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賞金稼ぎとお姫様【3】




 ■□■□■



 余り気乗りはしない物の、イリはオリオンの誘いにより、街中にある賞金稼バウンティハンター組合ギルドへを足を向けた。


「よお、お疲れさん」


 組合のカウンターに足を運ぶなり、イリは受付を担当していた女性に愛想良く声を掛けた。


「あら、イリじゃない? 昨日は遅くまで仕事だって聞いてたけど……もう起きて次の仕事に行くの? 珍しく多忙ね?」


「おいおい、ミンちゃん。俺はそこの暇人とは違うんだぜ? 敏腕賞金稼ぎのイリさんが、多忙じゃない訳がないのさ」


 女性の言葉に、イリは少し大袈裟に驚いてから、オリオンを指差して心外だと言わんばかりの態度を取ってみせた。


 オリオンの眉間に皺が寄った。


「俺もお前も大差ないだろ? 何なら、俺の方が忙しいくらいだ」


「お? 言うねぇ? じゃあ、言ってみろよ? どんな多忙な生活を送っているんですかねぇ?」


「アンタ達、こんなトコで油を売るのにわざわざ来たのかい? それならサッサと帰りな。用事があるなら、そっちに行きなよ。やかましい」


 オリオンの言葉にイリが食って掛かると、眼前にいた受付の女性が不機嫌そうにシッシッと手を振った。

 賞金稼バウンティハンター組合ギルドの受付をやってるだけあって、気丈な女性の様だ。


「相変わらずつれないねぇ……そんなんだから、婚期を逃すんだぜ?」


 バキィッ!


 冗談めかした口調で言うイリへの返事は拳で返って来た。

 本当に気の強い女性である模様だ。


「さっさと行け。仕事の邪魔だ」


 そして口を開くな! と、顔で言いながらイリを睨んだ受付の女性。

 イリは苦笑しながら、殴られた頬を軽く手でさすりつつ組合ギルドの中へと入って行った。


 同時にオリオンも一緒に組合ギルドの中に入って行く。

 今回、用事があったのはここ賞金稼ぎ組合の組合長ギルドマスターでもあるクロノスだ。


 二人は真っ直ぐ、賞金稼ぎ組合の中にある組合長室に向かった。


 コンコンコン!


 取り合えず、軽くノック。


「お~、開いてるぞ。入れ」


 ドアの向こうからクロノスの声が聞こえた。

 どうやら、組合長室でちゃんと仕事をしている様子だ。


 ガチャ


 ドアを明け、二人は室内に入った。


「相変わらず、殺風景な部屋だな」


 部屋に入るなり、イリはつまらなそうな顔をして部屋の感想を口にする。


 業務的な部屋だからと言うのもあるのだが、組合長室の室内には余計な代物が一切置かれていない。

 客室が別にあって、そこは色々な調度品などが置かれている関係もあるのだろう。

 よって、殺風景と言う表現が一番しっくり来る部屋でもあったのだ。


「ここは仕事をする部屋だからな。無駄銭を掛ける必要はないのさ」


 クロノスは穏やかに笑って答えた。

 そこから、二人にソファに向かって手を向けた。

 座れと言う事なのだろう。


 イリとオリオンの二人は室内に用意されているソファに座った。

 程なくして、クロノスも対面のソファに腰を降ろす。


「さて。お前がここに来たって事は、オリオンの話しを聞いたって事だよな?」


「ああ、そうだな」


「そうなんですが、ボス。コイツ、さっきから全然乗り気じゃないんですよね」


「うぁ……お前、余計な事を言うなよ!」


 告げ口するかの様に言うオリオンにイリは渋い顔になる。

 クロノスはやんわりと笑った。


「まぁな? イリの気持ちも分かるぜ? 俺達は賞金稼ぎだ。用心棒じゃない。お門違いも甚だしいぜ」


「だろ? 良くわかってるじゃねぇか」


「……しかし、な? 今回は少しばかし異例の事態が発生してるんだ」


「異例の事態?」


 イリは不思議そうな顔になる。

 隣にいたオリオンも要領を掴めていない顔になっていた。


「ああ……これがまた、面倒でな? 謎しかない。いや、最終的な謎は一つしかないんだが……そこがどうもな」


「言ってる事がサッパリ分からないんだが?」


「そうだな。すまないがボス。もう少し分かりやすく教えてくれないか?」


 クロノスの言葉に、イリとオリオンは全く分からないと言うばかりの顔付きになって答えた。


 さっきから、クロノスの言葉は全然、話しの内容に触れて来ない為、見当の付け様がなかったのだ。


「なんて言うか、俺も上手く説明出来ない……。正直、向こうは何を考えてこんな大胆でアホな真似をしてるのかサッパリなんだ」


「その、サッパリな内容をまずは教えてくれよ」


「そうだな。極論からすると、だ? 王子が姫を社会的に抹殺しようとしてる」


「……なんだよそれ? 内輪揉めか?」


 王族では良くある事だ。

 しかし、これは確かに妙ではある。

 何故なら、王位継承権の順位が逆だからだ。

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