賞金稼ぎと魔導大国の王子【5】
補助魔法が掛かり、一気に勢いをつけたういういは、風を切る様にして古代魔導人形へと一直線に突き進む。
すると、狙い澄ますかの様に右手をういういに向けた古代魔導人形。
同時に、ういうい目掛けて光線を放って見せた。
「うぉっと!」
ギリギリ避けて見せる。
しかし、横にかわした事で、今までの助走による勢いが半減した。
......が、ういういはニヤリと笑った。
その笑みの答えは、一瞬後にやった来た。
ゴッッ!
その瞬間、古代魔導人形の真横から、ユニクスがフッ......と、姿を表す。
瞬間移動をした訳ではないのだが、それに限りなく近い勢いで動いていたユニクスは、尋常ではない回し蹴りを古代魔導人形へと放って見せた。
この一撃で、古代魔導人形が吹き飛んで見せる。
同時にユニクスは地を蹴った。
更に追い討ちを掛ける形で、
ドゴンッッッ!
......と、吹き飛んでいた魔導人形の背後に強烈な飛び蹴りを入れた。
鮮やかな連携であり、烈火の如き攻撃でもある。
「流石に強いね......ユニクスさん」
ルミが青い顔になって言う。
少し前までは敵でもあっただけに、何となく複雑な気持ちになっていた。
他方のフラウは鼻高々だ。
まるで自分の事の様な態度で、ルミにドヤ顔していた。
「ふふ~ん! ユニクス姉は勇者の天啓を受けてるからね! そりゃ強いに決まってるよ!」
「勇者の天啓? そ、そうなの?」
知ってる方もいるかも知れないが、勇者ユニクスの内容はリダやみかんverでやっているので、見てない方はそこらを参照して貰えると幸いだ。
「そうか、勇者なのか......ユニクスさんは」
もしそうなら、今後は敵にはならないかな......でも、更に強くなってるから怒らせない方が良いって事だけは確実だな......なんて事を、ルミは地味に心の中で考えていた。
その後も、ユニクスとういういの猛攻が続く。
もう、前衛だけで勝てるんじゃないかって勢いだった。
主にういういが古代魔導人形の注意を引いて、ユニクスが打撃を与えると言う戦法は、予想以上に効果的だった。
注意を引くと述べたが、そのままないがしろにしたのなら、当然ながらういういが攻撃して来る。
だからと言ってういういに重点を置いてしまうと、そのまま二人の術中にハマってしまう。
中々に堅い装甲を誇示していた為、決定打になるダメージを与えるには至らないが、ジリジリと少しづつ古代魔導人形を追い込んではいたのだった。
このまま押しきれるか?
そう思われた時だった。
ズゴゴゴゴゴゴゴッッ!
突発的に強烈な地震が発生した。
「な、ななななな! 何?」
フラウは思いきり驚いて見せた。
「わ、わかんないよっ!」
驚くフラウにルミも同様の驚きを見せて叫んで見せる。
全く予期しない、謎の大地震によって周囲にいた全員が動きを止めてしまう。
瞬間。
古代魔導人形は、この期を逃す事なく右手に光を溜め込んだ。
「っ! しまった!」
突発的な地震に、うっかり気を取られてしまったユニクスとういういの二人は、しっかり攻撃態勢を取っていた古代魔導人形の存在に気付いて、すかさす攻撃を繰り出そうとするが、一足遅かった。
ドヒュゥゥゥゥゥゥンッ!
超極太の光線がユニクスとういういを襲う。
放たれた極太レーザーはユニクスとういういを直撃した。
「うぐあぁぁぁっ!」
「ぐわぁぁっ!」
ユニクスとういういの二人は各々、激しい悲鳴をあげる。
なんとか踏ん張った物の、全身大火傷状態でプスプスと身体から煙の様な物が上がった。
一瞬後、大火傷状態で身体を上手に動かす事が出来なくなっていた二人目掛けて、古代魔導人形が超高速で右拳を振るって見せた。
炎神の槍!
まともに動く事の出来ない二人に古代魔導人形の拳が当たるかどうかの瀬戸際で、フラウの放った三本の炎の槍が一直線に飛んで来て、そのまま古代魔導人形に衝突する。
突き刺すと言うより、激突する形でぶつかった衝撃で、古代魔導人形が数メートル程度吹き飛んだ。
吹き飛びはしたが、倒れるまでには至らず、そのまま足から着地して見せる。
「くっ!」
フラウは舌打ちまじりに苦い顔になった。
他方で、ルミは魔導式を頭の中に紡ぎ始める。
同時に、キイロが素早く全身火傷を負った二人の元へと素早く駆け寄って、
上位治療魔法レベル60!
即座に回復魔法を展開していた。
それらを見ていた古代魔導人形が、前衛を回復しようとするキイロが一番の脅威と見なして、攻撃の標準をキイロに定めた。
ルミの魔法が発動したのは、この直後だった。
上位陽炎魔法!
その瞬間、古代魔導人形を中心にして、太陽の炎が出現する。




