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太陽が昇らない国の物語(仮) 第三部  作者: 岸田龍庵
プロローグ
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プロローグ

太陽が昇らない国の物語 第三部の投稿を開始しました。


三部は、それぞれのキャラクターが直面する試練や冒険が中心になります。


お話は、第二部の最後、ヒューマの父ファロスが倒れたあとから始まります。



【はじめに】


ある国の物語

その国には太陽が消えた時代があった

『太陽の子』を始めとする『司る者』たちは、幾多の困難を乗り越え、世界に再び太陽を甦らせた

新しい日の出から5年・・・

       

自分たちの居場所に戻っていった「司る者」たち

だが、彼らに安息(あんそく)の時はなかった

彼らの予想以上に世界のバランスは崩壊に向けて動き出していた

新しい世界に向けて、彼らは試練に直面することになる。


今までは仲間がいた

だが、今回は己との戦い。

『司る者』たちは試練に打ち勝ち、新しい世界を迎えることができるのか?





【暗 闇】



ヒューマの声 「父さん・・・・父さん・・・」

ファロスの声 「ヒューマ・・・ヒューマか・・・」

ヒューマの声 「父さん・・・もうそろそろ沈んでくれないと新しい太陽が昇れなくなってしまうんだ。だから、だから父さん・・・」

ファロスの声 「ヒューマ?」






【山岳都市メンヒル 全景】


【大地の大聖堂 控えの間】



目を開けるファロス

ヒューマ、サーラ、フレア、そしてアリアが見下ろしている

ファロス:「ヒューマ・・・母さん」

フレア:「良かった父さん。気がついて」

上体を起こすファロス

ファロス:「ここは?・・・サーラちゃんも?」

サーラ:「ヒンメルです。村に着くまでに立ち寄ってもらって、休養してもらいました」



ヒューマ:「ビックリするじゃないか父さん、急に倒れて」

フレア:「ヒューマ、倒れる時はたいてい急なものよ」

ファロス:「私は、どれくらい倒れて、寝ていたんだ?」

ヒューマ:「7日だよ父さん。ミランの記録抜いちゃうんじゃないかと思ったよ」

ファロス:「そうか」

フレア:「どこも悪いところはないって、サーラちゃんが()てくれたし、ちょっと疲れが出たのよ。あなたもいい年なんだから、あまり無理しちゃだめってことよ」

ファロス:「・・・」

フレア:「どうしたの父さん?」


◆回想音声


ヒューマの声:「父さん・・・もうそろそろ沈んでくれないと新しい太陽が昇らなくなってしまうんだ。だから、だから父さん・・・」


◆回想音声終わり



ファロス:「すまんが、母さんと2人だけにしてくれないかヒューマ」

ヒューマ:「母さんと?」

顔を見合わせる母と息子

サーラ:「ヒューマ、別の部屋に行ってようか」

呼び鈴を出してフレアに渡すサーラ

サーラ:「何か用事があったら鳴らしてください。すぐに行きます」

ファロス:「すまんなサーラちゃん」

出て行くヒューマ、サーラ、アリア

フレア:「どうしたの父さん?」

ファロス:「母さん、聞いてくれ」




【大地の大聖堂 廊下(ろうか)



どことなく重苦しい雰囲気のヒューマ、サーラ、アリア

ヒューマ:「父さん、どうしちゃったんだろ?」

サーラ:「・・・・」

3人分の足音が響き渡る

サーラ:「ねえヒューマ?」

ヒューマ:「なにサーラ?」

サーラ:「ヒューマは今、幸せなの?」

ヒューマ:「幸せ?なんだよ急に?」

サーラ:「ベルタが言ったの。私たち『司る者』はこの世界が平和であるように、たくさん実りがあるように働いたり、戦ったりする。だけど、私たち『司る者』のために誰が戦ってくれるのかって」

ヒューマ:「・・・」



サーラ:「私たち『司る者』だって幸せになる権利はあるはずよ。ねえヒューマ、私たちどうやったら幸せになれるの?私たち、みんなとそんなに違わないはずよ」

ヒューマ:「サーラ・・・」

サーラ:「ねえ、ヒューマ、私も、私たちも幸せになりたい!」

ヒューマ:「どうしたんだよサーラ急に?充分幸せじゃないか。太陽が戻って」

サーラ:「本当に?ほんとにヒューマ?私たちが冥府(めいふ)に行っている間、フレアさんは死ぬかも知れなかったのよ!

それにファロスさんに悪い影響があったから倒れたんでしょ!

お母さんとお父さんがあんなことになってヒューマはそれでも幸せなの?」

ヒューマ:「それは・・・」



サーラ:「私、すごく不安なの。私たちのしていることって、とてもキケンなことなんだってファロスさんが倒れた時に思った。

もうマヒしちゃっているかもしれないけど、私、誰にも倒れて欲しくないし、誰も死んでほしくない。

みんなみんな幸せになって欲しいの。

私たち、いつまで、なにを、どれくらいやったら幸せになれるの!私だって幸せになりたい!」

ヒューマ:「そりゃオレだって同じだよ。だから戦っているんじゃないか」

サーラ:「いつまでこんなことをすればいいの?ヒューマ、私を幸せにできる?」

ヒューマ:「そりゃ、する。もちろん」

サーラ:「どうやって?」

ヒューマ:「どうやって?」

サーラ:「じゃあ今すぐ結婚してヒューマ。私はヒューマと結婚すれば幸せになれるって思っているの。

私を幸せにできるなら今すぐ結婚して!」

ヒューマ:「どうしたんだよサーラ!急に結婚してって」

サーラに近寄るヒューマ




サーラ:「こないで!」

ヒューマ:「サーラ・・・」

サーラ:「何で結婚できないの?」

ヒューマ:「結婚って、今はそんなこと言っている時じゃ」

サーラ:「ミランのことが気になるんでしょ?」

ヒューマ:「ミラン?」

サーラ:「私、わかるの。ミランはヒューマのことが好きなの。そうじゃなきゃ自分のやったことを見せになんてこないわ」

ヒューマ:「そんな事、ミランは関係ない。どうしたんだよサーラ」

サーラ:「ヒューマ、私は大地の乙女だけど、女の子なのよ。

小さい頃から幸せになりたいっているも思っていたの。女の子はだれでも幸せになりたいの。だけど今のままじゃ、ヒューマと一緒にいたって幸せになんかなれない!」

走り出すサーラ




ヒューマ:「サーラ、待ってくれよ」

走るサーラ、追うヒューマ

沐浴(もくよく)室に駆け込むサーラ

力一杯、重い扉を閉じる




ヒューマ:「サーラ、サーラ」

扉を叩くヒューマにアリアが近づいてくる

ヒューマ:「アリア、開けてくれよ。中に入れてくれよ」

アリア:「それはできません。ヒューマ様のお願いでもできません。この中には大地の乙女と侍女しか入れないんです。司祭様も入れないんですから」

ヒューマ:「アリア」

アリア:「あの、なんて言っていいのかわからないんですが、少しそっとしておいてもらえますか」

ヒューマ:「・・・」

沐浴室に入っていくアリア

閉じた扉の前に立ちつくすヒューマ

読了ありがとうございました。


次回から、それぞれのキャラクターごとの、冒険が始まります。

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