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天使のほほえみ  作者: L
33/72

1年生の夏休み①

更新が遅くなってしまい、すみません(;´Д`)




 リュドヴィック殿下が、公爵邸に訪れた次の日。


 朝食の席には、昨日会えなかったお父様もいたので、お友達4人で刺繍の宿題をしたいことを早速話してみた。



「もちろんいいよ!友達とは、どんどん交流を深めたほうがいい!」

「ありがとう!お父様!」


 これで、お父様の了承も得られて安心だ。

 

 夏休み中にお友達に会えるなんて、ウキウキ気分が止まらない。



「どこで集まるかは決まってるのかい?」

「それがまだなの!まずは皆、親に了承を得てからと思って。ミレーネ様は8月になったら領地に帰省してしまうから、今月中に集まりたいんだぁ!」

「それなら、公爵邸(うち)でやればいいよ」

「えっ!?いいの!?」


 お父様が、あっさりと言うものだから、少し驚いてしまった。



「もちろん!これから、学年が上がれば学園の帰りとかに王都で遊んだりする機会はあるけど、なかなか公爵領に来ることはないだろう?とくに、ミレーネ嬢は来る機会がないんじゃないかな?」

「そうよ!ティナ!私も、ティナのお友達に会ってみたいわ!」

「わぁ!ありがとう!お父様!お母様!」

「ふふっ。まぁ、王都で遊び過ぎていたのは、グレイソンと陛下だけどね〜」



 まだ学生だったお父様と陛下が、学園の帰りに王都へ繰り出していた話を聞きながら、楽しく朝食の時間は過ぎていった。




 自室へと戻ってきた私は、すぐに手紙を書く作業に取りかかる。


 両親に皆で集まる了承を得たこと、そして我が家に集まってもいい旨を記した手紙を3通、すぐに届けてもらえるようにメアリーに預けた。



 我が家に友達が来てくれるなら、それは嬉しいことだ。リュドヴィック殿下と同じく、前世では友達もいなかったため、友達が我が家に来たことはない。


 それに、私が友達の家に行ったこともない。前世で幼い頃にお母様に連れられて、マケラ侯爵邸へ行ったことはあるが、それは夫人同士のお茶会であって、私個人としての訪問ではない。


 もし、ミレーネ様でもスカーレット様でもモアナ様でも、友達の家に行けるのならば、それはそれで嬉しいのも間違いない。



 皆からの返事を心待ちにして、その日は過ごしたのだった。




ーーー翌日のお昼までに、3人から返事が届いた。


 きっと、手紙が届いてすぐに返事を書いてくれたのだろう。


 考えてみたら、友達から手紙をもらったのも初めてではないだろうか。


 前世で形式的な手紙をもらったことはあったが、私的な手紙をもらったことはない。


 私は、嬉しさのあまり3人からの手紙をプルプル震えながら読んだ。


 生まれて初めての手紙。


 これは生涯の宝物にしなければ。


 3人とも、無事に家族の了承を得たこと、そして公爵邸にぜひ行きたいという内容であった。



 ミレーネ様が8月には領地に帰ってしまうことから、集まるのは1週間後に決まった。





ーーーーーついに今日、3人が我が家に来てくれる日。



「お嬢様、ご友人は逃げませんから落ち着いてください」



 朝からソワソワして落ち着かない私は、メアリーや他の使用人たちにも笑われてしまった。


 庭師のジャンが、赤のバーベナ、青のカンパニュラ、オレンジのマリーゴールドを摘んできてくれて、メアリーが私の自室に飾ってくれる。




 そして、執事のセバスチャンが3人の来訪を告げた。


 私は、急いで玄関前へと出迎える。


 ちょうど、グスタフソン侯爵家の家紋をつけた馬車が門を通過するところのようだ。


 3人は、スカーレット様の家の馬車でいっしょに行くと手紙に書いてあった。



 玄関前に到着すると、スカーレット様、モアナ様、ミレーネ様の順番で降りてくる。



「みんな!いらっしゃい!」

「クリスティナ様!こんにちは!いい天気でよかったぞい!!」

「スカーレット、、意味、、わかんない。クリスティナ様、、今日は、、ありがとう」

「クリスティナ様、こんにちは。初めての公爵領、楽しみにしてたの」

「こちらこそ、来てくれてありがとう!さぁ、入って!入って!」



 いつもの個性的な挨拶をして、公爵邸の中へ招き入れる。


 中へ入ると、お母様が出迎えてくれた。



「まぁ!まぁ!なんて可愛らしいお嬢様方なんでしょう!ようこそ、ロバート公爵邸へ。クリスティナの母のアリアナよ。いつも娘と仲良くしてくれてありがとう。今日は、楽しんでいってね」



