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天使のほほえみ  作者: L
12/72

※???目線

 パリンッ.....



 まるで鏡が割れたような音だ。

 また結界が1枚、剥がれたのだろう。


 

 その音で、我は何十年ぶりかに目覚めた。


 そして、()()()を呼ぶ。


 鳥のような形をした()()は、この結界内には不釣り合いなほど様々な色が混ざった鮮やかな色をしている。

 

 ソレの目が、我の目となる。

 視覚、嗅覚が共有できる。この結界から出られるまではな。


 「()()は、見つかったか?」


 ソレの黒い目が赤色に変化し、ソレは結界内から飛び立った。


 しばらく飛び続けると、ある大きな屋敷の庭に降り立った。

 この屋敷の大きさ、この庭の広さ、これは貴族.....というものか。


 すると、ある力を感じ取り、急いで周囲に目を向ける。


 目に飛び込んできたのは、まだ幼子の女児だ。


 『あの目の色は・・・』


 深く濃いエメラルドグリーンの目。()()()と同じだ。

 それならば、アレの力を持っていたとしても不思議ではない。まだ覚醒はしていないみたいだが.....。


 その幼子の近くにいるのは、付き人みたいな女が一人だけだ。

 女は、花で何か作っているのか手元に集中している。



 今だ。今しかない。



 ソレを使い、幼子に近づく。


 幼子は、庭に咲く花に夢中のようだ。女には背を向けている。

 

 幼子が夢中に見ている花に近づくと、幼子がソレに気づいた。


 「わぁ!きれいな鳥さん!」

 

 幼子がソレに手を伸ばしてくる。

 

 手が触れる、その瞬間。

 

 「わっ!!」


 幼子が驚いて手を引っ込める。

 何か、ビリっとした感じでもしたのだろう。


 その声に反応して、付き人の女が顔を上げた。


 「お嬢様、どうかなさいましたか?」


 幼子は女のほうへ顔を振り向く。

 「ううん!なんでもないよ!あのね、きれいな鳥さんがいるの!お目目も赤いんだよ」


 幼子がソレがいた場所へ顔を戻すと、ソレは既に消えていた。

 「あれ?ここにいたんだけどな」


 

 ソレは、幼子から少し離れた木に止まり、幼子に変化が訪れないか様子を見ていた。

 

 その時、突風に煽られる。


 『この匂いは.....』


 突風のせいで漂ってきた匂いのほうへ目を向けると、屋敷の門らしきところに見覚えのある木から花が咲いている。


 『チッ、ダフネか。こんなところにもあるとは』


 舌打ちも打ちたくなる。

 遠い昔の憎々しい()()を思い出してしまった。


 厭わしいダフネの匂いが、我の意識を薄くする。


 『今回はここまでか』


 

 ソレを解放し、我は我の目に戻る。


 赤くなっているであろう目を開ければ、灰色の結界内が映る。


「久々に力を使うと、やはり疲れるな」



 だが、我の力は徐々に戻りつつある。

 目覚めるたびに、確実に力の量が増えている。

 眠りの長さも、何百年から何十年ごとに減っている。

 おそらく、結界の力が弱まっているのだろう。


 くくっ。それもそうか。

 

 使徒とかいう人間が力を受け継いだみたいだが、何千年もたてば弱まるはずだ。

 あれから力を授ける()()()がいないのだから。


 笑いがこみ上げてくる。


 我もあと数十年もしないうちに、完全に力が復活するはずだ。



 久々に力を使い、あの匂いも嗅いでしまったせいか、今回はもう瞼が重くなってきた。

 次に目覚めるのは、数十年後か数年後だろうか。



 あぁ.....次に目覚める時が楽しみだ。


 どのように、あの幼子が変化しているか。

 どのように、愚かな人間どもが変化しているか。



 まだ幼子ではあったが、アレを秘めているなら仕方なかろう。



 あの幼子には破滅してもらう、我のためになーーーーー。





 そして、もう何度目となるか分からないほどに繰り返してきた、深い深い眠りに堕ちていった.....。













次回、クリスティナ編が出発します!!

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