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太陽が昇らない国の物語(仮) 第三部  作者: 岸田龍庵
火と星の旅路
20/34

預言者(よげんしゃ)

宗教的要素の強い展開になっています。


苦手な方、ごめんなさい。

【帝都セイクレッド・ガーデン 司教庁 最上階 執務室】



執務机に向かう預言者アレキサンダー

顔の半分が鉄のプレートで覆われている

風貌(ふうぼう)は砂漠の民の子、サンタナに似ている(第一部26部を参照)

粘土(ねんど)板に記された『神の言葉』を巻紙に書き写していく預言者アレキサンダー

勢いよく扉が開く



ミランが仁王立ちしている

ミラン:「入るわよアレックス」

物憂(ものうげ)げに来入者を見る預言者アレキサンダー

預言者:「ほう、これは火の探求者。最近姿を見なかったが、いつも元気そうでなによりだ」

ミラン:「話があるのアレックス」

預言者:「何かな?」

ミラン:「あなた、私たちに空飛ぶ船を造らせて、どうするつもりなの?」

ミランを凝視する預言者アレキサンダー



ミラン:「攻め込むってどういう事?私は『近くで星を見たいって』あなたたちが言うから空飛ぶ船を造ったのよ。それにあなたは武器なんかつけて」

答えない預言者

ミラン:「これ以上、火を大きくしてどうするつもり?私たちが生きて行くのに、こんなに大きな火はいらないわ」

まだ答えない預言者

ミラン:「わたしは、大きくなりすぎた火を消しに来たの」



預言者:「ミラン」

ミラン:「なに、アレックス?」

預言者:「私の意志ではない全ては神のご意志だ」

ミラン:「ウソ言わないで。私たちを、迫害されていた私たちを受け入れてくれた神様がそんなことをしろって言うわけないじゃない!」



預言者:「断っておくが、全ては神のご意志だ。

 この地を開拓するようにおっしゃったのも、行き場のない君たちに土地を提供したのも、彼らの地に、戻るように言ったのも全ては神のご意志だ」

ミラン:「彼らの地って?」

預言者:「約束の地。神が私たちに住まうために用意された『(みつ)の流れる場所』。

 ベルタやサーラ、それにジェスやファロスが暮らす土地だ」

ミラン:「なんで知っているの?」

預言者:「彼ら司る者と交流を持って良い感触を持ったのだろうが、彼らは神ではない。人間だ」



預言者の言葉に怒りがわき上がってくるミラン

赤毛のアフロヘアが、炎のようにざわつく



預言者:「人のやることほど不安定なものはない。父なる神は絶対なのだ。神の言葉、神のご意志こそが真理なのだ」

ミラン:「その神様が戦争をしろって?人が暮らしている場所を奪い取れって?」

預言者:「神の言葉は絶対だ。人が司るからおかしくなる。キミもそうではないか火の探求者」



ミラン:「じゃあ、神様のいうことなら、人殺しもするってこと?」

預言者:「これは、聖戦だ。聖なる戦いなのだ。そのために空飛ぶ都市が必要なのだ」

ミラン:「壊してやるわ、そんなもの」

預言者:「自分の作品を壊すというのか?」

ミラン:「私が作ったものを私が壊してなにが悪いの?」

預言者:「それは神のご意志に反する好意だ」

ミラン:「私は、私の意志で、いえ母さんの意志で生きているの!」

預言者:「だから人間はダメなのだ。人に世をゆだねさせることほど愚かなことはない。お前も来るべき神が統べる世界のために尽力するのだ」



ミラン:「バカ言わないで」

預言者:「神の意志に反する者は排除する。あの()()()()()と土着の邪神の信徒もな」

ミラン:「あの2人は何も悪くないわ」

預言者:「キミはどちらなのだミラン。神の国を望むのか、それとも邪教の使徒なのか?」

ミラン:「どっちでもないわ」

全身から火を発するミラン

ミラン:「私は火の探求者。私はミリアムの娘ミランよ」

預言者:「仕方ないな」


アレキサンダーの背後から、突如、黒い影が立ち上る

手を銃の形にして、炎を浴びせるミラン

立ち上った影が火を吸収する。


影:「そこまでだミラン」

ミラン:「あんたは?」

すべての闇:「そのくらいにしてもらおう。この人間はまだ必要なのでな。お前に灰にされては困る」

ミラン:「あんたは誰なの?」

すべての闇:「言っただろう。私はお前であり、お前は私だ」

ミラン:「答えになってないわ」

すべての闇:「今は全てを知る時ではない。疲れただろう。少し休めミランよ」

ミランの体を閃光(せんこう)が貫く

意識を失い、もんどり打って倒れるミラン





【帝都セイクレッド・ガーデン地下 牢獄(ろうごく)


もそもそと食事を摂るフレイとリエル

フレイ:「これで21回目の食事か・・・」

一日の食事は朝晩の2回なので10日は経っている計算になる

フレイ:「いつまでここに入れておくつもりなんだ」

だいぶひげ面になってきたフレイ



リエル:「不謹慎(ふきんしん)かも知れませんが」

フレイ:「なんだい?」

リエル:「私はあなたと一緒にいられるのが嬉しいんです」

フレイ:「リエル・・・?」

リエル:「どんな形であっても私は構わないんです。好きな人と一緒にいられるだけで。私は幸せを感じるんです」

フレイ:「よしてくれリエル」

リエル:「不謹慎って断りましたよ」



看守が近づいてくる

看守:「出なさい。所持品を持って」

連行された時と同じように武装を許されているフレイ達

銃を携帯している看守数人に囲まれて連行されていくフレイとリエル



フレイ:「どこへ連れて行く気だ。裁判ならば公平な場を要求する」

看守:「お前達2人は何と幸運だ」

フレイとリエル:「幸運?」

看守:「新しい世界の始まりを見ることができるのだからな」

読了ありがとうございました。


今後もごひいきによろしくお願いします。

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