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賞金稼ぎとドラゴンメイド(アカとアオ)【10】

 しかし、どんなに気心が知れても、どこまで仲が親密であったとしても、決して譲れない物だってあるのだ。


 それが、私にとってイリであり、唯一無二にしてかけがえのない大切なモノ。


 他であれば、全く以て何の問題もなかった。

 どんなに豪奢であろうと、それがルミ姫にとって大切な物ならば、私は笑顔で差し出したであろう。


 それだけ、私は人間としてルミと言う存在を友好的に見ているし、感じているのだ。


 でも、けど......だけど。


 ごめん、ルミ姫。


 イリだけは、ダメだ。

 本人がルミを選んだのならまだ分かるし、理解も示せる。

 

 そんな想像はしたくないし、考えただけで涙が出そうにもなるけど、それでも諦めも付くし踏ん切りも付けられる。


 けれど、今のイリは私を何だかんだで受け入れてくれているし、ルミ姫を選んでいる訳でもない。


 簡素に言うのなら、独り占めこそ出来ないが、ルミ姫に『イリは私のだからアンタはチョッカイを出すんじゃない』と言われる筋合いもない。


 だから、負けない。

 そして、譲らない。


「ルミ。一つだけ聞きたい事がある。ちゃんと答えて欲しいし、もし答えがないのなら......それはノーと私は理解する。その上で質問したい」


「いきなり、どうしたの?」


「お願い、ここは私もちゃんとしたいの」


「......いいけど」


「イリの事、どう思ってる?」




  ■ルミ■




 ......。


 思考が停止した。


 藪から棒過ぎでしょ! その質問はっ!


「答えないのなら、ノーと言ったけど、そう捉えても構わない?」


 あ、ちょっと待って!

 ちゃんと言うから、言いますからっ!


「えぇと......その、好きです、はい」


 最後は声が尻窄みになってしまった。

 いや、だって!

 そんな、いきなりこんな事を聞かれたら、誰だって面食らうでしょ!


「そうか」


 キイロはポツリと頷きだけ返した。

 そこから満面の笑みになって答えた。


「なら、私達はライバルだな!」


 ......と


 そ、そうなるの?


「で、でも......私は別にそこまでしてイリと仲良くしたいとは思ってないと言うか......」


「なら、イリは諦めてくれる? 私は大好き。愛してる! 世界中の誰よりもイリが好き」


 うぉぅ......なんだ、こやつはっ!

 もう、そこまで臆面もなく言い切れるとか、普通の人では無理なんじゃ......。


 うーん。


 こう言っては何だけど、私はここまでイリの事を堂々と好きと言えるのかと聞かれたら......まだ、ちょっとその域には到達していない。

 そうなると、もうキイロを応援した方が良いんじゃないのかな?


 だが、しかし!

 

 その反面で、このまま易々と引き下がる事を良しとしない私なんかもございまして。

 だってさ? 確かにさ?

 今のキイロには色々と感情的には負けてるかも知れないよ?


 ここまでの気持ちになっているキイロには申し訳ない部分を差し引いても、さ?


 私の視点からすると、こうなる。


 後から押し掛けて来たキイロに、私の彼氏になれば嬉しいなって感じの人を横取りされる。


 こんな感じだ。


 そりゃね? キイロに悪意がある訳ではないのは分かってるし、恋心に順番なんて概念は最初からない事も分かるんだけど......けど、やっぱり気分は悪いよね?


 つまり、キイロ的には『私は本気で好きなったから、アンタは蚊帳の外に出て行ってね』......と、言ってる。

 

 ちょっと高圧的で、一方的過ぎるんじゃない?


 イリに言われるなら分かるけど、告白もしたかどうか分からないキイロにそれを言われるのはおかしいし、筋違いも甚だしい。


 良いでしょう!


「イリがキイロの事を好きだと言ったら、私もそれで納得するよ。でも、そうじゃないのなら、私もまだ諦める気にはならないかな」


 我ながら、中々に曖昧な台詞だなぁ......。


 こんな半端な事言うのなら、普通に私も好きだから諦めないぞと宣言した方か良い気もする。

 

 けれど、正直に言うとさ......自分でも良く分かんないんだよ。


 イリの事はなんとなく好き。

 彼になったら良いな。


 ちょっと、結論を出すには早すぎるんだと、私は思うんだ。


 そして、イリもそう思っているんじゃないかと考える。


 ポイントはここだ。

 イリの気持ちなんだよ。


 多分ねぇ......イリの事だからねぇ、今のキイロの情熱的なアタックは重いと思う。


 私と言うワンクッションがいた方が良いと思うんだよね。


 だから、これで良いと私は決断した。


「キイロがイリを独り占めするのは、私が許さないからね!」


 私は、自分でも無意識の内に、真剣な顔になってキイロに答えていた。

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