カウガールと騎士
この投稿から火の探求者ミランと、はぐれ騎士フレイのエピソードになります。
【火と星の旅路】です
◆火と星の旅路
【活火山上空 空撮】
白煙を吐き続ける火山
【活火山全景】
【火の民の村 ビル内 共同墓地】
コンクリート作りのビルの一室の共同墓地
墓碑銘ミリアムの前に立っているミランとフレイ
管理人:「面会時間終了です」
出ようとするミラン
ミリアムの墓碑の前から動かないフレイ
フレイの服を引っぱるミラン
ミラン:「行こうよ」
【火の民の村 ビル内 庭園】
とても室内とは思えないくらい手入れの行き届いた緑があふれる庭園
ミランを待っているフレイ
ミラン:「お待たせ」
赤いカウボーイハット、袖にフリンジがついた赤いシャツに、胸元にフリンジが着いた黒革のベスト、デニム地のショートパンツ、ガンホルダー、ウエスタンブーツのド派手な衣装のミラン
母ミリアムのドレスから着替えたミラン
フレイ:「なんだいその格好?」
ミラン:「動きやすき服装じゃないと、これ扱えないのよ」
銃を手に取るミラン
フレイ:「それは?」
フレイは銃を見たことがない
ミラン:「まあ見てて」
丸い鉄の盾を離れた所に置いて距離を取るミラン
改めて銃を構え銃口を鉄の盾に向け、引き金に手をかける
何が始まるのか解らずミランと盾を凝視するフレイ
銃声:「ガーン、ガーン、ガーン」
銃弾が3発あたり、躍るように弾ける鉄の盾
フレイ:「おお!すごい」
ミラン:「百発百中って感じね」
フレイ:「なにが出ているんだい、その棒みたいなのの先から?」
ミラン:「見えるのフレイ?」
フレイ:「何かが出て、盾をはじいたのは解ったよ。でも何が出ているのかまでは解らなかったね」
ミラン:「どういう目しているのかしらフレイって。ちょっと来て」
手招きするミラン
吹き飛んだ鉄の盾に近づくフレイとミラン
何かを拾い上げるミラン
ミラン:「これが飛んで出ているのよ」
手のひらの中に銀色の小さな銃弾がある
フレイ:「なんだい、これ」
つまみあげるフレイ
フレイ:「あちっ!」
飛び上がるフレイ
銃弾をつまんだ指先が赤く腫れ上がりヤケドしている
ミラン:「ごめんごめん、熱いんだったそれ」
フレイ:「熱くないの?」
ミラン:「全然。火を司る私が火傷して、どーするのよ」
平然と鉄の弾を持つミラン
ミラン:「この小さい金属の玉をものすごい速さで飛ばして、盾に当てたの」
フレイ:「こんな小さい弾なのに、どうしてあんな重たい盾をはじき飛ばせるんだろう?」
ミラン:「知ってる?物ってねえ、ぶつけるときに速ければ速いほどすごい力がでるのよ。だから小さい弾でも速いからすごい力がでるってことなの」
フレイ:「ミランが作ったの?」
ミラン:「うん。私みたいな力のない女の子でもなにか武器を持っておかなくっちゃね」
フレイ:「ふうん」
ミラン:「なあに『ふうん』って」
フレイ:「ミランって不思議なものの考え方するよね。オレの周りにいた女子は自分が武器を持つなんて考えもしなかったよ。
女子は男子に守られるものだって。男子も女子を守るもんだって」
ミラン:「フレイの周りにいた女の子って誰誰?ねね?どんな女の子?」
フレイ:「そこ気になる?」
ミラン:「ちょっとね。でも、男子に守ってもらうっていうのもいいかもしれないけど、自分の力で、色々なことをしたり、自分の目で見たこともないモノをみたり、知らないことを知ったりする、私はそっちの方がいいな」
フレイ:「なるほど」
ミラン:「きっとそういう時代になるわ。一部の人たちが色々なことをしているんじゃない、みんなが平等に色々なことに挑戦できる時代にね」
フレイ:「そうしたら、火の民はみんなに受け入れられるってことなのかな?」
ミラン:「それとこれは別よ。そっちのほうはフレイが思っている以上に深刻だから」
フレイ:「ところで、それなんて言うの?弾を出す棒みたいなの」
ミラン:「これの名前?」
フレイ:「うん、なんていうの?」
ミラン:「名前はそうね・・・・ガン!ガンっていうの」
フレイ:「ガン?」
ミラン:「ガーン!ってね、そういう音したでしょ?」
【火の民の村 ビル内 共用広場 パーティー会場】
パーティーが開かれている
輪になって床に座って、広げられた料理や飲み物を楽しむ火の民
輪の中心にいるのはミランとフレイ
大人や同年代の若者に囲まれて笑顔を振りまいているミラン
一方、ミランと同年代の女子に囲まれて恥ずかしそうなフレイ
ミラン:「フレイ!楽しんでる?」
やや困惑気味のフレイ
ミラン:「なあに、もっと楽しまなくっちゃ」
囲んでいる集団を押しのけてフレイに近づくミラン
フレイの左腕にしがみつく
フレイ:「お、おいよせよ、みんな見ているじゃないか」
ミラン:「いいじゃない、いつもこうやって歩いているんだから」
フレイ:「僕の左腕は、キミを守る盾を持つ大切な左腕なんだ。やたらとしがみつかれちゃ困る」
ミラン:「じゃあ、右腕ならいいの?」
フレイ:「右腕は、賊を追い払う剣を持つ大切な腕だ」
ミラン:「じゃあ、抱きついちゃお」
酒を飲んでいないのにハイテンションなミラン
ミラン:「私はお酒飲めないけどフレイはたくさん飲んでね」
フレイ:「おい、よせよ」
パーティーの様子を、すこし離れた場所で眺めている火の民の族長とミランの乳母
族長:「婿を連れてきた、とまでは行かないか」
乳母:「そんな楽しい話じゃなかろうて」
読了ありがとうございました。
今後もごひいきによろしくお願いします。