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太陽が昇らない国の物語(仮) 第三部  作者: 岸田龍庵
月の使徒の冒険
4/34

大虐殺

謎の地下空間をウロウロする月の使徒セレン


そこで発見することとは

【大地の大聖堂 沐浴(もくよく)室 砂風呂の間】



セレンの声:「今、いる所は、砂が敷き詰められていますね」

見られていることを思いだして、胸元を隠すサーラ

サーラ:「沐浴室だけど・・・」

セレンの声:その砂に、大地の図が描けますか?」

サーラ:「大地の図?やったことないけど」




【地下150メートル どこかの洞窟】


セレン:「メイクをすると思えば良いのです。やってください。ここで生き埋めになるわけにはいきません」

サーラの声:「わかったわ、ちょっと待って」



【大地の大聖堂 沐浴室 砂風呂の間】


砂風呂からアリアを出すサーラ

サーラ:「アリア、聞いてた?」

アリア:「はい、セレン様が大変なことになっているんですね」

サーラ:「アリアも手伝ってちょうだい。でも地面から離れるとセレンと会話ができないのは面倒ね」

アリアを見るサーラ

アリアの小さな顔に湿り気を帯びた砂が付いている



サーラ:「それだ!」

ドタドタと砂風呂の上を走り出すサーラ

浴槽の外にある、体をあらう水が入った手桶の水で手を濡らし、その手で砂を掴むと腕や脚に塗り始めた

アリア:「サーラ様?」

サーラ:「アリアもはやくやって。こうすれば地面と接しているのと同じでしょ」

アリア:「なるほど」

アリアもどたばた走り回り、サーラと同じように体中に砂を()りたくる

顔にも砂を塗りたくるサーラとアリア

さながら泥遊びをしているような大地の乙女達




【地下150メートル 地下空間】


砂を顔に塗りたくる大地の乙女達の奇行をけげんそうな顔で見ているセレン





【大地の大聖堂 沐浴室 砂風呂の間】


サーラとアリア:「よし!」

着衣以外は砂に包まれているサーラとアリア

サーラ:「さあ、案内するからねセレン」





【地下150メートル どこかの洞窟】


◆サーラの声に耳を傾けながら、洞窟の中を行くセレンの一行


サーラの声:「その先に大きな空間があるわ」

セレン:「空間ですか?」




【大地の大聖堂 沐浴室 砂風呂の間】


サーラ:「うん。冥府(めいふ)と同じ匂いがする・・・」

セレンの声:「死の匂い、ですか」

サーラ:「うん」




【地下150メートル どこかの洞窟】


空間に足を踏み入れるセレンの一行

セレン:「確かに、死者の匂いですね」

セレンのつま先が固い物を踏む

セレン:「これは」

おびただしい量の人骨が散らばっている。中には馬の骨もある

サーラの声:「墓地じゃないわよね?」

骨を物色するセレン

骨は朽ちかけている鎧を身につけている

セレン:「どうやら戦場のようですね。鎧を身につけています。もうちょっと物色してみましょう」





【大地の大聖堂 沐浴室 砂風呂の間】


耳を押さえて骨が重なる音に耳をふさぐサーラとアリア

しかし全身が音を捉えているので耳をふさいでも効果はない

サーラ:「良く骨なんか触れるわねセレン」

アリア:「うう~気持ち悪い」




【地下150メートル どこかの洞窟】


セレン:「探求心は恐怖心を克服してこそ生まれるものです。これは?」

星の徽章が付いた盾が出てくる

サーラの声:「なに、どうしたの?」

セレン:「この盾は星の騎士団?」





【大地の大聖堂 沐浴室 砂風呂の間】


杖で砂風呂に星の徽章を描くサーラ

サーラ:「私にも見えるわ、確かに星の騎士団の紋章だけど、ちょっと違うわね」

※現在の星の騎士団の紋章は十文字の星を2つ重ねたものだが、地下の空間で見つかった紋章は五芒星(ごぼうせい)に流星のような尾が付いている





【地下150メートル どこかの洞窟】



次々に五芒星が刻まれた盾を見つけるセレン

セレン:「これは、ちょっとおかしいですね」

サーラの声:「やっぱり、気がついた?そこだけ土壌(どじょう)の質が違うわ」

セレン:「それはどういう事ですか?」



【大地の大聖堂 沐浴室 砂風呂の間】



砂風呂の上に描いたサーラの絵

空間を構成する土と、骨が埋まっている土の間に境界線が引かれている


サーラ:「空間の天地を作っている土壌は一緒だけど、骨を埋めてある土は違う所から持ってきている」

セレンの声:「それはどういう事ですか?」

サーラ:「自然にできた空洞じゃないってことだと思う。どこかの誰かが掘ったのかもしれない。そのあと違うところから土を持ってきて骨を埋めた」




【地下150メートル どこかの洞窟】


骨の周辺にある土を手に取るセレン

サーラの声:「埋めた土の方が比重が軽くて、長い長い間に地下水に混じって押し流されて、埋めている土がなくなって空間になった」

セレン:「ということは、何者かがわざわざここを作ったと?」

サーラの声:「大地がそう教えてくれるわ」

セレン:「なるほど、誰かがここを作ったというのは本当だと私も思います」




【大地の大聖堂 沐浴室 砂風呂の間】


サーラ:「セレン、あなたにも分かるの?」

セレンの声:「私には土壌の種類は分かりません。でも、あなたが言う誰かがこの場所を作った、というのはうなずけますね」

サーラ:「なにか分かったの?」




【地下150メートル どこかの洞窟】

        

次々と出土する五芒星の盾

セレン:「もしここが戦場だとしたら、違う種類の武具が出てくるのが普通です。しかしここからは、ひとつの種類の武具しか出てきません。そう五芒星の星の盾ばかり」

サーラの声:「それって、どういうこと?」

セレン:「ここが戦場ではなく、一方的な虐殺、もしくは同士討ちー」




【大地の大聖堂 沐浴室 砂風呂の間】


サーラ:「虐殺?」

アリア:「同士討ち?」

一時、静寂に包まれる砂風呂の間

炸裂音:「ドッカーン」

セレンの声:「うぉ!」

サーラ:「どうしたのセレン!」

読了ありがとうございました。

まだ続きます。

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