深い霧のむこう
サーラの導きで、地下からの脱出口を見つけたセレン
そこには、地底だというのに深い霧が・・・
【大地の大聖堂 沐浴室 砂風呂の間】
砂風呂にスラスラと大地の断面図を描いていくサーラとアリア
サーラ:「この広場から北に行けば、地下水脈に当たるんじゃない?」
アリア:「水の流れに乗っていけば、地上に出ることができますね」
全身汗だくのサーラとアリア
サーラ:「それにしても、暑いわね」
アリア:「こんなに長く沐浴していることないですからね」
セレンの声:「すいません。暑いおもいをさせているようですね」
サーラ:「セレン、無事だったのね」
【地下150メートル 戦場跡の空間】
水晶玉に映る大地の乙女達
セレン:「ご心配をお掛けしました。気分は優れませんが、もう大丈夫です」
サーラの声:「そこから出るルートがわかったわよ」
【大地の大聖堂 沐浴室 砂風呂の間】
サーラ:「その空間の北に地下水が作った水無川があるの。
それを伝っていくと、本流にぶつかるわ。
多分水量もそんなにないと思うから歩いてゆけると思うの。その伏流水はムイレ河の上流に流れ込んでいるわ」
セレンの声:「では、地上に出ることができますね」
サーラ:「そうよ、あと少しよ」
【地下150メートル 戦場跡の空間】
戦場跡を振り返るセレン
そこにはただ不気味な暗闇が広がっている。
セレン:「私たちの、今の私たちの時代の前には、知られていない多くの犠牲があったのですね。
これからも多大な犠牲を払うことになるでしょう。
しかし、私は世界中の誰もが忘れても、あなたたち流星の騎士のことは忘れません」
【地下150メートル 水無川入り口】
水晶玉に耳を澄ますセレン
セレン:「なるほど。確かに水の音が聞こえます」
サーラの声:「セレン、そこから気温がだいぶ下がっているわ。風邪引かないように気をつけてね」
セレン:「確かに息が白いです。いや、ヘンですねえ。霧が出てきましたよ」
【大地の大聖堂 沐浴室 砂風呂の間】
サーラ:「霧?霧ってあの霧?」
セレンの声:「そうです。あの霧です」
サーラ:「地面の中で、霧?」
【地下150メートル 水無川入り口】
セレン一行の前に濃い霧の壁がある
セレン:「地下でも霧が立ちこめるものだとは知りませんでした」
霧の中に足を踏み入れるセレン
サーラの声:「セ・・・・ダイ・・・キリ・・・」
セレン:「うん?」
サーラの声:「セレ・・・キ・・・エル?」
霧から出るセレン
サーラの声:「聞こえるセレン?」
セレン:「はい、聞こえます」
【大地の大聖堂 沐浴室 砂風呂の間】
サーラ:「よかった、また聞こえなくなるんじゃないかと思った」
セレンの声:「いえ、聞こえていなかったんです」
サーラ:「えっ?」
【地下150メートル 水無川入り口】
セレン:「原因は分かりませんが、霧の中に入るとあなたと会話できなくなるみたいですね。霧が魔法に干渉しているようですね」
サーラの声:「カンショウ?」
【大地の大聖堂 沐浴室 砂風呂の間】
セレンの声:「難しい話になるので詳しい説明は割愛します。しかし、あとはこの水無川を下って行けば大丈夫なんですね?」
サーラ:「そう。一本道よ」
セレンの声:「後は私たちでなんとかなるでしょう」
サーラ:「セレン?」
【地下150メートル 水無川入り口】
セレン:「どうやら霧の中では会話ができないみたいです。ここまで導いてくれて感謝します」
【大地の大聖堂沐浴室 砂風呂の間】
【地中 水無川入り口】
◆二画面で会話の様子
サーラ:「セレン、一本道だから、絶対に助かってね」
セレン:「ありがとう。心優しき大地の乙女。助かったら真っ先に報告します」
◆サーラとセレンの会話が途絶える
【大地の大聖堂 沐浴室 砂風呂の間】
セレンとの通信が途絶えて急にテンションが下がる大地の乙女達
お互いの泥だらけの顔を見ても笑えない
サーラ:「砂、落とそっか」
モソモソと砂を落とすサーラとアリア
アリア:「セレン様、大丈夫でしょうか?」
サーラ:「話せないからわからないね」
顔から砂を落とすサーラ
サーラ:「何やっているんだろう、私・・・。自分のことはさっぱりなのに人のことばっかり・・・」
アリア:「サーラ様・・・」
【地下150メートル 濃霧の中】
濃霧の中を進むセレンご一行
足下の水無川の水量が徐々に増えていく
セレン:「ホホホ、流水の聖女と通信でもしますかね」
などと冗談を言う余裕ができたセレン
霧の先に淡い光りが見える
セレン:「どうやら、霧が晴れるみたいですね」
霧を出るセレン一行
セレン:「なんです?ここは?」
【地下150メートル 霧の向こう】
銀色に輝く空に金色の雲
いつもより大きく見える星々
セレン達の前に広がる牧場の景色
セレン:「ここは、地中ではなかったのですか?」
鳥がさえずり、蝶が舞う、小さな牧場
ひとつだけ異常なのは、囲いの中にいる馬の姿だった
全ての馬の馬体が、倍以上に大きく、なおかつ肩の上からは翼が生えている
その大きさは馬と言うよりも象に近い
そして全ての馬が凍り付いている
セレン:「ペガサス?」
読了ありがとうございました。
まだ続きます