クリスティナの提案
体調不良だったため、更新が遅くなってしまいました( ̄д ̄)
もう完全復活ですッ('◇')ゞ
よろしくお願いします!
初めて孤児院を訪問した日から、学園が休みの土曜日か日曜日には、お母様といっしょに孤児院への訪問を続けている。
孤児院の子供たちとお菓子作りをしたり、畑の野菜の種を植えたり収穫をしたりしている。
お菓子作りや刺繍をする時は、メアリーが先生をしてくれるため、ロラなんて本当に楽しそうにやっている。
最年長のココも、メアリーに積極的に質問しながら真剣に取り組んでいる。ココは、メアリーのことを歳が近いお姉さんができたようで嬉しいのだろう。
ザックや双子のザイもダイも、カーティスが毎週きて剣術を教えてくれるから喜んで励んでいる。
もちろん、チロやミルルなどの年少組とも追いかけっこをしたり、絵本の読み聞かせをしたりして遊んでいる。
そして、孤児院へ訪問するようになってから知ったのだが、学園との通学路の途中に孤児院の子供たちが働いている露店があったのだ。
ちょうど公爵領と王都の境目は、交通量が激しく人が多く行き交うため、露店が多く立ち並んでいることは知っている。野菜専門の露店、お花の露店、衣類の露店などのなかに、まさか彼らがやっている露店があったとは。
私が学園から帰りの馬車に乗っていた時。
「クリスティナさま〜!」
「クリスティナさまだ〜!!」
彼らの大きな声が聞こえたので、馬車の窓から外を見ると、露店で働いている彼らがいたのだ。
公爵家の紋章が入った馬車のため、それで気づいてくれたのだろう。
私は急いで馬車の窓を開ける。
「みんな〜!!お疲れさま〜!!」
私も声をかけたくて叫んだ。
お互いにブンブンと手を振り合う。
これが、学園からの帰りの日常となる。
『ーーー私は、なんて無知なのだろう』
彼らの露店がある場所を初めて知った時、私はそう思った。
前世でも10年間、毎日のように通っていた場所なのに、あそこで孤児院の彼らが働いているなんて知らなかったのだ。
ーーーーーいや、知ろうとしなかった。
孤児院に直接行けなくとも、手をのばせば届くところにあったのに。
彼らは、これから仕事帰りなどで行き交う人が最も多くなる時間帯まで働くのだろう。
これでは、勉強したくても勉強できないのは当然だ。
彼らの前を、ただただ馬車で通り過ぎる日々。
「あっ!そうだわ!」
ある日、いつもと同じように彼らとブンブン手を振ったあと、ふと名案が浮かんだ。
早速、今日の夜にお父様とお母様に提案しなければ。
ーーーその日の夜。
「露店で勉強会?」
夕食の席には家族3人が揃い「実は、提案があるの!」と、私の話を聞いたお父様は、予想していたような話ではなかったようで、面くらった顔でポカンとしながら、そう言った。
「そうなの!孤児院の皆は、露店でも働かないといけないから、学校に行けるのは限られてて、勉強したくてもできないって言ってたの!それなら、私が学園の帰りに露店で勉強会を開けばいいのではないかと思ったの!学園の通学路で必ず通る場所だし!時間は1時間くらい!その時間なら、夕方の繁忙時間の前だから、皆のジャマにもならないと思うし、私のレベルでしか教えられないけど、私の復習にもなるし!それに、公爵家が孤児院と関係が深いところを周りの人に見せれば、孤児院の商品を粗悪なものだと決めつける人も減るだろうし、悪い人間も近寄ってこないと思うの!」
私は、ひと息に説明した。
「ティ、ティナ・・・。いつのまに、そんなことまで考えてたの」
今度は、お母様もポカンとしながら、そう言った。
「毎日、あの場所を通ってたから考えてたの!露店もお客さんが来なければ、呼び込みくらいしかできないでしょ?だから、その時間がもったいないなって思ったの!」
「なるほどね〜。たしかに、いい考えかもしれないね」
お父様は、顎に手を当てながら話を続ける。
「ティナの言うとおり、”孤児院だから”という理由だけで売っている商品を悪く言ったり、子供たちしかいないからとイチャモンをつけてきて、金を盗ろうとする悪い人間がいないわけじゃない。我が領民で、そんなことをする人間はいないが、他所からきた人間はそうじゃない。子供たちを守るためにも、公爵家の家紋が入った馬車が近くにあるだけで、そんな奴らの牽制にはなると俺は思うんだ。それに、子供時代の時間は限られている。手が空く時間があるなら有効活用しないとね。どう?アリアナはどう思う?」
お父様がお母様の考えを尋ねる。
「そうね。私もいい考えだと思うわ。学校に強制的に通わせるのは、あの子たちのためにならないから言えないけど、やっぱり少しでも多くのことを学んで大人になってほしいと思うわ。悪い人間に負けないためにも。それに、夕方の繁忙時間が過ぎると帰りが危ないからと、午後の露店の担当は年長組と年中組なの。だから、一番学んでほしい年齢の子たちが学べていないのよ。私が思うに、ティナの学力でも充分に教えられるわ。王立学園と領地の学校の進み具合は全く違うから。1時間だけだったとしても、毎日の積み重ねが勉強したいという意欲のある子たちには武器になるわ」
「それじゃあ、満場一致ということでいいね。ただし!ティナが勉強会をする時は、必ずカーティスを護衛につけること!時間は1時間まで!お客様を優先すること!あと、カーティスがいるからといって、勉強会での剣術はダメだぞ。周りには他の露店もいっぱいあるんだ。周りの人たちに迷惑をかけないように!この約束を守れるかな?」
「守る!守るわ!!」
「それじゃあ、これはティナの課外授業ね!明日、私から院長のナターシャには話してみるわ!」
「ありがとう!お父様!お母様!」
こうして、クリスティナの提案は両親に受け入れられた。
さて、いつから始まるのかな?
ちなみに・・・・・・
孤児院の子供たちが、クリスティナのことを”お嬢様”ではなく”クリスティナ様”と呼ぶようになったのは、2回目の訪問の時だ。
「皆には”お嬢様”じゃなくて、名前で呼んでほしいな!」
「「「えぇ〜、いいの〜?」」」
「だって、お母様のことも”アリアナ様”って呼んでるでしょ?」
「たしかに〜!」
「アリアナさまは、アリアナさまだもんね〜!」
「オレ、知ってる!大人になったら、アリアナさまのこと、”こうしゃくふじん”って呼ぶんだぜ!」
「僕も知ってるよ〜!クリスティナ様のことは、”こうしゃくれいじょう”って呼ぶんだよね〜!」
「じゃあ、クリスティナさまは、クリスティナさまだね〜!」
「あはは〜!クリスティナさま〜!!」
「「「クリスティナさま〜!!!」」」
子供たちの自由な会話は、まだまだ続いていくのであった・・・・。




