表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天使のほほえみ  作者: L
37/72

※グレイソンとアリアナの青春時代1⃣

今回は、クリスティナの父と母である『グレイソンとアリアナ』の学生時代のお話です!

グレイソンとアリアナは恋愛結婚らしいのですが、どのような学園生活を送っていたのでしょうか?


よろしくお願いします!




 リュベルト王子と公爵家嫡男グレイソンは幼馴染みである。



 その2人が王立学園に入学する際は、とても話題となった。




 イタズラ好きで陽気なリュベルト王子。


 幼い頃からいつも隣にいるグレイソンは、リュベルト王子とは正反対の冷静な子供に()()()()()だった。


 そのため、破天荒なリュベルト王子の手綱を握るのはグレイソンであり、将来の側近は公爵家嫡男でもあるグレイソンだろうと誰もが予想していたのである。






 それほどまでに有名な2人が入学してくることを、同じ年齢のアリアナも知っていた。




 アリアナはフォンターナ侯爵家の長女。


 侯爵家といっても、過去の栄光にしがみついてるだけの、名ばかりの侯爵家。


 フォンターナ侯爵領は、大天使殿のあるアンヘルの隣にある。侯爵領のほとんどが森に覆われており、その森は隣国へ繋がっているとも言われている。しかし、そのまま隣国へは入れないとも。コフィア王国の天使力なのか、それとも隣国の精霊力なのか、その森の境界には目に見えない結界のようなものがあり、隣国へ入るためには正規のルートで行くしかない。


 森は、アリアナの庭であり遊び場所でもあった。かけっこも木登りも大得意。


 アリアナは、そのような場所で育った。




 そのアリアナが、学園生活で一番楽しみにしていたことが、年に一度の剣術大会だ。


 初等部1年生の頃に初めて観戦した時、高等部のブレイズ・グスタフソンの試合に大興奮し、剣術大会の大ファンになったのである。剣術に詳しくないアリアナでも、騎士の家系で有名な侯爵家グスタフソンの動きは、とても洗練されたものであった。


 初等部2年生まではブレイズの試合を観戦できたが、ブレイズとは年齢が10才離れていたため、ブレイズは学園を卒業してしまった。それでも、あの会場の熱気が好きで毎年かかさず観戦していたが、ブレイズ・グスタフソンの試合以上に興奮することはなかった。



 再度、大興奮することとなったのは、アリアナが中等部1年生の時。


 学園の剣術大会は、中等部と高等部に分かれて試合を行うため、アリアナの同級生たちも試合に参加するようになる。


 参加する同級生のなかに、有名な2人もいた。


 リュベルト王子とロバート公爵家嫡男グレイソンだ。


 同級生といっても、アリアナは2人と話したことはなかった。同じクラスになったこともないし、廊下とかですれ違う時に会釈程度の挨拶ならばあるが、すぐに2人は誰かに話しかけられてしまうため、特に2人に興味のないアリアナは話しに加わる必要もない。王族や公爵家に近づきたいために、あの2人に話しかける学生は多いが、必死に話しかける学生を見て『貴族って大変ね』などと、自分も()()は貴族なのに他人事のように思っていたのである。 




 有名な2人は、順調に勝ち進んでいた。


 リュベルト王子はヤル気なさそうに、のらりくらりと相手の攻撃を躱し、相手が油断した隙を見計らい、瞬時に勝利を掴む。


 グレイソンは時間のムダだとも言いたげに、試合開始と同時に攻撃を繰り出し、短時間で勝利を掴む。


 中等部1年生のはずが、体格差もある2年生も3年生も打ち負かしているため、観客の生徒たちは『王族と公爵家に忖度しているのではないか?』と、疑問がわくのも仕方がないことだろう。 



 しかし、そんな疑問を打ち消すのに時間はかからなかった。




ーーー中等部決勝戦。


 リュベルト王子とグレイソンだ。


 1年生同士の決勝戦など異例のことである。


 決勝戦の試合開始とともに、リュベルト王子とグレイソンは今までの試合とは違う動きをした。


 剣さばきもスピードも格が違いすぎるのだ。



「今までの試合は本気を出してなかったということか・・・」


「お二人は、王宮で訓練を受けていらっしゃるからな・・・」



 そんな誰かの呟きが、あちらこちらから聞こえてくる。


 アリアナは、祈るように胸の前で手を握り合わせ、2人の試合に釘付けになっていた。その手は、興奮しているせいか力強く握られている。



 いつのまにか、会場は大歓声に包まれる。アリアナも大きな声を出しているが、本人は無意識だ。



ーーー長い長い決勝戦に勝利したのは、リュベルト王子であった。





ーーーーーそして、転機が訪れる中等部3年生の春。



 学園のお昼休み。


 アリアナは、いつものように学園の木の枝に座り本を読んでいた。


 中庭の花壇が多い場所は生徒に人気があるが、アリアナのいる木は中庭からは離れており、滅多に人が来ない。中等部の校舎になってから見つけた、登りやすくて座り心地のいい木だ。


