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賞金稼ぎとドラゴンメイド(アカとアオ)【18】

「......ん? リダ?」


 直後、ルミはハッとなる。

 同時に気づいた。


「そうか......そうだよ。この手があったじゃないかっ!」


 叫び、早速行動に移したルミ。


「キイロ、紙とペンない?」


「あるけど......何に使うの?」


「手紙を書くの!」


「手紙?」


 さっきの手紙の返事でも書くのだろうか?

 ふと、そんな事を考えつつ、ルミに紙とペンを渡した。


 ルミは即座に紙とペンをテーブルに置き、物凄い勢いで筆を走らせる。

 否、走らせると言うよりも、筆がブレイクダンスしてるかの様な勢いだ。

 常人であれば、読めないレベルの文字しか書けそうにない早さだったが、そこはお姫様。

 バカみたいな手の動きだと言うのに、文字だけを見るとふざけてる位に綺麗な文字を描いていた。


 どうやら、ルミ姫には速筆の特技があった模様である。


 何はともあれ。


 書き始めて数分もしない内に書き上げたルミは、それを即座にリリィへと突き出す様に渡すと、


「これを、ニイガの威信を掛けて、スーパーウルトラグレートミラクル超特急で、リダに届けて来てっ!」


「は? なんですか? スーパーうる......なんとか?」


「そんなのはどうでも良いのっ! とにかく四の五の言わずに、サッサと届けなさいっっっ!」


「はいぃぃぃぃぃっっ!」


 猛剣幕のルミに、リリィは速攻で頷いてから部屋を物凄い勢いで出て行くのだった。




  ■□■□■




 翌日。


 ニイガの街中にあるカフェテラスにいた、双子のドラゴン・ハーフは優雅にティタイムを楽しんでいた。


「姉さん。こんなにゆっくりしてて、大丈夫なの? 私達、何もしてないと思うんだけど......」


「安心しなさいな。ちゃんと、やる事はやってるわ......それに」


 そこまで言うと、双子のドラゴン・ハーフの姉であるアカは底意地の悪い笑みを濃厚に作って見せた。


「今は時間を掛ける事の方が大事なのよ」


「呪いの関係?」


「察しが良いわね。その通りよ」


 アオの問い掛けに、アカは短く頷く。

 そこから、テーブルに置かれていた紅茶を軽くひと含み。


「あら、本当に美味しいわね。これ」


 そして、悠長な笑みを作っていた。

 もう、完全に余裕ですと、無言で語っているかの様だ。


 それと言うのも、だ?


「あの呪いはね? 一日で、その人物が持つ能力の半分程度を吸い込むわ。つまり、二日経てば半分の半分だから四分の一ね」


 この要領で、三日後なら八分の一。

 四日後なら十六分の一になる。


 簡素に言うのなら、時間が経てば経つだけ、相手の体力が消耗されて行くのだ。

 同様に、呪いによる苦しみも日を追う毎に増えて行く。


「ふふふ......どうやら耐えている見たいだけど、どこまで耐えられるか見物ねぇ」


 いっそ、そのまま衰弱死してくれても結構。

 惜しむらくは、その苦しむ姿を見れない事位だろうか?


「精々、私達に逆らった事を後悔して、精一杯もがいて死ぬ事ね」


 アカは冷ややかに......そして、愉快そうに答えていたのだった。




  ■□■□■




 更にもう一日が経過した。


 ドラゴン・ハーフの動きはない。


 ......そして。


「はは......ざまぁないな」


 とうとう、まともに身体を動かす事すら出来なくなって来たイリの姿があった。


「......」


 そんなイリの姿を見て、キイロは悲しそうに目線を下にする。

 この時、どれだけイリの身代わりになれたら嬉しいかと思った事か。


 数日前、イリに救って貰った命。


 恩返しをするのなら、今しか他にないとさえ思える。


 けれど、でも......。


「......? キイロ?」


 ふと、何気なくキイロを見たイリはギョッとなる。

 いきなりキイロが泣いていたからだ。


「ごめん、ごめんね......イリがこんな事になってるのに、私は何も出来なくて」


 無力だった。

 能力がない事が、こんなに切ないとは思わなかった。


 自分が出来る事など些末な事だ。


 精々、神に祈る事だろうか?


「お前には感謝してるよ」


 イリは柔和に笑って言う。


「慰めはよして」


「慰めなんかじゃない。心から思ってる」


 穏和に答え、再びイリは語り始めた。


「人間ってやつは、ソイツの価値を知る時に一番わかり易く痛感しちまう時がある。自分が窮地に立たされた時だ。苦しい時、ダメになりそうな時......もう、皆が見捨てるレベルの時でも、それでも全力で助けてくれる。見捨てる所か、ずっとどんな事になっても救おうと言う事しか考えない。普通では出来ない芸当だ」


 それが、本物の仲間を意味するんだよな......と、イリは思っていた。

 ここだけは、照れもあったのか? お茶を濁すかの様に敢えて口には出さなかった。

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