 突然のお母様の登場に、3人は驚きを露わにしていたが、すぐに挨拶の姿勢に入る。


 ミレーネ様とモアナ様はカーテシーを、スカーレット様は左胸に右手を当てた騎士の礼をとる。


 最初に挨拶の言葉を発したのはスカーレット様だ。



「ロバート公爵夫人にご挨拶申し上げます!グスタフソン侯爵が長女、スカーレット・グスタフソンと申します!!よろしくお願いします!!!」


 スカーレット様の声が、玄関ホールに響きわたる。



「ウェバー伯爵が、、次女、、モアナ・ウェバー、、と申します。お会いできて、、光栄です」


 さすがのモアナ様も、いまはスカーレット様にツッコミをしない。なんだか、うっすらと頬が赤くなっている気がする。



「ワグナー伯爵が長女、ミレーネ・ワグナーと申します......。本日は、お招きいただきましてありがとうございます」


 ミレーネ様は緊張のためか、少し声が震えている。あっ、肩も少しプルプルしてて、やっぱり小動物みたいで可愛らしい。



「ふふっ。立派な挨拶をありがとう。さぁ、みんな顔を上げて、その可愛らい顔を見せてちょうだい」



 お母様の言葉で3人が顔を上げる。



「我が家にティナのお友達が来るのは初めてなの!だからね、とっておきのお茶とお菓子を用意してあるわ!苦手なものとかないかしら?」



 お母様が満面の笑みで問いかけると、



「ありません!あっ!あと!よろしければ、こちらを召し上がってください!!」


 スカーレット様が直立不動のままハキハキ答えると、スカーレット様の侍女が正方形の紙袋を差し出す。



「あ、あの.....わたしも父から預かってまいりました。ワグナー伯爵領でとれるミルクを使ったプリンです。あっ.....わたしも苦手なものはありません」


 ミレーネ様が、またもやプルプルしながら答えると、ミレーネ様の侍女が箱を差し出す。



「わたしも、、苦手なものは、、ありません。こちら、、ロバート公爵と、、公爵夫人へと、、わたしの父、、からです」


 モアナ様は、いつもは眠そうにしている目をキラキラさせている・・・ような気もするが、モアナ様の侍女が長細い紙袋を差し出す。



「あら!あら!素敵な心遣いをありがとう!お茶の時間になったら呼ぶわね!」



 お母様との対面後、3人を私の自室へと案内した。




「うわ~!素敵なお部屋だぞい!!」

「ね、、ひろい」

「かわいいお部屋だわ!」


 部屋には夏の太陽の光が燦々と降り注ぎ、心地よい風がレースのカーテンを揺らしている。


 丸テーブルに4人が座り、私の対面にミレーネ様、右隣にスカーレット様、左隣にモアナ様だ。


 以前、「モアナは刺繍を教えてくれないんだぞい・・・」と、スカーレット様がボソッと言っていたため、私とミレーネ様が両隣からスカーレット様に教えられるようにした配置である。



 今日の目的は、刺繍の宿題をすること。


 まずは、刺繍を終わらせなければ本末転倒だ。



「みんなは、何を刺繍するか決めた?今回の刺繍の課題は”夏の思い出”なんだよね?」



 私が問いかけると、最初に反応したのは意外にもモアナ様だった。


「わたしは、、決めた」

「えっ!?もう!?」


 スカーレット様が、珍しくツッコんでいる。


「何にするの?」


 ミレーネ様がモアナ様に問いかける。


「ミルク、、プリン」



「「「・・・ミルクプリン!?」」」



 モアナ様以外の3人の声がそろってしまった。


「うん、、夏の思い出、、今日のこと、、いいかな、、って、、ミルクプリン、、おいしそうだから」


 ミルクプリンは、きっとミレーネ様が持ってきてくれたお土産のことだろう。


「モアナ、ミルクプリン食べたことあるのかい?」


「ない、、でも、、ミレーネ様の、、領地のミルクだから、、絶対、、おいしい」



 モアナ様は、大のお菓子好きである。



「ありがとう......モアナ様......とっても嬉しい」


 ミレーネ様が顔を赤くしてお礼を言う。



「モアナ様は、ミルクプリンを食べたことはないけど見たことはあるの?」

「ない、、想像、、する」

「ミルクプリンは、おそらくお父さまが作ったのが最初だと思うけど・・・」


 プリンは、黄色いカスタードプリンしか見たことがないし味わったこともない。ミルクプリンは、開発好きのワグナー伯爵が考案したものなのだろう。



「ミルクプリンは、カスタードプリンとは違うの?」

「うん、見た目も真っ白だし、ほぼミルクの味なの」


 真っ白なプリンを想像することができず、私は部屋の隅に控えているメアリーに目線を送った。


 私の意図を察したメアリーはコクっと頷き、一礼してから部屋を退出する。



「真っ白でミルク味のプリン!なんだかワクワクするぞい!!」

「スカーレット、、ミルクプリンは、、わたしが、、刺繍するから、、ね」

「う゛ぅ~、”夏の思い出”だから、わたしも今日のことがいいと思ったんだぞい~。あっ!!!」


 急に大きな声をあげたスカーレット様が、丸テーブルの中央に飾っている花をジーっと凝視している。


「この赤い花は、なんていうんだぞい?」

「それは、バーベナという花だよ。”団結”という花言葉なの!」

「団結・・・」

「青い花はカンパニュラといって、”感謝”が花言葉。こっちのオレンジの花はマリーゴールドで、”友情”が花言葉なんだよ!うちの庭師が、今日は私の友達が来てくれるから、きっと選んでくれたの!」

「”団結”!いい響きだぞい!!決めた!わたしはバーベナを刺繍するぞい!!」



 たしかに、バーベナの全面的に開いた花びらの形も、色も、”団結”という花言葉も、スカーレット様にピッタリだと感じた。



「実は......わたしも、このカンパニュラの花が、かわいいな~って、思っていたの」


 ミレーネ様が恥ずかしそうに教えてくれる。



 カンパニュラは、花が垂れており鈴のような可愛らしい形をしている。


 なんてことだ。この花も、ミレーネ様にピッタリではないか!



 ・・・ということは、


「私は、マリーゴールドにする!皆で集まった、夏の思い出だもんね!」




 この花たちを選んでくれた庭師のジャンに、心から感謝した。









思っていた以上に長くなってしまったため、次回へ続きます☆彡

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