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太陽が昇らない国の物語(仮) 第三部  作者: 岸田龍庵
月の使徒の冒険
3/34

冷たい土の中から

お葬式の最中に、地中深くに落ちてしまった、月の使徒セレン


果たして、脱出できるのでしょうか?

【地中 暗闇】


セレンの声:「うう・・・」

たいまつ明かりが灯る

セレンを見下ろしている部下2人

セレン:「私たちは、どうなったのですか?」

ライタ(部下②)「地中深く落とされたようで」

レフタ(部下③)「セレン様、おケガは?」

セレン:「わたしは大丈夫です。2人ともケガはないですか?」

ライタは左腕に添え木をしている

セレン:「どうやら、あなたたちが私を守ってくれたようですね。お礼をいいます」

平に頭を下げるセレン


セレン:「私が(いや)しの魔法を使うことができれば良かったのですが」

たいまつの火と煙が弱くではあるが横になびいている

セレン:「どうやらその様子では、どこかに出口があると見ました」

懐中から水晶玉を取り出すセレン

セレン:「これはさすがの私も助けが必要ですね」

水晶玉に沐浴室のサーラとアリアの姿が見える




【大地の大聖堂 沐浴(もくよく)室 砂風呂の間】


首から下をすっぽり砂に埋まっているアリア

サーラ:「どう、気持ち良いでしょ?」

アリア:「はい、ポカポカしてきました」

セレンの声:「私の声が聞こえますか?大地の乙女」


ピクリと反応して、顔を見合わせるサーラとアリア


サーラ:「何か言った?」

小さく首を横に振るアリア

アリア:「でも、誰かの声か聞こえました」

セレンの声:「聞こえたようですね。私です月の使徒セレンです」

アリア:「サーラ様、セレン様です。セレン様が呼んでいます」

サーラ:「セレン?」

セレンの声:「大地の乙女聞こえますか?応じてください。私ですセレンです」

アリア:「サーラ様!セレン様が呼んでいます」

サーラ:「セレンって?だってここには私とあなたしかいないじゃない」


セレンの声:「大地を介して話をしています。もう少し大地との接点を増やしてもらえますか」

アリア:「サーラ様、セレン様がもう少し地面に触れてくれって言ってます」

サーラ:「地面に触れるって、こういうこと?」

両手をついて四つんばいになるサーラ

セレンの声:「聞こえますね私の声が」

サーラ:「セレン?本当にセレンなの?」

セレンの声:「魔法の力を使って、大地を通じて話をしています。その格好のままで、少し話をさせてください」

サーラ:「その格好って、セレン、あなた私たちが見えるの?」



【地中 地下空間】


水晶玉を手に取るセレン

水晶玉に映るサーラとアリア

セレンの声:「ええ、見えます。侍女の方のように大地との接点を多く持ってもらえるとありがたいのですが」



【大地の大聖堂 沐浴室 砂風呂の間】


サーラ:「じゃあ、私たちがどんな服着ているのかも?見えるの?」

セレンの声:「それは下着ですか?なかなか官能的かつ肉感的な肢体をしてますねあなたは」

サーラ:「キャー!」

胸元を隠してぺたりと座り込むサーラ

セレンの声:「それに髪型もアップにされていらして似合っていますね」

サーラ:「エッチ!」

セレンの声:「安心なさい。私は殿方(とのがた)の裸体にしか興味がありません」

サーラ:「そういう問題じゃないのよ!それで、何をしているの?」

セレンの声:「妹の遺体を埋葬しようと思いましたら、地割れに巻き込まれてしまいまして、どこにいるのか分からないのです。私たちがどこにいるのか分かりませんか?」

サーラ:「ちょっと待って」


立ち上がるサーラ

サーラ:「立っちゃうと、地面と触れるのが減るのか・・・」

砂風呂の上に座るサーラ

サーラ:「セレン、あなたも地面に触れてくれる?」



【地中 洞窟の中】


冷たい地面に触れるセレンのごつい手

セレン:「分かりますか」



◆サーラのビジョン

セレンの手から土中を越えて地上に、さらに学園都市を越えて大地の聖堂までの映像が流れてくる



【大地の大聖堂 沐浴室 砂風呂の間】


サーラ:「分かったわ地上から150メートルくらい下ね。結構深い所まで落ちちゃったわね」

セレンの声:「私も驚いているんですが・・・」



【地下150メートル どこかの洞窟】


サーラの声:「誰かケガしているの?」

セレン:「分かるんですか?」

サーラの声:「みんな、地面に触れてくれる」



【大地の聖堂 沐浴室 砂風呂の間】


サーラ:「そのままでいてね」

両手を胸に当てるサーラ

サーラ:「聞こえる。私の友人たちを癒して欲しいの」

サーラの胸から太陽光に似た光りが溢れる

サーラ:「母なる大地にお願いします。私の大切な人たちを(いや)してください」



【地下150メートル どこかの洞窟】


淡い光に包まれるセレン達

セレン:「おお、これは」

ライタ(部下②):「セレン様、腕の痛みが引いてゆきます」

サーラの声:「どう?少しは楽になった?」




【大地の聖堂 沐浴室 砂風呂の間】


サーラ:「ヒューマならもうちょっとうまく治してくれると思うけど、ごめんね」

無意識にヒューマの名前を口に出すサーラ

セレンの声」「とんでもない。助かりました」



【地下150メートル どこかの洞窟】


セレン:「あなたは不思議な人ですね。大地の乙女であるのに、濃厚な太陽の香りや暖かみが感じられます」

サーラの声:「えっ?」



【大地の聖堂 沐浴室 砂風呂の間】


サーラ:「太陽の暖かみ・・・?」

思わず胸に手を持って行くサーラ

セレンの声:「導いてくれますか?」

サーラ:「へっ?」



【地下150メートル どこかの洞窟】


セレン:「どこか海か川に流れ込むような、外界と接しているところまで導いてください。

川であれば下って町にでることもできます。

私1人なら魔法で鳥になることもできますが、お供の彼らを置いていくことはできません。私の大切な友人ですので」



【大地の聖堂 沐浴室 砂風呂の間】


サーラの声:「導くって、どうすればいいの?」

読了ありがとうございました。


【月の使徒の冒険】まだ続きます

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