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賞金稼ぎとドラゴンメイド(アカとアオ)【15】

 解除の方法は、今のアカが手にしている謎の物体から微笑みを受ける事。


 これ以外の方法で解除する事はない。


 つまり、呪いを解きたいのであれば、アカの提示する取引に応じなければならないと言う事になる。


「護衛の方も、自分の命を天秤に掛けてまでルミ姫を護ろうとは思わないでしょう......ふふ。どんな返事が貰えるのか、楽しみねぇ」


 アカは毒々しい笑みを色濃く作りながら、独り言に近い声音を吐き出していた。




  ■ルミ■




 最初は思い付きに近い感じで誘ったデートだったけど、思った以上に楽しい一日になった。

 やっぱり、言い出してみる物だね。

 太陽も西に傾き掛けて来た所で、私とイリの二人は帰宅する。


「ただいま~」


 私は満足感のある笑顔で、イリの自宅に戻って来た。

 本当に充実した楽しい一日だった。

 こんなに一人の男性と一緒にいた事はなかったかも知れない。

 

 そう考えると、結構大胆な事をしていたのかも知れないなぁ。


 でも、イリが相手だと、そこまで大胆な事をしていた感覚はなかった。

 もしかしたら、これが相性と言う物なのかも知れない。

 そう考えたのなら、イリと私の相性は......うきゃぁぁぁぁっ!


 ちょっと、恥ずかしい事を考えちゃったかも!


「おかえり、楽しかった?」


 イリの自宅に戻ると、キイロはもちろんなんだけどオリオンさんも部屋の中にいた。

 部屋に戻って来るなり、オリオンさんは笑顔で私に言う。

 私も笑顔で返事した。


「はい! とっても!」


「それはよかったね......」


 そこでキイロが、地味に面白くない顔で私に言ってきた。

 まぁ、そうなるのか。

 

 キイロからすれば、イリとデートする私を心良く思ってはいないだろう。


「ごめんねキイロ。イリとデートは凄く楽しかった!」


「ああ、はいはい。そうですか!」


 キイロは、聞きたくないと言うばかりだ。

 なんだろう......結構、気分が良かったりするんだから、私も随分を性格が悪くなった気がする。


 けれど、恋は戦いだ。

 ちょっと卑怯でも、イリの気持ちを私に向けさせる行動が出来るのなら、そっちを選んでも良いんじゃないかと思えた。


 ......うーん。


 やっぱり、私......変だ。


 こんな事、いつもなら考えなかった。


 イリを取られたら悔しいとか考え始めた辺りから、多少の姑息さは有っても良いと思えている。

 心の何処かで無理矢理正当化しようとして、狡猾な選択肢を常套じょうとう手段と思い込もうとしている。


 そんな気がする。


 けど、さ?


 キイロはアドバンテージが大きいんだ。

 私は姫で......冒アカの生徒で。

 結局、しばらくしたらこのニイガから離れないと行けない。


 けれど、キイロは違う。

 その気になれば、ずっとイリの近くにいられるし、その時間は私とは比較出来ない程に長い。


 それをズルいとは言わない。

 けれど、それだけのアドバンテージを覆すとなれば、私だって手段を選んでいる訳にも行かない。


 ......でも。


 こんな考えをしている自分に、ちょっと疑念を抱いている私がいた。

 

 なんだろう?


 私......イリの事、本気になって来ちゃったの......かな?


 あ、あはは~。


 ま、まぁ、ともかくさ? 楽しくデートが出来たって事をまず考える感じで、今の所は良いんじゃないかな?


 そうだよね、うん。

 そうして置こう!


 私自身も良くわかっていない、自分の気持ちに強い葛藤を抱いた末......今日のデートを楽しい思い出として心に刻んで置く事が先決だと考える事にした。




  ■□■□■



 

「......地味に疲れた」


「お疲れ様。浮気性のイリさん」


 自宅の部屋に帰って来て、イリの耳に開口一番で転がって来たのが、皮肉めいたキイロの台詞だった。  


 イリは少し苦い顔になる。

 

「別に浮気って訳ではないだろう?」


「そうね。仕事だしね」


 キイロは即座に理解のある言葉を言って来る。

 しかし、やっぱり何処かトゲのある声音だった。


「ったく、姫様の機嫌が良くなったと思ったら、今度はこっちか......」


 顔で、面倒と言いながら、ぼやいて見せた。


「私はイリが困る様な事は言ってないつもりだけど?」


「......まぁ、そうな」


 不思議そうな顔して言うキイロに、イリは一応の相づちを打つ。

 確かに返答は柔軟であるし、イリが困る様な態度も取ってはいない。


 しかし、本人に自覚はないのだろうが、不機嫌なオーラがアリアリと出ていた。

  

 当然、イリからすれば居心地の良い物ではない。


 むしろ、自覚がない分、タチが悪いとさえ思えた。


 その時だった。


「......っ!」


 どくんっ!......と、不自然にイリの心臓が跳ねた。


 全く予期しなかったイリは、思わず驚いた顔のまま片膝を付いてしまった。

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