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太陽が昇らない国の物語(仮) 第三部  作者: 岸田龍庵
火と星の旅路
16/34

荒っぽい調停

この回より、仮面の勇者だった女の子リエルがミランとフレイの帝都行きに同行します。


RPG風に言うと「リエルが仲間にくわった」「回復呪文で仲間をサポート」という感じでしょうか。

テレビゲームを意識して書いたつもりでしたが、ほぼゲームではなくなっている感じがします。

【谷 底】


◆リエルの案内で帝都まで向かうことにするミランとフレイ


V字状に削られている谷底

谷底を普通に歩ける程度の水量の川


ミラン:「ほとんど流れていないね」

リエル:「流れを完全に断ち切ることはしないんです。でも解放することもありません」

ミラン:「なんで?」

リエル:「生かさず殺さず。暴発しないくらいの糧を与える。それが帝都のやりかたです」

ミラン:「ヒドイ・・・私の知らないところでこんなことしてたなんて」

リエル:「私たちは先祖から受け継いできた土地で、御山に抱かれて暮らしたいと思っているだけなんですが」



矢つるの音:「ヒュン!」

フレイ:「危ない!」

ミラン目がけて飛んできた矢を、誰よりも速く察知して身を挺して守るメタリオン

鋼鉄のボディは矢を跳ね返し、傷ひとつない

いつのまにか半弓を構えた一団に囲まれている



ミラン:「ちょっとヤバそう?」

フレイ:「なあにたいしたことないだろ」

若者:「リエル、なぜそいつらと一緒にいる?」

リエル:「どういうことだ、これは?」

若者:「お前こそどういうつもりだ。そいつは帝都の回しものだろうが?

 リエル、お前はいつから帝都の手先になった?」

リエル:「帝都の人間だからこそ、村のためになる。水門を開けるために私は行く」

若者:「それが騙されているというのだ」

リエル:「では、このまま手をこまねいて滅べと言うのか?」




若者:「使いたくはなかったが仕方あるまい」

若者達は川に手をつき、なにやら呪文を唱える

リエル:「そんなことをしたら、村への水が無くなってしまうぞ!」

若者:「過ちを正すためだ仕方あるまい」

        


◆川から水が竜の形になって襲いかかる



ミラン:「どいて!」

水竜に突進するミラン

水竜に抱きつくと、ミランの体が赤い光りに包まれる

一瞬にして蒸発する水竜

フレイ:「ミ、ミラン?」

        


続いて手近にある手頃な岩を掴んで、熱々になった石を水量が少なくなった川に投げ込む

煮え立つ川の水

見たこともない「変化」に動揺する村の若者たち



ミラン:「ねえ、放って置いたらみんな燃えちゃうんだよ。火は何もかも、石も砂も水も燃やしちゃうんだよ」

若者達:「・・・」

ミラン:「火は、この世界全部燃やせちゃうんだよ。

 そうなったら仲良くご飯食べることも、ケンカもできなくなっちゃうんだよ。

 そうならないように、私は帝都に行くの。止めてだめだよ」



半弓を下げる若者達

若者:「行けリエル」

リエル:「みんな」

若者:「私たちは影ながら協力させてもらう」

水蒸気のように消える若者達

一息つくミラン達

リエル:「許してください。彼らもこの村のために・・・」

フレイのもとに走るミラン。頬が上気している

フレイ:「どうしたミラン?」

ミラン:「私、フレイみたいにうまく調停できたかな?」

一瞬戸惑うものの、笑顔で応えるフレイ


◆谷底を徒歩で移動する一行

 

ミラン:「なんか登っているみたい」

リエル:「この先に水源になっている森があります」

ミラン:「もり?森ってなあに?」

リエル:「そ、それは・・・」

フレイ:「木がたくさんある所を森っていうんだよミラン」

ミラン:「へえ」

フレイ:「僕はベルタやサーラみたいに良くは知らないんだけど、森は水を貯めておけるらしいんだ」



リエル:「元々、里山に住んでいた私たちは、豊かな森の恵みに支えられ、木の実や獣を狩って暮らしていました」

ミラン:「そうなんだ。だから魚の取り方とか食べ方がちょっとおかしかったんだ」

リエル:「全部ハイド様に教えていただいたんです。あの方がいなければ私たちはどうなっていたのかが分かりません」

ミラン:「船長ってそんなにすごいの?」

リエル:「そうは見えないんですけどね」

ミラン:「でもすごいか。寝転がっていても船動かせるんだから」

笑う一行




【先祖代々の森 水門】


景色が開け、天然の池が現れる

水門が川への流入を抑えている



フレイ:「これか」

リエル:「ここを解放すればもっと沢山水が手に入る」

フレイ:「なんでこんなことするんだろう?」

リエル:「私には何をしたいのか分かりませんが、とにかく村に水を呼び込まないと」

フレイ:「行こう」



水門の敷地に踏み込むと警報装置が鳴り響く

3体の警備機械が登場

フレイ:「なんだあれ?」

ミラン:「メタリオンの親戚みたいね」


◆警備用マシンをいとも簡単に蹴散らすメタリオン

 マシンから水門のハンドルを手に入れる

      

ハンドルを取り付けるフレイ

フレイ:「これで水門を開けられるっと。スゴイカタイ」

両手でハンドルを掴んで力を込めるがハンドルはびくともしない

フレイ:「これ、動かない・・・」

顔が紅潮しているが、門を開けられないフレイ

リエル:「これじゃあ水が流れない」

ミラン:「メタリオン、ちょっと来て」

のそのそとやってくるメタリオン



ミラン:「これ、回してくれる」

片手でハンドルを持つメタリオン。

あれだけ動かなかったハンドルがゆっくりと動き出す

フレイ「えっ!?」

リエル:「全部解放しないでください。鉄砲水が起きてしまいます」

ミラン:「だってメタリオン。少しだけね」

ゆっくりとハンドルが回され、水流が少しだけ太くなっていく

読了ありがとうございました。


今後もごひいきにお願いします。

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