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6 ターシャ3

タ③

ところで、前世の私はあまりよく頭が回るとは言えない人間であった。

相手の考えていることが類推できるわけもなく、自分自身の為にあれこれ画策することも満足にできない人間だった。

それは私が私という器から離れてターシャという別の存在になったからといってとりたて変容することはないようだ。

周りくどい言い方をしてきたが、もっと端的な表現ができよう。


ターシャは私という存在が“降りてきて”から明確に愚かになっている。


以前は、家族の話を聞いてから、そこにいない人間の思惑や社交界の未来まで辿り着いては先回りして事業に取り組んでみるとか、父に政治的な進言をするとか、率先して己の能力を誇示するように動いていたのに。


うちのご令嬢は一体どうしたんだろうか。


そういう疑惑疑念が出てくるのにひと月も時間はかからなかった。その疑念は浅はかになったターシャにも知れるほどの大きな渦としてこの家を支配していた。


それでも、私は対抗できるような術を持っていないので、顔以外の全部に冷や汗をかきながら人と会話して、才能のない子供なりの発想でこの家にしがみつこうと努力を重ねるほかなかった。

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