 アリアナは膝の上に昼食のサンドイッチを置き、片手に本を持って食べながら読んでいると、急に目の前を緑色の鳥が横切った。


「あっ!」


 驚いた拍子に片手に持っていた本を落としてしまったではないか。


 本が壊れてしまったらどうしようと不安になり、すぐ地面のほうを覗くと、


「あれ?」


 本が開いたまま宙に浮いている・・・・・ではなくて!誰かの頭の上に開いたままの本が綺麗にのっていたのだ。そう、帽子のように。


 すると、帽子のように本をのせた人物が、顔をアリアナのほうへと向けた。



 『まさか・・・ロバート様!?』



 アリアナは、サーっと顔を青くしながら、


「申し訳ございません!すぐに下ります!」


 慌てて木から下りようとするが、グレイソンがそれを手で制した。


「いいよ、いいよ、君はそのままで。俺が行くから」

「はい?」



 『俺が行くって・・・どういう意味!?』



 アリアナがグレイソンの言葉に大混乱している間に、グレイソンは蛇腹型の制服の内側に本を隠すようにして、器用に木を登り始めた。


 あっという間に、アリアナが座っている枝に到達し、アリアナの隣へと座る。


「はい、本」


 グレイソンは、アリアナへ本を差し出してきた。


「あ......ありがとうございます」


 まだ、大混乱中のアリアナは両手でしっかりと本を受け取る。今度こそ落とさないように。


「本が降ってきたこともビックリだけど、まさか女の子が木の上にいるとは思わなくて、さらにビックリしたよ!」


 グレイソンはアリアナを非難するわけでもなく、ケラケラと笑っている。


 しかし、公爵家嫡男に対して本を落としただけではなく、頭に本をのせてしまったのだ。そう、帽子のように。


 アリアナは、本を両手で胸の前に抱えたまま、勢いよく頭を下げる。


「本当に申し訳ありませんでした!!」

「全く気にしてないから、顔を上げてもらっていい?」


 恥ずかしすぎて顔を上げたくはないアリアナだが、家格が上のグレイソンに言われてしまえば拒むわけにもいかず、ソーっと顔を上げてみる。


 目の前にいる人物は、黄緑がかった薄い金色の髪に薄い青色の瞳。風にサラサラと髪が揺れている。


 やはり、公爵家のグレイソン・ロバートだと改めて実感した。


 あの剣術大会から、アリアナは2人の試合が楽しみになった。2人に対して前よりも興味を抱くようにはなったが、それでも雲の上の存在のままで。だから今、こうして目の前にいるのがグレイソンだとは信じられない。


 アリアナがジーっと見つめていると、


「俺も、ここにいていい?」

「えっ!?えっ!?ここにですか!?ど、どうぞ......」


 断るわけにもいかず了承してしまったアリアナだが、だからといって嫌なわけでもない。


 しかし、貴族の男女が、しかも公爵家と侯爵家の高位貴族が木に登っているという、可笑しな光景になってしまっている。


「それ、君のお昼ご飯?」


 グレイソンは、アリアナの膝の上に置いてあるサンドイッチを指さした。


「あ......そ、そうです」

「美味しそうだね」

「よ、よろしければ、召し上がりますか?ただ......こちらは料理人ではなく、わ、私が作ったものですし、食材も......寮にあるものなので、こ、公爵家の方のお口に合うかどうか・・・」


