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太陽が昇らない国の物語(仮) 第三部  作者: 岸田龍庵
月の使徒の冒険
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深い霧のむこう

サーラの導きで、地下からの脱出口を見つけたセレン


そこには、地底だというのに深い霧が・・・

【大地の大聖堂 沐浴(もくよく)室 砂風呂の間】



砂風呂にスラスラと大地の断面図を描いていくサーラとアリア

サーラ:「この広場から北に行けば、地下水脈に当たるんじゃない?」

アリア:「水の流れに乗っていけば、地上に出ることができますね」

全身汗だくのサーラとアリア

サーラ:「それにしても、暑いわね」

アリア:「こんなに長く沐浴していることないですからね」

セレンの声:「すいません。暑いおもいをさせているようですね」

サーラ:「セレン、無事だったのね」




【地下150メートル 戦場跡の空間】



水晶玉に映る大地の乙女達

セレン:「ご心配をお掛けしました。気分は優れませんが、もう大丈夫です」

サーラの声:「そこから出るルートがわかったわよ」



【大地の大聖堂 沐浴室 砂風呂の間】


サーラ:「その空間の北に地下水が作った水無川(みずなしがわ)があるの。

 それを伝っていくと、本流にぶつかるわ。

 多分水量もそんなにないと思うから歩いてゆけると思うの。その伏流水(ふくりゅうすい)はムイレ河の上流に流れ込んでいるわ」

セレンの声:「では、地上に出ることができますね」

サーラ:「そうよ、あと少しよ」



【地下150メートル 戦場跡の空間】


戦場跡を振り返るセレン

そこにはただ不気味な暗闇が広がっている。

セレン:「私たちの、今の私たちの時代の前には、知られていない多くの犠牲があったのですね。

 これからも多大な犠牲(ぎせい)を払うことになるでしょう。

 しかし、私は世界中の誰もが忘れても、あなたたち流星の騎士のことは忘れません」




【地下150メートル 水無川入り口】


水晶玉に耳を澄ますセレン

セレン:「なるほど。確かに水の音が聞こえます」

サーラの声:「セレン、そこから気温がだいぶ下がっているわ。風邪引かないように気をつけてね」

セレン:「確かに息が白いです。いや、ヘンですねえ。霧が出てきましたよ」




【大地の大聖堂 沐浴室 砂風呂の間】


サーラ:「霧?霧ってあの霧?」

セレンの声:「そうです。あの霧です」

サーラ:「地面の中で、霧?」




【地下150メートル 水無川入り口】


セレン一行の前に濃い霧の壁がある

セレン:「地下でも霧が立ちこめるものだとは知りませんでした」

霧の中に足を踏み入れるセレン

サーラの声:「セ・・・・ダイ・・・キリ・・・」

セレン:「うん?」

サーラの声:「セレ・・・キ・・・エル?」

霧から出るセレン

サーラの声:「聞こえるセレン?」

セレン:「はい、聞こえます」




【大地の大聖堂 沐浴室 砂風呂の間】

サーラ:「よかった、また聞こえなくなるんじゃないかと思った」

セレンの声:「いえ、聞こえていなかったんです」

サーラ:「えっ?」




【地下150メートル 水無川入り口】


セレン:「原因は分かりませんが、霧の中に入るとあなたと会話できなくなるみたいですね。霧が魔法に干渉(かんしょう)しているようですね」

サーラの声:「カンショウ?」




【大地の大聖堂 沐浴室 砂風呂の間】


セレンの声:「難しい話になるので詳しい説明は割愛します。しかし、あとはこの水無川を下って行けば大丈夫なんですね?」

サーラ:「そう。一本道よ」

セレンの声:「後は私たちでなんとかなるでしょう」

サーラ:「セレン?」




【地下150メートル 水無川入り口】


セレン:「どうやら霧の中では会話ができないみたいです。ここまで導いてくれて感謝します」




【大地の大聖堂沐浴室 砂風呂の間】

【地中 水無川入り口】

◆二画面で会話の様子


サーラ:「セレン、一本道だから、絶対に助かってね」

セレン:「ありがとう。心優しき大地の乙女。助かったら真っ先に報告します」

◆サーラとセレンの会話が途絶える






【大地の大聖堂 沐浴室 砂風呂の間】


セレンとの通信が途絶えて急にテンションが下がる大地の乙女達

お互いの泥だらけの顔を見ても笑えない

サーラ:「砂、落とそっか」

モソモソと砂を落とすサーラとアリア

アリア:「セレン様、大丈夫でしょうか?」

サーラ:「話せないからわからないね」

顔から砂を落とすサーラ

サーラ:「何やっているんだろう、私・・・。自分のことはさっぱりなのに人のことばっかり・・・」

アリア:「サーラ様・・・」





【地下150メートル 濃霧の中】


濃霧の中を進むセレンご一行

足下の水無川の水量が徐々に増えていく

セレン:「ホホホ、流水の聖女と通信でもしますかね」

などと冗談を言う余裕ができたセレン

霧の先に淡い光りが見える

セレン:「どうやら、霧が晴れるみたいですね」

霧を出るセレン一行

セレン:「なんです?ここは?」





【地下150メートル 霧の向こう】


銀色に輝く空に金色の雲

いつもより大きく見える星々

セレン達の前に広がる牧場の景色

セレン:「ここは、地中ではなかったのですか?」

鳥がさえずり、蝶が舞う、小さな牧場

ひとつだけ異常なのは、囲いの中にいる馬の姿だった



全ての馬の馬体が、倍以上に大きく、なおかつ肩の上からは翼が生えている

その大きさは馬と言うよりも象に近い

そして全ての馬が凍り付いている

セレン:「ペガサス?」

読了ありがとうございました。

まだ続きます

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