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天使のほほえみ  作者: L
14/72

2度目の入学式

改稿ばかりで、すみません!!

「段落をつけたほうが読みやすいかな?」とか、文章に”の”をつけ忘れているのを発見してしまったりとか、不慣れな私をお許しください・・・。

大きな修正をしているわけではありませんので、内容は変わっていません。

安心して、お読みくださいまし~m(__)m



 私は、学園の玄関までの道のりを、この後のことを考えながら歩く。

 

 まだ生徒が集まってきていないので、第一王子リュドヴィック殿下は姿を現していないのだろう。

 

 最期の日の、リュドヴィック殿下の心底冷めた眼差しが思い出される.....。

 

 リュドヴィック殿下には会わない、関わらないと判断し、このまま教室へ直行することにした。

 

 

 広い広い玄関に貼り出されているクラス分けの名前を確認すると、前と同じC組のようだ。

 

 上級生に案内されながら1-Cの教室へ向かう。

 

 上級生は青緑のシャツを着ているので初等部6年生だ。


 私は学園内のことは知っているし、もちろん教室の場所も知っているし、なんなら中等部や高等部まで知っている。


 だが、なにも知らないフリをして「へぇ~!」とか「ほぅ~!」とか言いながら、説明してくれる上級生の話に相槌を打つ。


 まだ時間が早いせいか、廊下も各教室も人がまばらだ。


 おそらく、リュドヴィック殿下に挨拶をしようと、ほとんどの生徒が外にいるのだろう。前の私と同じように。


「ありがとうございました!」


 案内してくれた上級生にお礼を伝えて、教室へ入る。


 すると、1人の女子生徒が既に席に着いており本を読んでいた。一番窓際の一番前の席だ。


 近づいて女子生徒の横顔を見てみると、ダークブラウンの髪にダークブラウンの目。眼鏡をかけている。本に集中しているのか、こちらには気づいていない。


 その容姿に、1人の少女を思い出す。前の生で、周りから虐げられていた生徒だ。

 

 私が助けなかった人ーーーー。


 

 彼女の名前は、ミレーネ・ワグナー伯爵令嬢。


 いつも1人で本を読んでいた。そして、学年の10位以内には入る成績優秀な方でもあった。

 

 性格はおとなしく、髪や目の色からも目立つ存在ではなかった。

 

 だから、成績が良くない生徒から妬まれ、おとなしい性格で言い返すことができず標的にされてしまった。時には、その容姿のことも理由にされていたように思う。


 明るい色が偉いとか、暗い色がダメとか、そんな決まりはないのに。

 

 この国には、王族のように明るい金色や青色もあるが、黒い髪や黒い目の人だって一般的にいる。


 貴族、平民関係なしに。


 王族は統一された色ではあるが、だからといって他の色で優劣をつけることはない。


 自分の色を綺麗だと思うのは自由だが、それで他者の色を虐げていい理由にはならないのだ。

 

 しかし、目立たない人が自分より優秀だからと気に入らない、自分より髪も目も色が劣っていると決めつけ、虐げて差別する人間が、いつの時代にも少なからずはいる。


 前の私は、ミレーネ様と話したことはなかったが、なんの本を読んでいるのか気にはなっていた。


 たいてい、違う表紙の本を読んでいたので、私の知らない知識など豊富なのだろうと思っていたし、話を聞いてみたいと思ってはいたが、心の余裕がなさすぎて話しかけられないままだった。


 それに、私が話しかけることで、殿下やサキュバーヌ様に目をつけられて迷惑をかけてしまう、と思ったのも理由ではあったが。



ーーーー今なら話しかけてもいいだろうか。


 話しかけようと思うとドキドキしてくる。



 『そういえば、こういう時ってどう話しかければいいの!?おはよう?おはようございます?まだ子供同士だから”おはよう”でいいのかしら?前の初等部の時は、殿下にばかり話しかけていたから、こういう時どうすればいいのか全然わからないわ!』



・・・・・・・・。



 『このまま悩んでても仕方ないわ。結局、何が正解かなんて分からないもの。前と同じことは繰り返さないわ!』



 そう決意した私は、思いきってミレーネ様に話しかけた。


「あっ!あの!おはよう!!」


 すると、ミレーネ様が本を読んでいた顔を上げてこちらを見た。


「あのね!私、クリスティナ・ロバートです!今日から同じクラスなので仲良くしてほしいです!もう、自分で何を言っているのか分からなくなるくらい緊張しています!」


 あぁ.....本当に何を言っているんだ、私は・・・・・。


 心の声まで言ってしまった・・・・・。

 

 ミレーネ様は、ポカンとした顔で私を見ている。

 