 しどろもどろになりながら説明したアリアナに対し、グレイソンはプッと笑った。


「大丈夫、大丈夫。俺、学園の食堂の味も好きだし、王都の下町の味も好きだし」


 王都の下町の味とは?と疑問に思いながらも、アリアナはグレイソンにサンドイッチを差し出した。


「それでしたら......ど、どうぞ」

「やった!ありがとう!ご飯まだで腹ペコだったんだ!」


 くだけた口調のグレイソンを意外に思いながらも、本当に自分が作ったものが口に合うのかと、アリアナはグレイソンが食べる様子を窺う。


「うわっ!このソースの味、食べたことない!めっちゃ美味しい!」


 グレイソンの反応に安堵したアリアナは、


「お口に合ったようでよかったです。そのソースは、我が家の料理人から教わったものなのです」

「へぇ~、その料理人は天才だね!」


 自分が暮らした家の料理人を褒めてもらえて嬉しいアリアナは、自然と頬が緩む。


 頬が緩んだアリアナの顔を見て、グレイソンは息が詰まるかと思った。


 グレイソンは顔が少し熱くなっているのを自覚しながら、咳ばらいを一つして話題を変えた。


「そういえば、俺らがこうして話すの初めてだね」


 グレイソンの言葉に、アリアナは自分が名乗っていなかったことを思い出した。


「あっ!申し訳ありません!私は、アリーーー」

「アリアナ・フォンターナ嬢、でしょ?」


 アリアナが名を名乗ろうとしたところを、グレイソンが遮る。


「ど、どうして、私の名を......?」

「その綺麗なエメラルドグリーンの瞳は、一度見たら忘れられないよ。それに、どんな奴にも媚びないし」

「こ、媚びないというか・・・貴族のご令嬢は自慢話ばかりなので、ついていけないというか、自分には自慢できるものがないというか......」


 ”綺麗なエメラルドグリーンの瞳”と言われたことにスルーしたアリアナは、後者に言われたことだけに対し返答した。


 『普通にスルーしちゃったよ、この子。容姿のことを褒められれば、普通の令嬢なら食いついてくるのに......やっぱり、おもしろい子だなぁ』と思ったグレイソンは、素顔のまま笑ってしまう。


「ぷぷっ、”貴族のご令嬢”って。君だって、貴族のご令嬢なのに」

「いえいえ、ロバート様もご存知かもしれませんが、私は名ばかりの侯爵家の人間ですので」

「まぁ、それについては追い追い聞くとして・・・またここに来てもいい?」

「そ、それは......構いませんが......私のように、木に登るような女が隣にいてよろしいのですか?」

「なんで?おもしろいし楽しいよ!木に登るだけじゃなくて、木の上で本も読むしご飯も食べる女の子なんて、この先の人生でも出会えないかもしれないし!」



 『どうやら私は、珍獣扱いらしい』と思ったアリアナは、もうひとつの疑問を聞いてみた。


「リュベルト殿下は、よろしいのですか?」


 いつも2人でいっしょにいるのに、そういえば今日はグレイソンひとりである。


「あぁ、リュベルトねぇ。リュベルトは、いまは公務で学園を休んでるんだよ。だから、俺はお守りから解放されて、有意義にひとりの時間を満喫しているわけさ!」



 『いま、”お守り”って言ったわよね......?でも、殿下のことを敬称なしで呼んでるから、やっぱり2人の関係は深いのね』



 アリアナは、ひとり納得した顔になりながら、


「ひとりの時間を満喫するということは......やはり私は、お邪魔ではありませんか?ロバート様が、こちらの木をお気に召したのであれば、私は遠慮しますが・・・」

「ダメ!君がいなきゃ意味ないの!全く邪魔じゃないから!気にせず明日も来てよ!絶対だよ!いい!?」

「は、はい......」


 グレイソンの勢いに、アリアナはただただ圧倒された。


「あっ、そうそう。俺のことは、”グレイソン”って呼んで。俺も、君のこと”アリアナ”って呼んでいい?」


 グレイソンがサラッと聞くものだから、


「は、はい。ど、どうぞ」

「よし!じゃお、アリアナ!はい、練習!呼んでみて?」

「れ、練習?」

「そう!俺の名前」

「ロバー......じゃないですね......グ......」

「グ?」

「グ、グレイ......ソン......様?」

「”様”もいらないんだけど......まっ、いいか。これも追い追いで!」





 アリアナは、グレイソンに自分の昼食をわけてしまったため、いつもより量が少なくてオナカは満たされていないはずなのに、グレイソンがアリアナの作ったサンドイッチをあまりにも美味しそうに食べるものだから、胸はいっぱいいっぱいに満たされていた。



 これが、お互いの存在を認識していただけの、グレイソンとアリアナの本当の出逢いとなった日、暖かい春の陽射しが降り注ぐお昼休みの時間・・・・・。 




 



「グレイソンとアリアナの青春時代も書きたいなぁ・・・」と妄想していたので、このタイミングで書いてみました('ω')ノ

次回まで、この青春時代にお付き合いくださいませ☆彡


ちなみに補足です★

アリアナとクリスティナの友達スカーレットは赤い髪色をしていますが、

アリアナ→赤茶色(深い赤色)

スカーレット→鮮やかな黄赤色(炎の色)

こんな感じでイメージしていただければと思います★説明下手でゴメンナサイ( ゜Д゜)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