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こうして私は無双する・イリVer  作者: まるたん
第一編・最終章
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賞金稼ぎと魔導大国の王子【8】

 隕石衝撃魔法メテオストライク


 発動直後に、大空の彼方......宇宙空間から超高速でやって来る、燃え盛る岩の塊が見えた。

 遠い遠い宇宙空間からみかんの魔法によって引き寄せられ、最終的に星の引力によって自然落下して来た星屑の一つ。


 宇宙規模で述べるであれば、それは宇宙空間に存在する塵芥の様な小さな存在に過ぎないのだが、それが惑星規模の小さな存在と比較するとなれば、話は大きく異なる。


 惑星の中にある大陸の、更に分類される国の中にある街。


 ここまでくれば、広大過ぎる宇宙と比較してはならないと言う事が分かって来るだろう。


 宇宙規模なら塵にも等しい星屑ほしくずであっても、街に落ちてくればそれは超巨大な災害にも匹敵する。


「くたばれぇぇぇっ!」


 みかんが咆哮する。


 同時に、空の彼方から超高速で落ちて来た隕石は、その姿をグングン大きくさせる。

 彼方から飛んで来るのが肉眼で見えるレベル程の超巨大な隕石は、直径五キロはあるだろう巨岩だった。


 元来、こんなのが地表に衝突などすれば、世界が崩壊してしまう程の衝撃波が惑星全体に広がってしまう。


「バカかあんたわぁぁぁぁぁっ!」


 リダが半べそで喚き声をみかんに向けて叫んだ瞬間。


 ......カッ!


 チュドォォォォォォォォンッ!


 ヨルムンガルドの全長にだって負けない様な超巨大な隕石が、巨大蛇の脳天に衝突する。

 

 同時に、尋常ではない衝撃波が辺りに広がった。


「ぐぐぅぅぅ......っ!」


 リダはなんとか全身全霊でガードする形で衝撃波に耐えた。

 この衝撃で、周囲に存在していた猛毒が霧散する。


 他方、剣聖の護りにぶつかった事で衝撃の勢いが大きく相殺され、街の外に広がった衝撃波の勢いに急ブレーキが掛かった。


 また、街の被害も剣聖の護りによって、なんとか事なきを終える。


 シズは、再び街を救ってしまった。 

 

 敵の攻撃ではなく、味方の攻撃って言うのが、なんとも間抜けなヒトコマにも見えた。




  ■▲○▲■




 時間は少しだけ遡って。

 一方、もう一つの空中戦と言えるイリと悪魔王子の戦いは熾烈しれつを極めていた。


 完全に一対一と言う構図になり、互いに対峙すると同時にどちらがどうと言う訳でもなく、打ち合いが始まった。


 まずは、悪魔王子がイリに攻撃を仕掛ける。

 互いに対峙する形で向かい合わせに顔を合わせてすぐに正面から拳を振るって来た。

 挨拶代わりのパンチとでも言いたげなストレートをイリはスッ......と軽く避けると、そのまま流れる様にカウンターを叩き込もうとする。


 だが、予測していたかの様にガードされ、


 ドカッッッ!


 直後に鋭い蹴りが飛んで来て、イリの顔面を強打した。


 更に追撃する形でイリへと拳を向けるが、咄嗟に身をよじったイリが悪魔王子の攻撃をかわすと、そのまま更に身をよじって悪魔王子を蹴り飛ばした。


 バキッッ!


 この一撃で悪魔王子が吹き飛んで行く。

 そこで、イリが一瞬にして性別を女に変えて、魔導式を一瞬で紡ぎだし、飛んで言った悪魔王子めがけて魔法を発動させる。


 断罪コンビクション爆雷ライトニング


 カッッ!


 ドォォォォォォォンッ!


 稲光が光速で悪魔王子を狙い、その直後に大爆発を起こす。


 しかし、


「くっ!」


 まもなくイリは素早く男に戻ってからガード態勢に入った。

 同時に真後ろに瞬間移動して来た悪魔王子の連打を全てガードしてみせた。


 光速の雷を瞬間移動で避けて、更にカウンターと言う荒業にも近い行動に、思わずイリも舌打ちをしてしまう。


 これは一筋縄では行かないな。


 思った以上の強さに、イリは少しだけ口許を緩ませた。


 ......そう。


 自分でも無意識の内に、イリは微笑んでいた。


『......何がおかしい?』


 コンマ一秒でも気を抜けない勝負な最中、それでも微笑みを見せていたイリを見て、悪魔王子は少しばかり不思議そうにイリへと口を開いてみせる。


 この言葉を耳にして、イリは自分が微笑んでいる事に気付く。

 同時に気付いた。

 ああ、この戦いを......俺は楽しんでいるんだな、と。

 

 人間の中にある根本的な本能の一つ。

 闘争本能。

 普段は、この闘争本能と言う物を無くしていた節があるイリ。


 理由は素朴ながらも単純な物だった。

 ここ最近は、闘争本能を揺さぶられる様な、生死を掛けた戦いに発展する事が皆無に等しかったからだ。


 大抵は自分が相手を一方的に打ちのめすだけのワンサイドゲーム。

 いや、ゲームにすらならない。


 所が、今はどうだろう?

 一歩間違えれば、間違いなく命がない。

 まさに死と隣り合わせのデットオアライブな戦い。

 自ずと、自分の中に眠っていた闘争本能を叩き起こしてしまう。

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