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こうして私は無双する・イリVer  作者: まるたん
第一編・最終章
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賞金稼ぎと魔導大国の王子【2】

「な、なんて禍々しい......これはもう、完全に悪魔に魂を売り渡してしまったとしか、言い様がないです」


 上空で大きく変貌してしまった王子を見たみかんは、とても悲しそうな眼差しで上空を見据えた。


「ああ......手遅れだ」


 近くにいたリダが頷きを返した。


 そこから、二人どちらがどうと言う訳でもなくアイコンタクトで頷き合うと、物凄い素早さで上空を浮遊するルイ王子の前にやって来た。


「キイロ......ちょっと行って来る」


「......っ!」


 ワンテンポ遅れる形で、イリが隣で腕を絡めていたキイロに呟いて見せる。

 この言葉に、キイロは少しだけ驚いた顔になってしまった。


 上空にいるだろう悪魔の化身は、どう考えても人外の極地にいると述べて間違いない。

 行けば、さしものイリだって無事では済まない。


 しかし。


「これだけ皆が頑張っているのに、貴方だけおいてけぼりって訳には行かない物ね......」


 キイロは淑やかな笑みをやんわりと作った後、イリの腕を離して見せた。


「頑張って......そして、絶対に生きて帰って来てね」


 満面の笑みを作りつつ、切実な想いを乗せてキイロはイリを見送った。


 イリは、軽く親指だけを立ててからみかんとリダの二人に合流する形で飛んで見せた。


 それら一連の流れを見ていたシズは、


「う!」


 瞬時に真剣な顔になってから剣をかざす。


 剣聖・奥義! 剣聖の護り!


 瞬間、辺り一面に剣聖の護りが広がる。


「う~! これで、地上と空を遮断した! 存分に戦うと良いう~!」


 シズの持つ最大にして最強の防御壁が発動した瞬間だった。

 ただ、発動中はシズ本人がほとんど動けなくなってしまうと言うデメリットもある。


 しかし、発動中はあらゆる物理、魔法、その他の攻撃を全てシャットアウトする事が可能と言う、チート染みたスキルだ。


 この防御壁によって、地上と空中が二分される。


 空中は、イリ・みかん・リダの三人VS悪魔と化したルイ王子。


 地上は、ルイ王子によって復活した古代魔導人形エンシェントゴーレム戦。


 これに対するのは、魔法の絨毯に乗ってやって来た、ユニクスとういうい。

 この二人が前衛。

 そして中衛はイリを見送ったキイロが、そのまま戦闘に参加する。


 後衛はルミとフラウの冒アカ魔法コンビが担当。

 とうとう、今回はルミ姫様も戦闘に参加する。


 他方、戦闘不能になってしまったオリオンは、安全な場所へと避難している。

 そして、その治療をアオが担当していた。


 シズは、剣聖の護りを展開している為、戦闘には参加出来ない。

 アカは......いずこかに姿をくらましていた。


 結果、地上で古代魔導人形との戦闘に参加するのは、ユニクス・ういうい・キイロ・ルミ・フラウの五人と言う形となる。


 かくして。

 

 ニイガの街を守る最後の戦いは、こうして幕を開けるのであった。




  ■▼○▼■ 




『雑魚が雁首揃えた所で、何も変わらない事を教えてやろう......』


 イリ達三人を前に、傲慢な笑みを力強く見せていたルイは、強烈な波動を周囲に撒き散らしながら、三人に身構えて見せた。


「雑魚なら、その言い分で当たってるな」


 この言葉にリダはふてぶてしいばかりに胸を張った。

 

「です。こう言っては難ですが、この三人が揃ってるのに、それでも余裕かませる、アンタの態度に驚いたです」


 みかんは、答えてから魔導式を頭の中で紡ぎ出す。


 同時に、三人全員に補助魔法が掛かった。


 スーパー攻撃力上昇魔法オフェンスアップ レベル99!


 スーパー防御力上昇魔法ディフェンスアップレベル99!


 スーパー身体能力上昇魔法スピードアップレベル99!


 瞬間、三人の能力が爆発的に上昇する。


「ったく......本当は面倒な事は御免なんだがな」


 イリは、相も変わらずな態度でかったるそうな顔で口を動かす。

 しかし、間もなく闘志を全面的に出して来た。


「まぁ、売られた喧嘩は買うよ。それが俺のポリシーだ!」


 ドンッ!


 瞬間、イリの中から凄まじいエネルギーが放出される。

 気合いをいれ、瞬時に己の能力を全解放する事で、周囲にイリのエネルギーの余波が波動として撒き散らされた。


「およ~......」


「相変わらず、すげぇのな......」

  

 攻撃態勢に入っただけで、エネルギーが周囲にこぼれてしまうイリを見て、二人はちょっとだけ苦笑してしまった。

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