 『変な人って思われたわよね・・・』



「あっ.....あの.....ミレーネ・ワグナーです。まさか、公爵家の方が、わたしのような者に声をかけてもらえるとは思っておらず.....驚いてしまい申し訳ありません.....あの.....嬉しいです.....こちらこそ.....よろしくお願いします」


 顔を真っ赤にしたミレーネ様が、しどろもどろになりながらも小声で返してくれた。

 

 すごい照れ屋さんみたいだ。


「ミレーネ様とお呼びしてもいいか.....じゃない、呼んでもいい?私のことは、クリスティナと名前で呼んでね!」


「はい!とても光栄です....クリスティナ様.....」


 そう返してくれたミレーネ様は、胸の前で手を組み合わせ、感激したようにウルウルした目で見上げてくる。


 学園では、身分に関係なく話しかけてもいいが、初対面の相手にファーストネームで呼ぶことは好ましくないとされている。


 最初は家名で呼び合い、許可を得てから名前で呼ぶのが学園内でも貴族社会でも一般的だ。


 学園内は平等とはいえ、貴族の家名を知ることも教養として必要なことだからだ。


 前の生では、真の友人と呼べる人はいなかった。


 真の友人とは”様”をつけないで名前なり愛称で呼び合うそうだが、今の私にはハードルが高すぎる。


 追々、そうなれるように関係性を築いていきたい・・・・・と思う。


 それに.....ミレーネ様の笑顔は、リスのようで可愛らしい。


 それに、緊張してプルっと震える感じも小動物を連想させる。


 大きく口を開けて笑うわけではないが、控えめに照れながら笑う感じは可愛いではないか。


 前は、髪を低い位置で三つ編みにしていたイメージだったが、今はツインテールにして幼い元気な可愛らしさがある。


 この可愛い笑顔を助けなかった自分が恨めしい。


 今度こそ、この可愛い笑顔を守るんだから!!


 そう決意しながら、会話を続ける。


「なんの本を読んでるの?」

「あ、あの、天使様の物語です」

「天使様の?」

「あ、はい。天使様の物語は、とてもキレイでステキなのです。学園でも、どのように習うのか、とても楽しみにしてます」

「そうなんだ!今度、天使様の物語について聞かせてほしいな!」

「はい!ぜひ!」


 学園の授業で、それほど天使族について教えてくれないことは知っているが、あの暗闇で『どうして、天使に守護されている国なのに、お粗末なことしか教えなかったのか』と疑問に思ってしまったせいか、とても興味が湧いた。


 それからも、いろいろと話していたら、入学式が行われる大講堂に移動するため、廊下に整列するようにと先生から指示が出る。


 私とミレーネ様は、いっしょに廊下に出て隣同士に並ぶ。


 本来であれば、大講堂に集まる時は生徒が各々で大講堂まで行くのだが、広い学園内で新入生が迷子にならないように、入学式の時は2列に並んで行くのだ。


 お行儀よく並んで、決して後ろは振り向かない。


 なぜなら、隣のD組にリュドヴィック殿下がいることを知っているから。


 大講堂へはA組から順番に行くため、私がいるC組の後方にはD組が並んでいる。


 後ろを振り向いて、もしリュドヴィック殿下と目が合ってしまったら挨拶しないわけにはいかない。


 関わらないためにも、目を合わせてはいけない。


 髪に飾られているボリジの花に、そっと触れる。



 『大丈夫。大丈夫よ』



 私は、ずっと前だけを見据えていた。




 入学式後の1週間は、新1年生は午前だけの授業である。


 そのため、入学式のあとは各教室でオリエンテーションをして帰宅となる。


 オリエンテーションが終わり、明日はクラスで1人ずつ自己紹介をすることになっているため、どう自分を紹介するかミレーネ様と相談しながら、馬車の待機場まで歩いて行く。


 ちょうど、リュドヴィック殿下も馬車に乗ろうとしていたみたいだが、他の生徒大勢に囲まれていた。


 私とミレーネ様は、その横を素通りする。


「すごい人気ですね。あの方が第一王子リュドヴィック殿下・・・」

 

 ミレーネ様は初めて殿下を見たのか、素通りしながらも顔は殿下に向けている。



 『初めてなら、その反応が正しいわよね』



「本当にね!あんなに囲まれてると、こちらからは行きづらいよね〜」


「公爵令嬢のクリスティナ様でさえ、そうなのですか。わたしには畏れ多くて、挨拶すらムリそうです」



 『ミレーネ様は、そのままでいいわ』



 仮に、いま仲良くできたとしても、高等部になればサキュバーヌ様が編入してくる。


 そうなれば、リュドヴィック殿下と関わっていると、また何かが起こってしまうかもしれない。


 そうならないためにも、殿下とは関わらないのが賢明だ。


 




 そう考えながら歩いてるクリスティナを、リュドヴィックが見ていたことには誰も気づかなかった。









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