の気配を察知する訓練にもなるぞい!!」


 スカーレット様はそう言っているが、前から歩いてくる人たちが避けてくれていることも、また事実。


「そういえば、ミレーネ様の妹さん、来られなくなって残念だね」

「そうなんだよね、楽しみにしすぎて熱が出ちゃったからね・・・」


 ミレーネ様は苦笑いである。


 ミレーネ様の妹さんは、学園祭に来ることが楽しみで楽しみで仕方がなく、興奮しすぎて熱が出てしまったそうだ。”知恵熱”というやつである。


「私も、ミレーネ様の妹さんに会ってみたかったから、ざんね......」



「モ~ア~ナ~~~~~~!!!!!!」



 私が「残念」と言い終わる前に、誰かの大声に遮られてしまった。


「ゲッ、、、、、、」


 私の左隣にいるモアナ様から、かわいい顔から発せられたとは思えない呟きが聞こえてきた。


 すると、後ろ向きで歩いていたスカーレット様も、その大声にビクっと立ち止まり、ソーっと前のほうへ顔を向ける。


 大声を発したであろう人物を視界に入れたのか、これまたスカーレット様まで、


「撤退するぞい......」


 などと言いだすではないか。


 大声を発したであろう人物が、ものすごい勢いで近づいてくるのが私にも見えた。



 『あれは・・・・』



「モアナ!モアナ!モ~ア~ナ~!!やっと来てくれたのね~!!!」


 その人物......女子生徒は、ものすごい勢いで近づいているかと思ったら、そのままの勢いでモアナ様に抱き着いた。


「げふっ、、、うざい」


 モアナ様の毒舌は、()()の前でも健在らしい。


「もう!ずっと待ってたのよ~!ずっと!ずっと!あぁ!私の可愛いモアナ!私の可愛い妹!学園では会えないから寂しくて!寂しくて~!」


 さらにギューっと、モアナ様を抱きしめる学園の制服を着た女子生徒は、青紫色のリボンタイシャツを着ている。中等部2年生ということだ。


 ちなみに、私とつながれていたモアナ様の手は離れてしまっている。



 『モアナ様のことを妹......やはり、この方は......』



「ごふっ、、、お姉さま、、みんなが、、ひいてる」



 『そ、それよりも、モアナ様は大丈夫かしら!?げふっ、とか、ごふっ、って苦しそうにしているけど』



「学園でも会ってるぞい?通学の馬車でいっしょだぞい?」


 すると、”お姉さま”と呼ばれた女子生徒は、勢いよくスカーレット様のほうを向き、


「スウ!通学の時間だけでは足りないに決まっているでしょ!?スウはいいわよ!モアナと、ず~っと一緒にいられるのだから!さぁ!モアナ!行くわよ!私が案内するから、好きなものを好きなだけ買って食べるといいわよ!」

「あ、義姉上......わたし()()もいるぞい?」

「スウ!!”義姉上”ではなくて”お姉様”とお呼びと、何度も教えているでしょ!?・・・ん?わたし()()?」


 そして、モアナ様のお姉様は私とミレーネ様へ視線を向けて、初めて存在に気づいたのか、なぜか驚愕の表情を浮かべている。


「お姉さま、、わたしの、、友達の、、クリスティナ様と、、ミレーネ様、、よ」

「はう!?私の可愛いモアナのお友達は、やはり可愛いのね!何をしても、やはりモアナは可愛いのね!紹介が遅れましたわ、私は可愛いモアナの姉のマリエ・ウェバーと申しますわ!これからも、可愛い妹のモアナをよろしくお願いしますわ!可愛いお友達!!」


 マリエ様は早口で言い終えたと同時に、私とミレーネ様のことを抱きしめてきた。


「ごめんね、、お姉さまが、マシンガントークで、、早口で、、うるさくて」

「モアナが!私の可愛いモアナが!私を褒めてくれている!!」



 『『『『『褒めてない!!!!!』』』』』



 きっと、この場にいる全員がツッコミを入れただろう。


 モアナ様のお姉様であるマリエ様が、私とミレーネ様を解放し、


「モアナから、あなたたちの話も聞いていたわ!あながミレーネ・ワグナー嬢ね!そのツインテール!なんて可愛いのかしら!絶対にモアナも似合うわよね!あぁ!!モアナとワグナー嬢がお揃いでツインテールにして並んでいたら、国宝級よ!ワグナー嬢もそう思わなくて!?」

