表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天使のほほえみ  作者: L
42/72

※執事セバスチャン目線(前世)1⃣

すみません!

家の事情で更新が遅くなってしまいました(;・∀・)


今回は、ロバート公爵家の執事であるセバスチャン目線(前世編)です。

少しずつ、前世での謎が解き明かされるかも!?


よろしくお願いします!




 私は、ロバート公爵家に執事として仕えております。


 男爵家の次男でしかなかった私が、ロバート公爵家の執事見習いとして働き出してから早数十年。


 ロバート公爵家嫡男のグレイソン様も学園卒業後にご結婚され、若奥様であるアリアナ様が公爵家に嫁がれてから、この公爵家も大変賑やかになりました。




 グレイソン様は公爵家嫡男でもあり、現国王であるリュベルト陛下とも幼い頃からご友人でもあり、周囲からの期待はそれはそれは大きいものでした。


 生まれた時から周囲の期待を背負うグレイソン様は、物心がつかないような年齢の頃から、当時のリュベルト殿下と同じ机で勉学をされておりました。徐々に剣術や体術も加わりましたが、それら全て、グレイソン様はそつなくこなしておりました。


 ご自身が周囲にどのように見られているか、よく理解されていた子供時代だったと思います。


 リュベルト殿下と悪戯をして遊ばれたりもしていましたが、ご自分の我儘を仰ることもなく、欲もなく、将来は公爵家の当主として生きていくことを受け入れているように、私には見えました。


 まだ、コフィア王立学園に入学する前の子供が、ですよ。




 それが、学園の中等部に進級してからでしょうか。


 グレイソン様に対して、変化を感じたのは。




 何事にも効率的よく時間を有効活用するグレイソン様が、物思いに耽る時間が多くなったのです。


 時には、「はぁ〜」と、長いため息をついて、庭を眺めてみたり。



 もしや・・・・これは、恋煩いでは?


 今まで、ひとつも浮いたお話のないグレイソン様。


 私は、信じられない気持ち半分、嬉しい気持ち半分でございました。年相応の少年のようで嬉しく感じたのでございます。


 それは、他の使用人たちも、実は旦那様も奥様も同じだったようで、グレイソン様を温かく見守っておりました。




 それが確信に変わったのは、グレイソン様が中等部3年生の頃でございました。



 急に、昼食用のお弁当を用意してほしいと要望されたのです。


 しかも、「女子生徒が食べられる量で」 と。


 「その女子生徒は、きっと量が多くても残さずムリして食べようとするから」 とも。


 私が「グレイソン様は何を召し上がるのですか?」と伺いましたら、恥ずかしそうにしながらも、「その女子生徒が作ったお弁当を食べる」と教えてくださいました。


 これ程に、お顔を赤くしたグレイソン様を見たのは、初めてでございました。


 雷に撃たれたかのように衝撃を受けた私たち使用人は、公爵家の威信をかけて女子生徒用のお弁当を作り続けました。時には、食後のデザートやお茶も用意致しました。



 そこまで我々がする理由としての一つが、お弁当を召し上がっているであろう女子生徒の方が仰った感想を、いつもグレイソン様が伝えてくれるからでございます。


 その女子生徒の方が何者なのか存じ上げませんが、心温まるお言葉を毎日のように伝えていただき、料理人だけでなく使用人全体の励みとなっておりました。


 密かに使用人の間では、その女子生徒のことを、”弁当の君”、と呼ぶようになります。



 

 それから、高等部への進級が近づく頃になると、グレイソン様が旦那様とお二人きりで話されるようになりました。旦那様の執務室にこもり、お二人で何かされているようです。




 高等部へ進級されると、グレイソン様の同級生の方が公爵領の孤児院で勉強を教えることになったと伺いました。


 その同級生の方は、フォンターナ侯爵令嬢のアリアナ様というお名前で、おそらく”弁当の君”だろうことは予想されました。




 孤児院でのご様子を、私も旦那様と奥様とご一緒に、ソ~っと見ておりました。


 アリアナ様のお人柄、器用の良さ、子供たちと走り回り、服や手が汚れるのも構わず畑仕事もするお姿。


 そして、グレイソン様と接するご様子。


 旦那様も奥様も、満足気な笑みを浮かべて眺めておられました。


 グレイソン様だけは、こちらをチラチラと気にされていたような気もしますが、きっと気のせいでございましょう。




 そして、それから少し経った頃、グレイソン様に依頼されたのです。


 ロバート公爵家の前執事である私の恩師と、連絡を取りたいとのことでございました。


 恩師は、私に執事としてのノウハウを全て教え込んでいただいた方でございます。


 恩師は、執事を引退されたあとは放浪生活を楽しまれているため、連絡が取りにくい方でございます。


 そのため、連絡方法を熟知している私に白羽の矢が立ったのでございましょう。


 私は、ロバート公爵家の執事でございます。次期公爵様に対し、断る理由はございません。


 私が快諾致しますと、グレイソン様は恩師と連絡を取りたい理由をお話してくださいました。




 「フォンターナ侯爵代理となる者に、領主としてのノウハウを教えてやってほしい」




 現フォンターナ侯爵は、領民からの税金を不正受給しただけではなく、大天使殿のあるアンヘルでの詐欺行為。アンヘルは大天使殿があるため、天使族に対する敬意を今もなお高く持っている方々が多くいる場所でもあります。


 フォンターナ侯爵はそこにつけ入り、フォンターナ領にある泉の水だと騙したり、フォンターナ領の森に落ちている葉は天使様の加護が受けられるなどと騙しては、高く売りつけようとしていたのでございます。


 アンヘルは王都から離れてはおりますが、大天使殿もあることから王家の直轄地でございます。


 王家の直轄地で、そのような詐欺行為をするなど言語道断。それが、あの聡明なアリアナ様のご両親だと考えると、胸が痛みます。


 しかし、そのご両親にどのような仕打ちをアリアナ様がされてきたのか、グレイソン様から伺い、私は拳を強く握りしめたのでございます。侯爵令嬢にも関わらず、お弁当を作られたり学生ワークをせざるを得なかったことを、私は初めて気づいたのでございます。


 現フォンターナ侯爵は捕まり、次期侯爵はアリアナ様の弟君になるのでしょうが、まだ未成年のため爵位は継げません。ですから、領主代理として現フォンターナ侯爵の弟君をグレイソン様が探し出したため、領主としてのノウハウを学ばせたいということでございます。


 現フォンターナ侯爵の弟君は、とても人格者の方で、領民にも慕われていた方なのだそうです。


 グレイソン様は、全面的にフォンターナ侯爵領を支えるお覚悟なのでしょう。


 そう。全ては、アリアナ様のために。




 私は何としても、恩師に一刻も早く連絡を取るべく、使命感に燃えたのでございます。


 ここはアリアナ様には申し訳ありませんが、フォンターナ侯爵領の泉と森の結界を餌にさせていただきます。そういうの、私の恩師は大好きなのですよ。


 なぜ、ここまで私が使命感に燃えるのかと申しますと、あのグレイソン様が本気を出されたからでございます。


 何にも執着されなかったグレイソン様が、初めて手に入れたいと欲した女性。


 その女性のために、旦那様も奥様をも巻き込んで内側から守りを固め、外側から攻め落とそうとされているのですから。




 さらに少し経った頃、今度は公爵家と懇意にされている宝石商の出入りが激しくなったのでございます。


 グレイソン様は、真剣に宝石商の女主人と相談されております。


 グレイソン様が座るソファの後ろに控えている私だけではなく、この公爵家の使用人一同、グレイソン様がご自身の装身具を購入されるためとは思っておりません。



「今回は、指輪をお求めということでよろしいですか?」

「あぁ、こ、こ、婚約、指輪だ」

「まぁ!まぁ!お小さかったお坊ちゃまが、そのような年齢になられたのですね!そのような大事な場面に立ち会えるなんて、長生きはするものですわね〜」


 シルバーグレーの髪を品良く纏めた老齢の女主人は、幼い頃からよく知るグレイソン様に対して、少女のように目を輝かせながらも温和な笑みを浮かべております。


「もう、”お坊ちゃま”は、やめてくれ・・・・」

「ふふふっ。婚約指輪でしたら、こちらのようなセンターストーンだけのもの、またはセンターストーンの両側に小さめのサイドストーンもお付けしたものが人気でございますよ」


 実際の商品を並べながら、女主人は説明を始めました。


 それらを真剣に眺めていたグレイソン様は、


「う〜ん、彼女は手先をよく使うから、大きい宝石だと引っ掛けてしまったりジャマになったりしないか?」


 おそらく、アリアナ様が孤児院の畑仕事を手伝われたり、お料理もされるため心配されているのでございましょう。


「それでしたら・・・こちらはいかがでしょう。”エタニティリング”と呼ばれるものでございます。リングの半分以上に、同じ大きさ、同じカットの宝石が留められます。宝石は一つひとつ小さいものとなりますが、輝きは失われません」

「うん、これがいいな。これで頼む」


 グレイソン様の頬が満足気に緩んでおります。


「宝石はいかがいたしますか?ご希望の宝石やお色はございますか?」

「そうだな.....2種類の色を交互に留めることは可能か?」

「もちろん、可能でございますわよ」

「じゃあ.....エメラルドグリーンと、う、う、薄い青色を....」

「ふふっ、それらのお色ですと、こちらに・・・・」



 こうして無事に、グレイソン様の贈り物はお決まりになられました。


 まさか、グレイソン様とアリアナ様のお色を交互に入れらるとは驚きましたが・・・。




 そして、アリアナ様に婚約申し入れの了承を得るため、フォンターナ侯爵代理とアリアナ様のお祖母様のもとへ素早く動いたのでございます。




 剣術大会当日の朝、今までに見たことがないほど緊張した面持ちで、グレイソン様は出発なされました。


 剣術大会に緊張しているわけではないことは、使用人一同わかっております。


 使用人一同、心の中で激励を送ったことは言うまでもありません。




ーーーご帰宅されたグレイソン様のお顔を見て、皆が安堵したものです。


 グレイソン様は、頬が緩みっぱなしでございましたが、この日ばかりは旦那様も奥様も注意なさるような野暮なことは致しません。


 使用人室からは、歓喜の声が響いておりました。




ーーーーー2年間の婚約期間を経て、学園卒業後すぐに、グレイソン様とアリアナ様の結婚式が執り行われました。


 その1年後に、クリスティナお嬢様がお生まれになられました。


 それは、それは、大変可愛らしいお嬢様で、グレイソン様もアリアナ様も目に入れても痛くないというほど、愛情を惜しみなく注ぎ込んでおられました。


 時には、アリアナ様自らが厨房に立ち、お弁当を作られては領内の丘陵へ家族3人でピクニックへお出掛けになられておりました。クリスティナお嬢様は、ピクニックが大好きでございましたから。




 クリスティナお嬢様のおかげで、さらにロバート公爵家は賑やかになりました。






 誰もが、このまま幸せな時間が過ぎていくものだと、疑っておりませんでした・・・・。





グレイソンとアリアナの婚約後、コフィア王国ではエタニティリングが流行しました。

それは、また別のお話・・・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