「は、はい.....モアナ様のほうが、とても似合うと思います....」



 『『『い、言わされている!!!』』』



 またもや、この場にいる全員がツッコミを入れただろう。


「そうでしょ!?そうでしょ!?可愛いモアナには似合うのよ〜!そして・・・」


 マリエ様が私のほうに体を向ける。


「クリスティナ・ロバート公爵令嬢ですね?」

「はい。ロバート公爵が長女、クリスティナ・ロバートと申します。マリエ・ウェバー様、お会いできて光栄でございます。どうぞ、私のことはクリスティナとお呼びください」


 私がカーテシーをすると、マリエ様の全身がプルプルと震え出した。


「あぁ!本物のロバート公爵令嬢が目の前にいるなんて!母から、ロバート公爵夫人の武勇伝の数々を聞いていて、私はロバート公爵夫人の大大大ファンなの!!私の母とロバート公爵夫人は同じ生徒会だったのよ!ぜひ今度、ロバート公爵夫人の話をご息女であるクリスティナ様から伺いたいわ〜!!あぁ!それにしても、クリスティナ様も可愛すぎるわね!やはり、あのロバート公爵夫人のご息女だけあるわ〜!!」



 マリエ様、大興奮である。


 お母様の”武勇伝”はとても気になるが、話が止まらなくなりそうなので今はヤメておこう。



「さぁ!!モアナも、スウも、クリスティナ様も、ミレーネ様も、可愛い子は私が案内するから安心して!行きましょう!!」



 これは抗えないと思った時、マリエ様の背後に背が高く体格のいい男性が立ち、ガシッとマリエ様の頭を掴んだのだ。


「はう!?」


 マリエ様が変な声を発したかと思えば、


「フレイム兄上!!」


 スカーレット様が声を上げた。


 マリエ様の背後に立った人物・・・スカーレット様のお兄様でもあり、グスタフソン侯爵家嫡男フレイム様だった。蛇腹型の制服のラインは赤紫色。中等部3年生だ。


「マリエ、なにやってるんだ?マリエのクラスメイトが、マリエが戻ってこないと俺に泣きついてきたんだぞ?歌の準備があるんだろ?さっさと戻るぞ?」

「フ、フレイム!歌なんかより大事な用事なのよ!可愛いモアナが来てくれたのよ!私が案内しないで誰かするって言うのよ〜!!」

「うるさい、このシスコン。マリエが歌わないと、誰が迷惑する?マリエの歌のために、楽器を練習してきたクラスメイトだろ?わかったなら、さっさと行くぞ。俺も暇じゃないんだ」


 そのままフレイム様はマリエ様の頭を掴んだまま、ズルズルと引きずっていく。


 マリエ様は抵抗しているが、フレイム様の力に勝てるはずもなく引きずられていく。


 ポカンと、それを見つめている私たち。


 すると、「あっ」と、何か思い出したような声を発したフレイム様が立ち止まり、私たちのほうを振り返った。


「騒がしくしてすまんな。スウ、俺のクラスにもおいでよ。スウの好きなもの、置いてあるから。お友達といっしょにね」

「は、はい!フレイム兄上!!」


 元気よく返事をしたスカーレット様は、お兄様に話しかけてもらえたのが嬉しかったのか、頬が上気している。



「モアナ〜!モアナ〜!!私の可愛いモアナ〜!!!」



 そうして、マリエ様の通った声は、どんどん離れていったのである・・・・。









モアナの姉、マリエ・ウェバーの登場でした☆彡

マリエのテンションの高さ、マシンガントークは、母カイラ譲りですね( ゜Д゜)

えっ?カイラって誰ですと?

詳しくは、第40話「※グレイソンとアリアナの青春時代4⃣」をご覧ください(笑)


そして・・・明日は大晦日ですね★

早く、おいしい肴とお酒でゆっくりしたいですな~(*'ω'*)

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